~第1話~
よろしくお願いします。m(_ _)m
どうして、パイロットになったんだけ?
疲れた体を吊革に預けながら真っ赤な京急に揺られている。
確か今日、鶴ヶ丘八幡宮で小さな男の子の話を聞いたからだ
「将来は何になるの?」
「パイロット!!」
「そうか~ どうしてパイロットになりたいの?」
「おじいちゃんやおばあちゃんと世界中に行きたいから!!」
「あらあら、長生きしないとね」
ありきたりな会話だったが、思い出すのには充分な内容だった。
多分、古い友人と会っていて、感傷的になっていたのだろう。
そんな友人は今、民間機のパイロットをしている。
燃費が悪いと言われる、ジャンボ機だ。
そして友人は今、逗子に住んでいる。
とても、のどかなところだった。日本人の彼が羨ましく思えた。
そんな事をぼんやりと考えていると品川に着いた。乗り換えである。
日本人は忙しいとつくづく思う。
さらに、電車の時間の正確さにも目を見張るものがある。ただ、皆喋らずに俯いて電車に乗っているのは、異様と言うか滑稽にも感じたりする。
ここで、真っ赤な京急とお別れしてJRに乗り換えだ。京急は防衛大学校時代に良く乗ったので、少し愛着がある。
ただ、百里基地まではまだ遠い。
なんか、久しぶりの日本で、はしゃぎ過ぎみたいだ。でも、友人に会えたのは嬉しかった。
彼と会ったのは、私が防衛大学校に交換留学生として派遣された時だった。世話好きというのか、何かと俺を外に連れ出してくれた。そのおかげで日本語もある程度喋れるし、漢字も読み書き出来るようになった。
その後、彼は航空自衛隊のイーグルドライバーになったが、気づいたら民間機のパイロットをしていた。
何故か、知らない。というか、聞けない。あんなにイーグルドライバーになれた事を喜んでいただけに…。
異様な車内で、そんな事を考えていると、見知った顔が乗ってきた。
俺の後輩達だった。
F-15Eは複座式で、前にパイロット、後ろに兵装システム士官が乗る。最初は、兵装システム士官を経験し、その後パイロットとなる。
後輩達はやけにテンションが高いみたいだ、なんか面倒なことになりそうだ…。
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