白状させる幼馴染
君に昔みたいに何の気兼ねも罪悪感もなく、この想いをぶつけたかった。
けれど、その想いと同じくらいに知られたくはなかった、君だけには。
この想いが知られても僕の居場所がそのままである保障なんて誰もしてくれない。
それは君にしか出来ない。
僕は君に気持ちを伝えられなくても、側でいられるならいいって思うんだ、今はまだ。
けれど、そのうちそれだけでは満足できなくなるだろう。
だから、僕に断ち切らせる勇気をください。
逃避できるチャンスをください。
そしたら、きっと…きっと諦められるだろう。
もう何も知らなかった頃には戻れないから。
「ぅ……」
「目を逸らすな。正直に答えろ」
秀治は明良の両肩をつかみ、逃げられないようにすると睨むように低い声で問うた。明良がびくんと体をこわばらせ、冷や汗をたらし始める。それは秀治の目にもよく見えていて、あからさまに嘘ついていますと自己主張していた。だから、あとは口を割らすだけだ。
「明良は俺にどうして嘘をつく?」
「…うそなんか、ついてない、よ?」
そう言いつつも明良の視線はすーと、秀治から逸らされる。むっと眉を顰めた秀治は今度は明良の小さな顔をつかみ、目を覗き込む。嘘じゃないなら逸らさないでいられるよな、と口元を皮肉に歪めて。
「本当のことを言いなさい、明良。俺はもうそのことに関しては怒りません。ただ知りたいだけです…しつこいですが」
「……はい。すみません。嘘ついてました。けど、聞かないでください!」
「言え。」
「…はい。本当は用事なんてありません。ごめんなさい。ちょっと恥ずかしかったんです…傍に居てくれと口走ったのが。それでつい、どうしたらいいのか混乱しちゃって思わず嘘つきました。」
ああ…なんか視界が滲んできたかも…。
「よし。よく白状した、えらい。…ところでお前は一体どんな夢見たんだ?アレも嘘だったろ」
ここまで口割らされたらもう何でもいいや。どうとでもなれ…。今度は気のせいなんかじゃなくてはっきりとわかるほどに視界が曇っていて揺れていた。
「……秀治との夢を見たんだ。もうお前は憶えていないかも知れないけど、小さい頃の約束をずっと夢に見ては泣いてきたんだよ…」
そう言ったら、とうとう言ってしまったなという思いが溢れて、また涙が零れてきた。