02 徳田一弥の週末
3月5日 木曜日
国連の専門機関である、WHO世界保健機関のデザレン事務局長が記者会見し、世界的にゾンビと言う言葉が行き交っているが恐怖を煽るだけだと、ゾンビと言う名称の使用自粛を求める。
また、死体が蘇るのはナンセンスであり、瀕死の傷病患者がパニックを起こして暴れるのではとの見解を発表し、伝染病や疾病などパンデミック発生の恐れがある分野ではない事を明言。事態の沈静化は近いとコメントした。
3月7日 土曜日
各国首脳が相次いで談話を発表し、ゾンビの可能性を示唆しながらも、集団ヒステリーには厳格に対処するとして、暴動鎮圧には警察部隊だけでなく軍隊をも投入すると明言。
テレビや新聞、またSNSなどを通じてセンセーショナルな報道や情報の発信を控えるよう要請した。
同日、日本の笠倉首相が夕方に記者会見を開き、ゾンビについての明言を避けながらも、徹底した水際対策を行い、国内への病理暴動者の流入を阻止すると発表した。
同日深夜、世界一周の航海で宮崎から次の寄港地である香港に向かっていた、イタリア船籍の豪華客船『プリンシプル・メディタラネーオ(地中海の王子)』から海上保安庁に緊急入電。
東シナ海沖にて病理暴動者が発生し、香港側からは入港を拒否された旨を説明。緊急措置として、先の寄港地であった日本に戻ると通達して来た。
更に同時深夜から日付けが変わる頃……
『牛に引かれて善光寺詣り』で有名な長野市。その長野市のベッドタウンである北部エリアのとある一軒家で、ゲーム実況動画を見ながら部屋飲みをしていたサラリーマン、徳田一弥は、酔い潰れてそのまま腹を出してスヤスヤと寝てしまい、あくる日風邪をひいていた。