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能力測定


そこからのアレク王による説明をまとめると、こういう事のようだ。


この世界は、フェノーメノという。

そしてここは、ブライス王国の王都セイレーンという場所らしい。

主に重工業製品を特産とする国であり、セイレーンは、王のすまう王都であると共に、製品を輸出入するための貿易の要でもある。


貿易に関する雑務の多さや、隣国国境からの距離を考え、このような立地になったのだろう。

そもそも国土が広くないらしいため、ここ以外しっかりと都が築けなかったのかもしれないが。


そして、真たちを召喚術とやらで呼んだ理由だが、これまた物騒なものだった。



アレク王曰く、この国はいま未曾有の危機に晒されている。それも、人との争いだけではない。

突如として現れ、隣国へと進出するとたちまち全土を手中に収めたという、『魔王軍』。


その驚異的な力を持つ魔王軍が、次第にブライス王国にも手を伸ばして来ている。


真たち勇者には、その軍勢を迎え撃って欲しい。


異世界から召喚されてきた勇者達には、それぞれ特殊な能力が備わっていることが多い。


戦闘に向かぬような能力であれば、前線に送り出すような事は出来ないし、貴族どもがうるさいかもしれないが、勇者の扱いに関して手出しはさせない。


だから安心して欲しい。

そして、戦力として扱えるかどうか判断するため、その能力を計らせて欲しい。


と。


こちらの意見など気にしていない説明であったし、釈然としない部分が多かったが、先程会話をした感じでは、根っからの悪人ではなかったように思う。


聞きたい事は後々聞いて行くとして、とりあえず能力を計るべきか。



「…真、どう思う?」


不安げに声を揺らしながら聞いてきたのは、幼馴染の佐倉(さくら) 千乃(ちの)。腰ほどまで伸ばした黒髪は美しく、顔立ちも素晴らしく整っている。そんな彼女が男子から人気があるのは当然であるのだが、彼女は近しい人間にしか心を開かない。


冷たくされるのがいい、という何とも偏った性癖をもつ連中もいるらしいが、それ以外の連中からはこの幼馴染ポジションを妬まれている。

彼女とは家の近さからよく一緒に登校はしていたし、朝は起こしに来てくれるという伝説の幼馴染である。


そして、身長が181cmの真に対し、佐倉は160cmほどであることから、自然と上目遣いになる。


美少女が至近距離から不安げに見上げてくる、効果はバツグンな攻撃に耐えていると、


「とりあえず能力を計るくらいはしてみてもいいんじゃないか?真?」

「だよな!さっき召喚術とか言ってたし、もしかしたら魔法とか使えるかもしんないし!」


と彼女の後ろから声が掛かる。


「…そうだな。というか、無事で良かったよ、市原、野

「我としたことがうっかりとしておったわ!これから能力を測定するための装置のような物、ステータス・プレートと呼ばれる物を配布する!それを持ったら、<ステータス>と念じるがよい!プレート上に詳しい情報が浮かび上がる筈じゃ!」


…野田に恨みでもあるのか王よ。


まぁいい、これでプレートで能力を測定するまでは少しだけ暇がある筈だ。


「無事で良かったよ、市原、野田」


やっと、もう二人の幼馴染に再会の挨拶が出来た。

市原も野田も、俺とほとんど背は変わらず、顔も整っている。


市原は、全体的に落ち着いた雰囲気で、整髪料などはつけない黒髪は、優等生然とした雰囲気にピタリと合っている。


野田は、高校に入ってから染めた短く切った金髪を、ツンツンと立てており、ヤンチャそうな目によく似合っている。ピアスは怖くて開けられなかったらしい。もちろん、県立高校なのでよく生徒指導部のお世話になっている。



彼らと先程の説明で持った疑問点や、これからの不安などについて話していると、白に金の刺繍が入ったローブを纏う中年男性が近づいて来て、真達に少し大きめのスマートフォンくらいのサイズの、ガラス板のような物を配る。


「これがステータス・プレートか?」

「そうじゃね?」

「王によると、<ステータス>と念じるだけでよかった筈だな?」


などと確認していると、佐倉は早速使ってみたらしい。


「…!何か浮かんで来たよ、ほら!」


見せて来た板上には、


-------------------

氏名 : 佐倉 千乃 ♀ (17)

種族 : 人族 Lv.1 職業 : 魔法使い Lv.7


体力 : 137

筋力 : 93

知力 : 118

魔力 : 121


<適性>

火・土・光

<固有能力>

魔素吸収、合成魔法

<スキル>

光魔法、火魔法

<称号>

異世界人、勇者、魔術師


-------------------


……強そう。としか言えなかった。


しかし、魔力という項目や適性の項目があることから、やはりこの世界には魔法が存在するようだ。


よし、流れに乗って俺も測定してみるか。


「「「ステータス!」」」

あ、3人共被った。


文字が浮かび上がって来たけど…なんか佐原のと違う…?機種が違ったりするのかしら…


佐原のは背景が白地で、文字が黒だったのに、俺のは逆で黒地に白で文字が書かれてるな…どれどれ…


-------------------

氏名 : 匝瑳 真 ♂ (--)

種族 : 人(魔王) Lv.52 職業 : 眷属王 Lv.20


体力 : 23609

筋力 : 16571

知力 : 30257

魔力 : 31073


<適性>


<固有能力>

闇魔法、幻惑魔法、眷属化、上級鑑定、反射、全吸収、再生、能力共有、創造魔法

<スキル>

時空魔法、闇魔法、結界、弓術、投擲術、短刀術

<称号>

異世界人、不死の魔王、賢王、狙撃手


-------------------


「…………」

あまりにあんまりなステータスを見て呆然としていると、野田がハイテンションで話しかけてくる。


「真!お前はどうだったんだ?俺は拳闘士って職業だったぜ!」

「え!?…いや、まぁ…」

「そう無理に聞くようなことでもないだろう? 真も、言いたくないなら言わなくていい」


市原が止めに入ってくれて助かった…

うっかりと言ってしまって、そのまま討伐されかねなかった。



っていうか、『人(魔王)』って何だよ!!



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