里帰り
「いやぁ、やっぱり夏は田舎でも暑いな」
約一年ぶりに地元に帰ってきた。去年は結局仕事やら東京になれるので精いっぱいで、なかなか帰れなっかったのだ。とりあえず、実家に帰る。
「ただいま~!」
と、家に入り言う、いつもは誰も返してくれない一人暮らしだが、今日は実家だ。
「おかえり」
と、父
「おかえりなさい。暑かったでしょう。」
と母が出迎えてくれた。昼食のソーメンを食べながら、仕事の話や一人暮らしのことを両親と話す。久しぶりに賑やかな、食事だ。昼食を食べ終えた後、俺は彼女のもとへ向かった。彼女とは、ちいさいころからの幼馴染の京田 慧のことだ。
「ふふっ」
一年前、俺が東京に就職したことを伝えると目に涙を浮かべて、でも
「しっかり頑張って来なさい!」
と笑顔で送り出してくれたことを思い出して、ふと笑みがこぼれた。彼女とは本当に小さいころから、一緒に遊んでいた。クラスメイトに「お前ら付き合っているだろ」とからかわれたこともあったが、そんなことは気にせずに、山や川で遊んでいた。ようやく見えてきた。俺の実家から少し離れた小高い丘の上に彼女はいる。
「ただいま」
というと、
「おかえり、待ってたよ。もう!一年も会えないなんて聞いてないんだけど」
と彼女が言う。
「田舎も暑いけど、東京のアスファルトからも照り付けてくる暑さとは違って、まだ過ごしやすいね」
「ねぇ、東京土産とかないの?」
と彼女は目をキラキラさせて、俺に問う。
「お前楽しみにしてたよな」
俺はそういいながら、東京土産を置く。
学生時代、俺は彼女に惚れていた、、、いや、憧れていたといった方が正しいだろうか。
いつも明るく彼女がいるだけで、周りも自然と明るくなる
まるで、太陽のような存在だった彼女に俺は次第に惹かれていった。
「さてお土産も置いたことだし、家に戻るわ」
「うんまたね!必ず来てよ?」
彼女はそういうと、あの頃の様に太陽のような笑顔で見送ってくれた。
サァッと風が吹き夏のじめじめした暑さを少し吹き飛ばし、俺は風に促されたように後ろを振り返る。
まるで彼女がそこにいるような気がして、彼女の好きだったヒマワリが太陽のように輝いている、墓石に向けて、
「あぁ、必ずまた来るよ。」