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第5話 『タツキ・クローネ・ケフェペイア』

何メートルぐらいだろうか、かなりの高さの壁でルサメイの街は囲われていた。

 魔物の襲撃に備えているためらしい。

 一部だけ壁がくり抜かれている箇所がある。

 三メートルほどの高さと幅の空間があり、格子状の扉があった。

 そこをレネは門と呼んでいて、門にふさわしく番人がいた。

 あとで知ることだが、ここは裏の通用門みたいなものらしく住人たちは正門を使うものらしいと。


「これは賢者様! わざわざこんな辺境の街まで足を運んでいただいて……おや? そちらの方は?」

「オリヴァーのところに連れて行こうと思っていて」

「オリヴァー様のところですか。どうぞお通りください」

「いいの? 俺の証明書とか確認しなくて」

「お戯れを。一度も賢者様の証明書を拝見したことはないではないですか」


ーーーオリヴァーって誰???

ーーー証明書って何???


 レネと門番は知っている仲なのか笑みを交えながら話が進んでいるようだ。

 事情を知らないタツキは完全に話に置いて行かれているが。


「じゃあ、行こうか」

「行くってどこにですか?」

「良いところに、かな」


 それ以上レネは話してくれず、ただご機嫌な様子から悪いことは起きないだろうと思えた。


ーーーとりあえず街並みを見ながらついていきますか!


 三階建ての建物が多く、あまり階数の多い建物は見当たらない。

 中世を舞台にした映画で観た街並みのようで、映画のセットに迷い込んだみたいだ。

 街の人々の表情も明るい。

 活気づいた声も露店からよく聞こえてくる。

 

 建物の間隔が開いていき、タツキたちは坂を登っていた。

 坂の上には古城と形容してもおかしくない立派な建造物が鎮座している。


ーーー俺って場違いじゃない???


 出迎えを受け、タツキたちは古城の主の元へと案内されていた。

 その間もレネからは説明はない。

 タツキはタツキで博物館でも見学する軽い感じであちこちを観覧していた。


ーーーこの状況で俺にできることってないしな!

ーーーなら楽しむだけだ!


 重厚な両開きの扉を躊躇うことなくレネは開けて入っていく。

 そして開口一番、挨拶も抜きにレネは言ったのだった。


「頼む。タツキの面倒をお前に託したい」

「久しぶりに顔を出したと思ったら突然どういう話だ?」

「この少年は、俺を超えるかもしれないんだ」

「ほう〜? お前にそこまで言わしめるとは。なら聞こう」


 レネはこれまでの経緯をシンプルに目の前の男に伝えていく。

 強面の部類に入る男の目が容赦なくタツキを見る。

 タツキも強く見返した。

 するとまたあのウィンドウが表示されるのだった。


〈ステータス

 人族 LV50 名前 オリヴァー・フォン・ケフェペイア

 職業 皇族


 HP:■/■

 MP:■/■

 攻撃能力:■■■■

 防御能力:■■4

 魔法能力:■■0

 抵抗能力:■■■9

 速度能力:■■■■


 保持スキル:■■■■

 ■■■■

 ■■■■■

 ■■■■■■■■

 称号:■■■■■■■■、■■■■、領主の鑑


ーーー皇族ってあの皇族だよな!?

ーーーめちゃくちゃエラい人じゃないの!???


 タツキが見えたステータスに内心驚いていると、顎髭を撫でながら男は豪快に笑った。


「失礼。名を名乗ることもせず話し込み笑ってしまった無礼を許せ。俺はオリヴァー・クローネ・ケフェペイア。この街を治めている。俺の視線に耐えられるものはそういない。レネが認めるわけだ」

「そうでしょ、そうでしょ。まだまだ伸び代しかないけど、オリヴァーのところで鍛えてもらったら開花すると思うんだよね。俺は一つのところに留まるのは難しいから……本当なら俺が育てたいんだけど」

「ところでレネ。この話はそこの少年には話したのか? 少年、名は?」

「タツキです」

「そうか、タツキか。で、どうなんだ?」

「俺、君に話してたよね?」

「いえ、説明とかないままここまで来ましたけど……」

「あれ? そうだっけ。でも今ここで聞いたから問題ないかな」


 オリヴァーと名乗った皇族は眉間にしわを寄せ頭を抱えていた。

 目が合いタツキは苦笑いを返した。


「そうだな。レネに人の子を育てられるとは思わん。いいだろう、その話引き受けた。タツキ、異論はあるか?」

「異論はないですけど、こんな簡単に決めちゃっていいんですか?」

「構わん。この街は少々特殊でな。だからこそレネは俺に託すことを考えたんだろう」

「オリヴァーはさすがだね、俺の言いたいこと全部読んでくれるから助かるよ」

「たまには説明をすることも覚えるんだな」

「そうだね、考えとくよ。なら俺は行くね」

「え? もうレネさん、行っちゃうんですか?」

「時期が来たらまた会えるよ」


 何か魔法を使ったのか一言だけ残すとレネは姿を消してしまった。

 あまりにあっけなさ過ぎたのでまたいつでもすぐに会えるような気がした。


ーーーこうして俺は、タツキ・クローネ・ケフェペイアという名前を名乗ることになった。


最後まで読んでいただき


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