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刀のアイツと言葉のボク(1.0)

「正義っつぅのはさ、結局のところ野蛮な世界にしかないって思うんだけどな。そこんところ、お前はどう思う?」



 嫌みなことばかり言う少年は、今日もまたよくわからないことを言う。ボクはどうしてこんな奴のざれ言に付き合わなくてはいけないのか……


 無駄に明るい街灯が夜の公園を照らしている。周囲を木々に覆われた休憩所、こんな時間にはボクら以外の人間は存在しなかった。

 時々聞こえる車の走る音が、逆に静寂を良く表していた。


「正義ってのはさ、悪がいなければ存在できねぇんだよな」


「まぁ、悪を滅ぼすのが正義だからね」


「悪を滅ぼすために正義が存在する。悪人を裁くのが正義だ。つうことはな。つまるところ、正義の存在理由は悪を滅ぼすことだろ?」


「だから、悪がいなければ正義もいない、ということ?」


「そうそう。そういうことだ」



 子供っぽくニヤニヤとするアイツ。いったい何がそんなに面白いんだろうか。


 コイツをもはや自分とは違う生き物だと定義しているボクにとって、意味がわからないという現象はさほど気味悪いものでもない。かといって、気分が朗らかになるようなものでもないが。



「正義サイドの人間にもっとも必要とされる力って、なんだかわかるか?」



 話が不意に変わる。スパッと切れ味のいい刀できれいに切ったような変わりようだ。

 まぁ、それにも慣れっこなのが、ボクというロクデナシなのだけれどね。


「さっきの話から行くと、……、そうだなぁ。悪を見つ」


「悪を見つけ出す能力だ」


「おい…… ボク、今それを言おうとしたんだけど」


「聞き手にいいところを持っていかれたくはねぇからな」


「どんな理由だよ」



 まったく。まぁ、いいけどさ……


 公園沿いの道を走る車もどんどん減ってきて、いよいよあたりはほぼ完全な静寂になった。ボクの呼吸音を除けば、何の音も聞こえない。ニアリーイコールで静寂。



「弱きを助ける心とか、向上心とか、たゆまない努力とか…… そういう良さげな言葉で身をまとっている正義のヒーローは、とにかく悪に遭遇しなければいけない。皆に感謝されるように、その存在を認められるように、どっかから相手を見つけてこないといけない。自分の力を示すために、暴力で暴力を消すことを周囲に認めさせるために」


「ふぅん。そんなひねくれ者のようなことを言って、お前は結局何が言いたいんだ?」


「何が言いたい? おいおい、これは学校の授業じゃないんだぜ。いくらなんでもそれはねぇんじゃねえか?」


「……どういう意味だ?」


「えさは自分でとれってことだよ」




 今日一番の悪い笑顔を向ける少年。時刻はまもなく午前零時に向かうところだ。

 

 ネット接続の問題で、少々ブランクがあいてしまいました^^;


 今日から! 毎日更新を頑張ります^^

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