26 ダイバー情報室にて
誤字報告ありがとうございます。助かってます。
住吉と正木を連れて受付に戻ったグリーンライト一行は、ギルドの職員に初心者が長田ダンジョンに潜ってワイルドボアに襲われていた話をした。
何度か同じようなことをしているせいで、京香たちの説明能力が向上しているようだ。職員はすぐに理解して、パーティ離脱の手続きにかかってくれた。まだ潜っている三人にも、何らかのペナルティが発生するようだった。
「逆恨みとかされると困るんですけど」寺田が職員に話しかけたが、一月にも満たない短いダイバー生活で、既に何度かギルドから警告を受けていた彼らには、これ一件だけのことではないので大丈夫です、と言われた。
それでも恨まれるのが逆恨みというやつなので、困ったなあ、というのが京香たち全員の総意だった。
「なんか気が削がれたな」和哉がそう言ってみんなを振り返った。一様に頷き返した全員は、今日は帰ろうということで一致した。
翌週の月曜日、放課後に京香たちはダイバー情報室に集まった。住吉と正木も一緒だ。
「あの人たちとは中学で一緒だったの?」
「そうです。たまたまギルドの売店でばったり会って…防具とか揃えてたら、初めて行くのか?だったら連れて行ってやるって、言われて」正木は話しながら、落ち込んでいくようだった。
「もうパーティは脱退したんでしょ?」
「まあ、元々パーティというか、ついて行っただけ、という感じだったみたいです。この間のギルドで脱退を、って手続きになったら、パーティの登録がまだ申請されてないようですよ、って言われました」
「じゃあ、土曜日の稼ぎは全然入ってこないの?」
「そうみたいですけど、もう関わりたくないんでそれで構いません」
住吉と正木は、きっぱりと言い切った。関わりたくないのは、グリーンライトの面々も同じだったので気持ちは分かり過ぎるくらい分かった。
真奈が情報室のファイルからチラシを取り出し、住吉と正木の前に置いた。
「これは田中DP㈱主催のダイバー研修会のお知らせのチラシ。初心者だったらぜひ参加してみて。ここでパーティ組む相手が見つかったりするし。私たちも去年これで知り合ったのよ」
「こんなのがあるんですね」正木がチラシを眺めながら、言った。住吉も、正木が眺めるチラシを横から見て読んでいた。
「実技の時間もあるし、為になるよ」京香たちも口々に勧めた。実際にこの時受けた研修は為になったし、先日受けた魔力制御の研修も役に立った。
京香たちグリーンライトのほぼ全員が、電撃が使えた。ほぼ、となったのは残念ながら尾形がまだ水魔法で苦労していたからだった。治癒士志望の尾形だったが、なかなか水魔法が身に付かなかった。
尾形は風と土の魔法が使えたのだが、治癒魔法の基本に当たる水魔法を使えるようになるまで、大変だった。今現在は、水魔法を自在に使えるように特訓中だった。
電撃には水と風の魔法が必要だった。尾形はまだ制御が甘く、電撃を覚える許可が研修会の講師から下りなかったのだ。




