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「一一聖女様、ありがとうございます!!」
「いいの!いいの!!気にしないで。
ネスタちゃんも次からは危ないことしないのよ」
「はーい!聖女様」
私、マリア・ハミルトンは
いわゆる転生者と呼ばれる類のやつだ。
私が前世で死んだ時、
“なんちゃら”って言う神様が現れて
新しい世界に特別な力を持たしてくれて
連れていってくれるというのだ。
なんの冗談だって
最初は一笑したものだった。
死んだのではなく
少し前にメシの種に手に入れた
違法なドラッグを間違えて
飲んでしまったのかと思った。
まあ、それでも
そんな力が貰えるならば
“癒しの力”が欲しいと願った。
病気や怪我で死んでいった仲間たちは
少なくなかった。
私たちが行ける医者はロクな奴らはいなく
『金、金、金』だ。
金がない私たちは
もちろん、仲間たちを助けれる訳もない。
何度、涙を流したかは覚えていない。
「一一マリア、そろそろ教会の戸締りをしますよ」
「わかりました!神父さま」
前世……はロクな人生ではなかったけれど
今の人生は、それなりにやっている。
それなりといっても
誰もが羨む、裕福な暮らしではなかったけれど
それなりに幸せだった。