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ダイバー入門  作者: きむらきむこ
15/31

15 再びダンジョンへ

「蜂の巣退治をしたいんじゃなくて、簡易鑑定のスキルが欲しいんだ」和哉は京香たちに説明した。


 将来の進路についての男子たち三人の希望を話し、その為にスキルが欲しいので蜂の巣退治をしなくてはならない、と。


「進路カードを見ても、やっぱり簡易鑑定は持ってるに越したことはないから、良いんじゃない?」真奈と里も同意した。京香も反対する気はなかった。


 そういう訳で、彼らは蜂の巣退治の為に、京香たちが初めて潜ったダンジョンに行くことになった。


 


 土曜日になり、京香たちはダンジョン前で集合した。横尾ダンジョンという京香の家の近くにある小さなダンジョンだ。


「前の時は二階あたりで蜂に襲われたんだよね。浜崎さんに助けてもらったからな、なんともなかったけど。みんな、魔法制御の練習した?」


 京香は前回の怖さを思い出して、早口になりながら気持ちを紛らわせていた。自分に向かって、テニスボールを使った魔法制御の練習を何度もした事を小声で呟いた。


「京香ちゃん、大丈夫なの?やっぱり怖いなら、今日は後衛にいる?」真奈が、心配そうに声を掛けた。


「私たちが頑張るから、京香ちゃんは私たちの護衛役をして。私も魔法制御の練習頑張ったんだよ。その成果を見てもらわないと」と、里が明るく言った。


「ううん、ここでやらないと蜂を見る度に思い出しちゃうから、今日、記憶の上書きしないと」


 


 結果として、京香の記憶は上書きされた。

パーティメンバーの全員が、魔法制御をきっちりやってのけたのだ。残念ながら、スキルのドロップは無かったものの、蜂の巣のダンジョンエラーがあったので、蜂蜜にローヤルゼリー、他の素材があったので、結構な清算額となるだろう。


「京香ちゃん、もう大丈夫だね」と真奈がにっこりと笑って、京香の活躍を称えていた。里もウンウンとうなずきながら笑った。


「すごかったねー。一気に蜂の巣ごと水に閉じ込めちゃうんだもん。あれ、もうちょっと魔力込めたら凍るんじゃない?」寺田が笑いながら言った。


 飛んできた蜂は、尾形や藤井たちがウォーターバレットで落としたのだが、蜂の巣自体は京香が水魔法で閉じ込めて、巣ごと凍らせる寸前にしてしまったのだった。


 京香の蜂に対する気持ちの強さが、分かるというものだ。メンバー全員から、凍る寸前というのはやり過ぎだ、と笑われて、京香も少しばかり魔力を込めすぎたな、と反省した。


 今日はもう蜂の巣と遭遇することは無いだろうと思われたが、まだ時間が早かったので、京香たちはもう少し下の階層に進むことにした。


  蟻の隊列を何度かやっつけて、コボルトという犬の魔物を数匹倒して順調に進んでいくと、ゴブリンの集落らしきものに行き当たった。


 初めての人型モンスターに少なからず緊張したものの、パーティメンバーの全員が一通りゴブリンを倒し、魔石を回収した。人型への忌避感は無かったようで、みんなでホッとした。


 ダイバーとしてやっていけるかどうかの最初の試金石が、ゴブリンなのだ。このメンバーは、なんとかパスしたようだ。


「藤井、後ろに敵影あり」

尾形の緊張した声が、響き渡った。


  


 



 

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