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ナイト9「こいつが学園長?」

学園長のイメージは老人かな?あと知的だよな?んでもって頼れそうな大人・・・。


やっべ、今回の学園長今までに無い学園長になるかもしれないぜ!

 学園長室

立派な木製のドアにはそう書かれたプレートが掲げられていた。

「うわ〜、さすが学園長室、豪華っぽいな」

「いいから入るわよ、時間かかるんだから」

え?なんで?と言う春時を無視して、ミーファはドアを開けた。

そして壁が出てきた。

「・・・あれ?ひっかけ?」

「ねぇ春時、なんでドアを開けたのに向こうが壁なの?」

「雪・・・それはオレにもわからん」

二人がはてなマークを出しているのにもかかわらず、ミーファは平然と壁に手を当てた。

そしてよくわからない呪文のような言葉をつづる。

すると、壁が透けて、小さな部屋が現れた。

「おいおい・・・ここは魔法の世界か?」

「・・・これって騎士魔法ね、ただの魔法とは違う魔力の波長よ」

「・・・雪ちゃんわかるんだ、ていうか魔力の波長て何?」

「剣士たるもの、相手の波長ぐらい見極めれるものよ、春時も修行すればできるわよ」

「できるとかって問題か?」

「ごちゃごちゃ桜語で話し合わないでよ、なんだが私だけ仲間はずれみたいじゃない」

ミーファがそう言いつつ、ただ立ち尽くしていた。

「・・・で?先生方は?」

「待っていれば先生が来てくれるわよ」

その言葉通り、前方の壁にドアが浮き出てきた。そしてミーファは迷わずそのドアにむかって行く。それに続いて二人も歩いた。そして三人は順にドアをくぐった。


右側に大きな絵画がかけられている。その絵には銀色の甲冑をまとって、真っ赤なマントをひるがえす騎士の絵だ。

「・・・初めまして、春時くん」

春時は絵に見とれて前方にいた人物に気がつかなかった。

しかし、声がしたので春時はやっと気付く。

≪い、いよいよ学園の長とご対面か・・・きっとすごい人なんだろうな、威厳があって強そうで、いや、メガネをかけた優しそうな人か?・・・それとも以外に若い人だったりして・・・い、一体、どんな感じの人なんだろうか!≫

春時は緊張しながらも、前方にいる人物を見た。

大きな机、その右側に立っている侍は見覚えがある。初めてこの町に来て通訳したあの男だ。

そして机のイスに座っている骸骨・・・。


  骸骨・・・・・。


「・・・さ、さすが魔法の国・・・何があってもおかしくないって事だな」

もはや遠くを見る目になっている春時、もちろん雪も開いた口が塞がらないほど驚いている。

「ちょっと変わっているけど、この方が我が学園の学園町、ウォンズ学園長よ」

「ちょっと変わってる?・・・確かに、思っていたのよりずっとスマートですね」

「え?スマートかい?うれしいな、そんなのはじめて言われたよ」

学園長はとりあえず喜んだ。

雪は言葉が通じないので何をしているのか理解不能なため泣き始めた。

春時は雪をなだめる。

「大丈夫だよ、逆に考えるんだ・・・ただの骨じゃないか」

「ただの骨がしゃべったり動いたりするわけ無いでしょ!」

雪のほうが正論だった。


「いやぁ、驚かせてすまない。私がこの学園の責任者、ウォンズ学園長だ。またの名を『骨男爵』私を呼ぶ時は骨男爵でかまわないよ」

「学園長、その変なあだ名は諦めてくださいと何度言えば」

「シラサギ先生!骨男爵は私の夢なんですぞ!我々骨人間の間で最も栄光とされる呼び名であって英雄の『ボーンセスナ』も骨男爵の称号を持っていたとされているのですぞ!」

春時はとりあえず学園長とは気が合いそうな気がした。

「ねぇねぇ、なんでお父さんは聖語しゃべれるの?私と同じでしゃべれないはずなのに」

「魔法だよ、絶対そうだ、いや、それ以外に何があろうか?」

「大丈夫?かなりおかしいわよ春時?」

≪かなりって・・・・ひどいな≫

「あぁ、そういえば、そなたはシラサギ先生のお嬢様でしたね」

学園長が雪に向かってそう言った。

「・・・・・?」

しかし言葉が通じない。

「無礼な、返事くらいしてくれてもいいのに・・・どうせ骨人間だからバカにしてるんだ」

「学園長、言葉が聖語ですよ?」

ミーファが慣れた様子で学園長にそう注意した。

「あぁ、そうだったな、これは失礼した。では、騎士魔法で」

学園長はそう言って指先を少し動かした。すると、指先から一粒の光が生まれる。

その光は黄色で、まるで蛍のようだった。その光は一瞬で雪の体に飛び込む。

「・・・え?・・・どうしたの?」

雪がしゃべると、

「すごいわ、こういった高等呪文をあっさりできる所はやはり学園長ね」

ミーファが感心している。という事は言葉が通じるようになったようだ。

「あ・・・言葉が分かる」

雪もミーファの言葉が分かるようだ。

「さて、改めて・・・初めまして、春時くん」

「ど、どうも」

ようやくまともな話しに入れるようになった。

「君の事は少し調べさせてもらったよ、何せ特別な人だからね」

「も、もしかして!・・・オレが別の世界から来た事を・・・知っているんですか?」

「・・・・え?そうなの?」

学園長が骨のくせにリアルに驚いた顔をした。

「う、うそだよ。もちろん、知っている。本当だからね」

春時は学園長が頼りない事を悟った。


「とりあえず、君を特別な人間として認めた理由を話そうか。第一の理由は・・・君にかけられている不滅呪文、『ラルゲナ』だよ。その呪文の効力は『言葉を理解する呪文』」

「・・・???・・・要するに万能言語翻訳呪文ですか?」

「まぁ、そういうことだね」

「ちょ、ちょっと、なんで古代上級魔法があんたなんかにかけられているのよ?」

「コダイジョウキュウマホウ?・・・だれか説明を求む」

春時が目を点にして混乱していたのでミーファが早口に説明した。

「古代上級魔法は、この世界ができた頃である約3000年前にあった魔法の事よ。今の世界のように多くの人が使えたわけじゃないから古代魔法は現代でも高等職者のマスターしか使えない難しいものなのよ、元々持っている魔力の強さやその魔力の微量調節と制御コントロール、更に人間ではない種族しか古代魔法は使えないのよ」

「要するにめっちゃすげー魔法って事なんだな」

春時は軽く流した。

「それで?なんでオレにそんな大層な魔法がかかっている事がわかったの?」

「簡単だよ、君は聖語も桜語もしゃべれると思われているが、私には何語にでも聞こえるからだよ」

「・・・つまり、聖語にも桜語にも聞こえるんですか?」

「もっと言えば竜語りゅうご妖語ようご骨語こつご、もっと他の言葉としても理解できるのだよ。どう?すごくない?」

「確かに・・・そんな魔法がかかっている俺がすごいですね」

春時はわざとそう言った。案の定学園長は誰にでもわかるぐらいに落ち込んだ顔をした。

「・・・で?オレが只者ではない事がわかった理由はそれだけですか?」

「あ、あぁ、うん、いや・・・・うん、他にもあるよ」

大分投げやりになった学園長だが話は進める。

「丁度一昨日の夜だ・・・世界のエレルギーバランスがちょ〜〜っとぶれたのだよ」

学園長は骨の関節が良く見える骨の指で『ちょっと』というジェスチャーをした。

「ぶれた?・・・つまりどういうことです?」

「学園長!それ本当ですか!?」

ミーファがいきなり金切り声を上げてつっかかってきた。

「うるさいなぁ・・・ぶれただけなら数値は元に戻っているんだろ?」

「バカ!世界のエネルギーは常に変化しているのよ!人が一人死ねば減るし!逆に生命が誕生すれば増える!もちろん人だけじゃないわ。命あるもの全てよ。草木や動物、虫だってエネルギーとして存在するのよ・・・でも、その変化を感じる事は不可能に近いのよ。どんなマスターでも、何事も無い日常での数値の変化はわからないわ・・・・でも、一昨日の夜は、数値が変わったのがわかったのよ?・・・これがどういう事か・・・わかる?」

「いや、わっかんね」

「この単細胞が・・・脳ミソ入ってないんじゃないの?」

ミーファが春時の首を絞めながら冷酷に怒っていた。

「まぁまぁ、春時くんはこの世界の人間ではないのだ、すぐに理解できなくても仕方が無い」

学園長がミーファを何とか止めたので春時はなんとか生き延びた。

「簡単に説明をすると、エネルギーは要するに生命の力の事だ。よって、この世界に今存在している命あるもの全てがエネルギーなのだ。だが、例えば・・・植物の種を一つだけ蒔いて、その種から芽が出たとすると・・・それだけでエネルギーは増えているはずなのだが・・・そのエネルギーの変化はあまりにも微量なため、学園長をしているマスターの私ですらわからない、だが・・・そんな私にも、一昨日のエネルギーのぶれは確かに感じた・・・エネルギーが確かに増えてから減ったのだ・・・つまり・・・その数秒の間に、軽く見積もっても、小さな国一つが出現して消滅した事になるのだよ」

学園長がそういうと、部屋が静かになった。

ミーファも雪も、そして春時も、その信じられない事実に固まっていた。

「・・・まぁ、それに関係していると、私は踏んでいるという事だ」

「・・・国一つが現れて消えるのと、オレが異世界から来た事・・・それが繋がっているかもしれないのか」

「あくまでも・・・私の推測だが・・・一度増えてから消えたというこの変化は・・・君の言う異世界から何者かがやって来て・・・消えてしまった、もしくは・・・隠れた事になる」

「隠れる?・・・生命の力が・・・エネルギーなんじゃ?」


「・・・・悪魔になれば、生命の力を気取られないようになるのだよ」


学園長は表情の無い骸骨の顔で、ただそれだけを言った。


「まぁ・・・そうなると一波乱来そうだな〜って感じはするけど、多分君は100%それに巻き込まれた不幸な少年だと思うから、まぁ、ドンマイみたいな?」

「え?そ、そんな軽く見ていいんですか?」

春時はまだ青い顔から変わっていないがしっかりつっこんだ。

「・・・悪魔との戦いは今に始まった事ではない、何千年という時を我々は戦ってきた。それこそ、敵の数は無限とでも言うくらいだったよ・・・だから、今更国一つ分の悪魔が現れても、こちらとしては面倒ごとが増えただけで失ったものは無い・・・だが、君は違うだろう?・・・・家族も、友も、自分の居場所さえも・・・こことは違う世界にあるのだろ?」

「・・・それは」


春時はようやく、自分が何を失ってしまったのか、理解した。


昨日までは一人かもしれないという孤独感があった。だが・・・今感じているものは、寂しさだった。


「・・・オレ・・・帰れると思いますか?」

「・・・・最も長く続いている種族である竜族の文献を研究している私から言わせてもらうと・・・今までに、異世界からの来訪者はいない・・・すまないが、君は帰る事ができないと思う」

「・・・・そうですか」


学園長は明日またきてくれと言った。

そして一先ず、春時とミーファと雪は、雪の父でもあり先生であるシラサギ先生に連れ添ってもらい、学園長室を出たのだった。



感想評価まってまぁあああす! by作者


おい、シリアスモードはどうした? by春時

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