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居候を許可する9(1・8)

 人間は二種類に分けることが出来る。というありきたりな言葉から始めさせてもらうとしよう。


 これはチェックの上着並みによくあるフレーズだが、この文頭からの広がりもそれなりにあると思う。二種類に分別するという条件だけなのだから、そこから広がる余地は、十分という表現が過少評価になってしまうほどだろう。

 宇宙的に広いのではないか、と宇宙についてよく知らない僕が言ってみる。無限の比喩のつもりで使ってみる。


 さて、この一節を使うことを断ったことだし、そろそろ本題に戻ろう。


 人間に二種類に分けることが出来る。それは──能動受動の関係。

 僕が今回用いる分別方法はそれだ。数ある中から、数え切れない中から、僕はそれを選んだ。


 作用側と被作用側の関係。それをもっと具体的に、僕の使いたい意味を前面に押し出して言うとするなら……


 状況を変える人間と、それに巻き込まれる人間。


 誰かが行動を起こすと、それによって状況が変わる。何かしらのアクションを起こせば、環境にも何らかの影響が及ぼされる。

 そして、その場にいた人間は、いやおう無く状況に巻き込まれることとなる。巻き込まれることになる。


 例えば待ち合わせの遅刻。

 例えば仕事でのミス。

 例えば教育。

 例えば本の購入。


 例えば、突然の居候。


 こうやって挙げていくと、ほとんどすべてのものが、人と接するすべての現象が、この『台風と草』のような関係に属していると思える。含まれていないものなんて無いんじゃないかと、反例の集合は空集合とイコールなのではないかと、思ってしまう。

 それが果たして僕の思い込みなのか、はたまた真理と呼んでいいような普遍的なものなのか。という話は、実は僕がこれから言いたいこととはほとんどかかわりが無いので、あまり深くまで突っ込むのはやめにしておく。


 僕は、今回の件に関しては誰がどう見ても明らかに巻き込まれただろう。それくらいは断定させてもらってもいいのではないか。


 僕が草で、彼女が台風。


 僕が泊めさせて、彼女が泊めさせられた、という図に持ち込むのは、いくらなんでも無茶すぎると思う。思う、というのは僕なりの謙虚な表現で、実際には二重線を引きたいくらいだ。


 いくらなんでも無茶すぎる。そうだろう?


 僕は巻き込まれた。と言うと、そしてそのことをあれこれ言葉を変えて納得してもらおうとしていると、まるで何かの言い訳をしているみたいに見えるのが、我ながら不服な点だが、コレがお前の言いたかったことか? と聞かれると、僕は首を横に振らざるを得ない。


 ……。怒るのももっともだ。


 これだけいろいろと言って、僕の伝えたいことに一向にたどり着かないのは、はたしてどういうわけだろうか。僕としては、何かをはぐらかす気もないし、相手の血圧を上げる作業に従事しているつもりも無いのだけれど。


 こればかりは、たぶん性格と言うしかないのだろう。これが僕のパーソナリティだ、と開き直ってしまえば楽なのだろう。

 ま、別にこの回りくどさに苦しんでいるのは僕ではないのだけれど。

 その点では、僕が台風側なのだろう。

 立場は見る対象によって変わる。一生草でい続ける人もいないし、死ぬまで台風的にかき乱すだけの人だっていない。


 とりあえず、僕は、この居候事件においては、巻き込まれた側に所属しているわけだ。それが核心ではないが、とりあえず納得してもらいたい点の一つ目。


 そして、本題はここから。


 手短に言えば、居候がやってきた。といっても、彼女とは、美和とは別の──すなわち二人目の……



「あれ? 今日からちょっと泊まって行っていいって、約束してたわよね?」


 ……。なんというタイミングで登場してくるんだ。


「ん? どーした? あれ…… 女物の靴がある……」


 僕が、この適当主義の従姉の来訪に対応する前に、彼女はそれを目ざとく発見した。

 玄関の棚をわざわざ開けて。


「良ちゃん…… もしかしてぇ…… こっそり同棲しちゃってるのかなぁ?」


 ニヤニヤと、何か悪いことを考えている従姉。否定してたいが、状況が悪すぎる。


「あれれぇ? これって、おじさんにちゃっと言ったのかなぁ? もしかして、内緒で連れ込み?」


「そういうわけじゃ……」


「じゃあ、どういうわけ? 言ってみ?」


 ……。くぅ。

 玄関からまだ一歩も上がらずに僕のことをなじる従姉。彼女は、予定よりも一週間ほど早く、何の連絡もなしに突然やってきやがったわけで。


 これが居候の期限を決めた理由だったわけなのだが……


 この人の適当さを見くびっていたか……

 またもや再開です。

 違う話を毎日書き続けるというのも、なかなか疲れてしまうものでした(笑)

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