固定砲台
戦闘シーンって、どうやって書いたら良いんだろう。
私の筋力特化には、理由がある。
私がこのゲームを始めた時、ある神話があった。
アジリティー優先論。
素早さを上げ、相手の攻撃をかわし続け、自分の攻撃を当て続ける。
それだけで戦闘に勝てる。
大会に出て来るのはそんなキャラビルドの奴ばっかりだし、実際勝ち抜いているのもそういうキャラが主流だった。
私にはそれは気に入らなかった。私には理想がある。高い丘の上で、ピョンピョン飛び回る敵を、固定砲台として、片っ端から撃ち落とす。戦端を守れる存在、個人要塞、そういうモノになりたかった。伝説のミニミ使いの戦士、ベヒモスの様に。
残念ながら、今までは火力が低過ぎて実行出来なかった。でも、今ならみんなの協力で、へカートがある。
全てのアビリティを筋力特化に振ったこのキャラなら、へカートをハンドガン扱い出来る。
サブ武器のスプレーガンと共に、へカートをボルトアクションで撃ち続けるその姿は、いつしか「踊る狂王」と呼ばれていた。
うん。綺麗じゃないか。久し振りに受け容れられる二つ名だ。
今までの鬱憤を振り払い、私はボルトアクションを起こし続けるのだった。
後1話。