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お金の話

 ある休みの日の朝。

「制度休、いつがいい」と亭主殿が言い出しました。

「いつでもいいよぉ、どっか遊びに行けるはずもないし」と私。

「そんなこと言わないでさ、海行こうよぉ」

「海なら日帰りで行けるし」

「泊りで行くからいいんじゃない」

と夫婦の会話に、突然娘が割り込んできました。

「お母さん入院したし、防具買っちゃったしお金ないじゃん」

 入学して間もない頃。部活に関するお便りを見せながら

「吹奏楽部って70万もかかるんだって。それに比べたら剣道部ってお得でしょ」と言いながらも、値の張るものを買ってもらたっという自覚はあるようです。

 私が退院した直後、学校用品の斡旋が連日のように続きました。親としては、学校で必要なら用意してやらなきゃと思いますし、娘も同級生と同じものがいいといいます。普段自宅に現金を置かない主義の我が家は、急に学用品の斡旋があるとあたふたします。普段なら、私が暇な時間を見つけて現金を用意するのですが、松葉杖生活でそれもかなわず。亭主度は自分の仕事で精いっぱいで、仕事の合間に現金を引き出しに行こうという発想もなかったようです。さらに学用品の学校での斡旋は、『お釣りの無いようにお願いします』なんて但し書きまでついてきます。そうなると小銭をため込んでいる缶やら、お互いの財布の中身やらできっかりのお金を用意するようになります。この光景を見ていた娘、

「うちって残念なだねぇ」とこぼしていました。

 いやいやいや、家に有り余るほどお金はないけれど、短期の入院とお前さんの部活用品を買ったからって

生活がすぐに困ることはないんだよ。いざという時のために、少しくらいの蓄えはあるんだよ。ただね、お金に困らないっていうと、いろんなものねだるでしょ、それが嫌でお金ないことにしておいたんだよぉ。

 という大人の事情は、説明したのがいいのでしょうか。


 入院していた時、同室の方との会話の中で入院費が話題に上ったことがあります。同室の方の中には、月をまたいで入院されている方がいました。入院費は月ごとの請求になっているようです、

「一割負担なのに、云万請求が来た」なんて話していました。

 私は3割負担。5日の入院で、アルバイトの3か月分の支払いになりました。アキレス腱を切って3か月アルバイトを休んで、3か月分の出費。もし生活に余裕がなければ、退院直前に失踪したい気分です。だからでしょうか、入院の時には連帯保証人も求められます。

 心配性で貧乏性のために、万一の時のためにと少しづつ貯えを続けてきました。その結果、よほど大きな急な出費でもない限り、困ることは今ありませんでした。ですが、もしかつかつの生活をしていたら。今回の入院で、大きな借金を作ってしまったらと思うと、ゾット思うのでした。


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