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ダイバー入門  作者: きむらきむこ


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27 安全確保

 住吉と正木は、研修会で偶然クラスメイト二名と一緒になり、そのままパーティを組むことになった。ダイバー情報室に正木たちが、新たな二人を連れてきたので京香たちも顔見知りとなった。


「河合です。よろしくお願いします」

「尾野です。よろしくお願いします」

新顔の二人は律儀に頭を下げて自己紹介をした。


「私たちは二年のグリーンライトっていうパーティを組んでます。よろしくね」と京香たちも挨拶をした。これからこの部屋でよく会うことになるだろうから、仲良くしてね、と真奈と里が一年生に声を掛けた。


 京香たちの代には、他にダイバーが居ないのかこの部屋に出入りするのはグリーンライトのメンバーだけたった。三年生も既に受験態勢に入っているのかそれとも就職活動なのか、最近は見かけなかった。


 そういう訳で情報室の常連は、今のところ京香たちのグリーンライト(青信号)と住吉たちの「安全確保」だけだった。住吉たちのパーティ名は、決まったと教えてもらった時にその場で爆笑された。


「色々考えたんですが、安全優先で行きましょう、ということになりまして…」正木が説明した。


「うんうん、すごく良い名前だと思うよ。大事なことだし」里がにこやかに正木に言った。


「確かに安全は大事だな。毎回、名前の通り無事に帰って来いよ。俺たちもだけどな」治癒士志望の尾形が、真面目な顔でみんなに声を掛けた。


 グリーンライトも安全確保も、ダイバーとしては、無理をしない堅実な稼ぎ方をすると、ギルドの信用度が高かった。それは高校の先輩ダイバーの残してくれた情報のお陰でもあったが、パーティの中心にいる尾形の働きかけの成果でもあった。


 普段は世話の焼ける弟というか「十七歳児」と評される尾形は、自らの怪我の経験からか安全マージンを取ることに関しては、非常に細かい。警戒に立つ場合もぼんやりしているようなら、すぐに叱責が飛ぶ。


 彼自身はサッカーをやっていたからか、視野が広くパーティメンバーの行動も常に把握している。周りにどう動いてほしいかを、声にしっかり出して知らせていた。その尾形の行動のお陰で、グリーンライトは連携のよく取れたパーティとなっていた。


 その尾形の薫陶を受けた「安全確保」もまた、その名の通り常に安全を確保した上で行動するようになっていた。連携に関してはグリーンライトにまだ劣るが、一年もすれば並ぶようになるだろう、というのが周囲の判断だった。


 新人ダイバーというのは自分の力を過信する事が多く、上手くいけばその結果は精算時に数字として出たが、上手く行かなければメンバーの怪我やパーティ解散となった。


「安全確保」が活動しはじめて半年近く、真面目に魔力制御と連携の訓練をした彼らは、稼ぎの面でもグリーンライトに追いつこうとしていた。週末だけの活動で四人パーティとしては、十分な収入だと本人たちも満足だった。


 住吉たちがこれから進路を考え始めた、ちょうどそんな頃だった。新人ダイバー数人が、ダンジョンで事故を起こしたのは。





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