帰り道での日常
手をつなぎながら可愛いひまと帰っていると、その帰りに俺は興味深い生物と遭遇した。そのものの容姿は全身が真っ黒で耳はピンと立っており、さらに茶色の目でこちらを凝視してくる様子はまるで獲物を見定めているハンターのようだ。そんな容姿を持つ生物、それは…
チリンという音とともに「にゃーご」
となんともかわいい声が聞こえる
そう猫ちゃんだ。
「あ!やっぱりここにいた!」
「おっあの黒猫か、いつからか覚えてないけどずっとここら辺にいるよな」
「私も覚えてないけど確か小学校に入った頃にはもういた気がするなぁ」
「にゃーご」
「わぁ!そうって言ってるのかも!」
「さすがにそんなこの猫賢くないと思うんだが・・・」
「もー!夢がないねこう君には」
「夢ならあるさ、ひまも知ってるだろ?」
「もちろん!ちっちゃい頃にこう君が私に言ってきたからね!将来は向日葵ちゃんと結婚するーって!」
「先に行ってきたのはひまだからな、おおきくなったらこう君のお嫁しゃんになるーって」
「私たちってやっぱり相思相愛だね!きっとちっちゃいころから切れない縁で繋がっているんだよ」
「俺もそう思うよ、だってずーっとどんな時も一緒だったわけだし運命の糸が俺たちを離さないようにしてくれてるんだよ。そのおかげでひまとずっといれてるのかもな」
「こう君・・・」
と甘い雰囲気が漂ってきたその時
「にゃーご」
と黒猫が気怠そうな声を上げた
「コホン さてと猫ちゃんの前でずっと立って話してないでさっさと俺の家に帰りますか」
「そうだね、じゃあ猫ちゃんまたね!」
「にゃーご」
「やっぱり言葉を理解してるんだよこの猫ちゃん」
「確かにそうかもね」
「次会ったらおやつででも使ってためしてみるか?」
「いいね!それ」
・
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とそんなたわいのない会話を続けて帰っていると
「そういえばこう君のお父さんは今日家にいるの?」
「あぁ今日はいるらしいぞ、今日はたまたま仕事がないらしい」
「じゃあ私行かない方がいいかな?こう君、お父さんといっしょに入れる時間あんまりないだろうし…」
「別に気にしなくてもいいよそんなに会えないわけじゃないし、もしも気にしているんだったら最初に断ってるだろうしね、それよりも俺はひまといる時間を大切にしたいかな…」
「ありがとう!こうくん!」
「そんなお礼を言われるようなことじゃないだろ」
「こう君のお父さんよりも私を選んでくれてありがとうってこと」
「なんだよその昼ドラみたいなこたえは…」
俺のとうさんは彼女じゃないぞ・・・
「えへへ、あっ!こう君の家見えてきたよ!」
「ほんとだな、んじゃさっさとむかいますか」
「うん!」