第6話 『学園に行きたいかも』
この世界にタツキが来てからしばらくの月日が経った。
見たこともないものや肌触りの違う衣服、現代より遅れた暮らし。
アニメ好きが功を奏してタツキは夢ではなく異世界に来ていることに気づき、現実世界への多少の名残惜しさはあるものの気持ちは切り替わっていた。
「戻れたところでやりたいこともないからなー!」
魔法がある世界にも関わらず、魔法や剣術を身につけるには勉強が必要だと知る。
せっかくの異世界なんだから魔法の一つや二つ使えたら面白いだろうなと考えたタツキはがっかりした。
ーーーどこの世界でもそうそうに上手い話はないもんだなー。
チートスキルも自分にはないようで、無双できるわけでもないらしいし。
ただステータスが見られるだけだ。
ステータスの見方はこうだ。
閲覧したい対象者を意識する、それだけだ。
以前見たレネのステータスもオリヴァーも自分と比べて化け物級なのは
みなまで言わせないでほしい。
あんな風にはなれないんだろう、とタツキは考えそうになる。
オリヴァーの執務室に呼ばれ、今後の話をしている最中にタツキはそんなことを考えていた。
「タツキはレネにも成長を期待されている。学園に行けばお前の資質を開花させられると思うんだが」
「父さん。それは違うんだよ。努力は裏切るんだ。俺が勉強しても時間を無駄にするだけだよ」
「…………」
ーーー悪いけど、俺は現実世界であれだけ努力して勉強をしてきた経験があるんだ。
ーーーだけど、努力は裏切る!
ーーーがんばりが報われることはないんだ!!
「そうだな。タツキはレネに憧れていたな? あいつが昔落ちこぼれで家を追い出されたって言ったら信じるか?」
「は??? あのレネさんが? いくら俺が勉強嫌いでもそういう嘘は良くないと思うよ」
「はっはっは! 俺が欲しい反応をくれたな。お前にはレネの昔話を聞かせた方が良さそうだ」
愉快そうに顔を歪めていたオリヴァーは遠くを見るような表情で語り出した。
人類最強の賢者が落ちこぼれだと思われていた頃の話について。
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