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相部屋

 「お昼に病室にいませんでしたねぇ。」

午後のリハビリの時に、理学療法士さんに言われました。入院中、足さえつかなければ何をやってもよいといわれていた私は、ほとんどの時間を病室以外の場所で過ごしていました。きっとその時は、ラウンジに置かれていた漫画が面白くて、のめり込んでいたのだと思います。ごめんなさい。


 私が病室に帰りたくなかった理由は、居たくなかったら。

 病院にはいろいろな方がいらっしゃいます。整形外科と言っても皆が皆、手術をして順調に回復してい訳ではありません。予想外の事態になって、予定よりも長く入院されている方もいらっしゃいます。私の同室の方もそうでした。

 その方は、3週間も点滴が外せないままでいました。抗生剤を服薬にかえると熱がでて、回復の兆候が見られないようです。そのために、トイレ以外はベットの上で安静。ラウンジの自動販売機にもいったことがないそうです。

 回診時、

「トンネルの出口みえましたかねぇ、先生」

「まだ出口みえねぇなぁ」と、先生が答えます。こんな答えでは、聞いた方も気が参ってしまいます。

 それは分かるのですが、だからと言って先生への不満をこちらに向けられても、どうしたものやらです。相手は自分の親ほどの年齢の方です。自分の中途半端な知識を披露したところで、気が休まるとも思いません。逆撫でしてしまいそうなので、黙って聞いている他ありませんでした。

 リハビリから帰ってくれば、リハビリに行けることを羨ましがられ、ラウンジから帰ってくれば、ラウンジに行けることを羨ましがられ。

 同地の方々は入院期間が長いだけあって、看護師さん品評会が行われたことも。あの人は優しいとか、対応がいいとか。その逆ももちろん、実名こそ出されませんでしたが、いろいろと思う事がおありのようです。

 個々の看護師さんの対応もさることながら、ナースコールをしてから来てくれるまでの待ち時間の長さもご不満のようです。もちろん、同室の方々が特別にわがままだとは思いません。排泄が自分で出来ない方なら、深刻な問題です。ある時のことです。

「今日は看護婦さんたち、忙しそうねぇ」と患者さんに言われて

「いつでも、看護婦不足です」と返していました。

 

 夕食時に飲んだ鎮痛剤の効き目が切れる朝方。うずく左足、鳴り止まないナースコール、同室の方の寝息を聞きながら、大学時代の講義を思い出していました。

 何の講義だったのかは覚えていませんが、教授が教壇から看護師の激務の問題を説いていました。激務から看護師のなり手が減少し、また激務になるスパイラスです。友達も、あまりの激務に病院勤務をやめてしまいました。看護師さんだって、人間なのです。


 私が考えたところで、どうしようもない問題です。



 

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