第8話 『憧れ』
「俺は……レネさんみたいに成りたい」
そうオリヴァーに伝えた日からしたいと思えなかった魔法や剣術の勉強をしてみることにした。
そんなタツキは、自室にいる。
とりあえず自分で確認できることはしてみようと思ったのだ。
この世界の魔法を習得する方法は大まかに分けて二種類あるらしい。
教わって覚える方法と魔導書を読んで覚える方法だ。
メイド長に書庫から適当に見繕ってもらった魔導書にパラパラっと目を通した。
「ん……? 体の中があったかい……??」
しばらく経つと体内に感じていた温もりは跡形もなく消えている。
疑問に思いながらまた魔導書をペラペラめくっていると、同じような熱を感じるが時間の経過とともに消えてしまう。
ーーーなんだこれ?? 勉強なんてまたやってるから風邪でも引いたのか??
そうは思うものの身体の異常は微塵もない。
試しにと自室にある剣を今度は手に取ってみる。
剣道のような動きをしてみたり、フェンシングのような動きをしてみたりする。
「いや、この形の剣にこの動きは違うでしょ!」
竹刀のように長いわけでもエペのように細く尖っているわけでもない。
平たい刃が伸びるごく一般的なイメージの西洋剣だ。
ーーーそれなら
ーーー騎士団の演習をこのあいだ兄さんに連れられて見たから、あの動きをまねしてみますか!
片手で持った左下から右上へと斜めに剣を走らせる。
両手で持ち替え、架空の敵の正面を真下へと斬る。
見よう見まねの動きを繰り返しているとまた体の中にあたたかいものを感じた。
ーーーこれってもしかして!!?
タツキは慌てて自分のステータスを閲覧してみる。
〈ステータス
人族 LV1 名前 タツキ・クローネ・ケフェペイア
職業 皇族(?)
HP:50/50
MP:25/25
攻撃能力:16
防御能力:19
魔法能力:16
抵抗能力:19
速度能力:13
保持スキル:ステータス閲覧
称号:世界で唯一の閲覧者(閲覧者のルビは「ビューワー」)
〉
レベルの数値に何も変わりがなく気抜けするが、もしかするとという期待感が膨らむ。
HPが上がっているのはしっかりと寝ること食べることができているからだろう。
ーーーそんなことよりも!
「勉強をするともしかしてレベルが上がるのか……?! あたたかくなるのはレベルアップの兆候!?」
検証をして見た結果、勉強をして理解が深まるとレベルが上がるのではないかとの結論に達した。
だがこれまで試したことではレベルは一つたりとも上がらない。
「そうだ……学園に行けば」
レベルを上げることができるのではないか。
タツキは早速夕食後、オリヴァーに「父さん、俺学園に通いたい」と告げた。
「そうか、なら準備をする必要があるな」と言ったオリヴァーは次の日タツキに学園へ行く準備のための資金と人を宛がった。
おそらくこうなるとわかっていたのだろう。
タツキはレネに近づけるようにと自分なりに魔法や剣術の勉強をすることにした。
学園へ通うために。
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