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ダイバー入門  作者: きむらきむこ
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12 藤井和哉の野望

この度、被災された方々にお見舞い申し上げます。

皆様のご無事をお祈りしております。

 藤井和哉は、ほそぼそと営まれるポーション屋の一人息子である。元々は、漢方の流れをくむ小さな薬屋だったが、世界中にダンジョンが出来てから、薬草を使ったポーション作りに専念した。


 十年ほど前に田中DP㈱が、ポーションの作り方を根本的に変えてからは、それに準じてポーションを作り販売している。それはそれで小さい薬屋のあり方ではあるが、いつか自分なりに何か作り出したい、というのが和哉の野望であった。


 高校生になって、ダイバー資格を取りクラスメートの尾形ハジメと寺田(はる)とパーティを組んで、ダンジョンに行き始めた。自分で薬草を採取して、ポーション作りを学ぶ為だ。


 自己流ではダイバーとしての安全を確保できないのと、田中DP㈱とのつながりを作りたいという下心から、先日三人で田中DP㈱(たなか)主催のダイバー研修会に参加してみた。研修はパーティの連携の仕方や、魔力の制御から魔法への展開という身になる話が多くて、楽しかった。


「先日はありがとうございました」隣の席に座っていた女の子が、講師の浜崎さんに言っていた。ちょっと細身の可愛い子だ。


 田中DP㈱(たなか)の採取部門で有名なダイバーの浜崎さんと知り合いなのか、羨ましいなと思っていると、三人組の彼女たちの会話に切れ目が出来たので、声を掛けた。


 それがきっかけで、彼女たちも同じ高校に通っていることが分かり、パーティを組んでダンジョンに行くことになった。ちょっとテンションが上がる。


 細身の彼女は菊池京香さんと言って、不人気ダンジョンの湧き対策のダイバーをしている菊池夫妻の娘さんだった。菊池夫妻は、うちの店にも薬草を納めてくれるダイバーさんで、和哉が小さい時から店に出入りしていたので、顔見知りだった。


「うちにも同じような年ごろの子がいるのよ」と菊池のおばさんが言ってた、その子が京香さんだったようだ。ちょっと親近感というか、時々おばさんから話を聞いていたので、会ったことのない幼馴染みたいな気がした。 


 京香さんの友達の田崎真奈さんと島田里さんが、彼女のパーティメンバーで、田崎さんはショートカットの活発そうな子で、島田さんは小柄でぽっちゃりした感じの愛らしい感じだった。


 和哉のパーティメンバーは尾形ハジメ、背が高く運動神経抜群で中学の頃はサッカー選手で他校にも名前が知られるくらいだった。寺田温は暴走しがちな尾形をたしなめて、手綱を取ってくれる。いつも冷静でパーティのリーダー的存在だった。


 京香さんのパーティがまだ一度しかダンジョンに行ったことがない、ということだったので安全策を取って田中DP㈱のそばにある教会ダンジョンに行くことにした。


 普段から田中DP㈱(たなか)の人たちやシルバー層ダイバーが多い教会ダンジョンは、初心者向けに案内が出る程安全なはずだったが、三層で蟻に遭った。


 先日の研修で習った通り警戒役を立てていたのが功を奏してか、すぐに蟻の隊列に対応できて良かった。和哉と京香さん、尾形の三人が土魔法を使えるのも地味に助かった。蟻の巣を殲滅した後、簡単に核やドロップ品を集めることが出来たので。


 女王蟻の核が大きくて、それだけで結構な金額になり、1日の収入としてはなかなかの稼ぎになった。他にも中級薬草や果実なども手に入ったので、和哉はポーション作りの練習が出来ると、嬉しくなった。




 



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