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三つの思い(千)

「お前と走るのっていつ以来かな」


「受験勉強はじめてからは一度も無いから、一年ぶりぐらい?」


「そっか。そうだよなぁ、そう聞くと余計懐かしく感じるな。ホント、久しぶりって感じ」


 二人の青年が早朝の公園を走っている。一周八百メートルのランニングコース、今三週目に突入した。ゆっくりと走っているためどちらも息は切れていなく、会話をしながら走り続ける。


「大学かぁ…… あと一ヶ月もすれば入学だけど、ぜんぜん実感わかねぇな」


「そういうものじゃない? 僕もそうだし」


 二人は同じ大学に入学する。二月も逃げるように過ぎて、三月が去れば彼らは大学生だ。


「みゆのやつも受かったってな」


「うん、聞いたよ。携帯に電話してきたから」


「うわっ、アイツ、ジツには電話しといて、オレには翌日メールかよ!」


「えっ? ……。それは……たぶん、受かったのがうれしくて、いろいろ連絡しているうちにうっかりレンに言うの遅れたんじゃない?」


「いや、さすがに一日中連絡はしてないだろ。普通に忘れてたか、アイツの場合故意に連絡をしなかったこともありえる」


 ジツとレン、そしてみゆは小学校から高校まですべて同じの幼馴染。指定校推薦で受かった二人と違って、一般入試を受けたみゆの結果が出たのは五日前だった。彼女も無事に同じ大学に受かり、はれて小学校から大学までの仲になった。


「これ、ラスト一周にしとくか」


「そうだね。正直、もう結構疲れてる」


「ハハ、だらしねぇな。とかいうオレも足が重くなってるが」


「お互い、運動不足だね」


「そんなの、もう何日も走ってればすぐに直るさ」


 二人は汗をかきながら走り続ける。首にかけたタオルがパタパタと動いている。

 まだ日が出たばかりだが、公園をウォーキングする人たちが結構いる。老人が多く見られるが、誰も皆年など感じさせずに元気に歩いている。ジツとレンのように走っている人も少数いる。


「なぁ、お前ってみゆのことどう思ってる?」


 残り一周も半分ほど過ぎたところで、いつもとかわらないトーンでジツが言った。前を向いたまま、走ったまま。


「どうって?」


「いや、なんていうかだな……」


「好きだよ」


「おぉ…… 意外とストレートだな。で、それって友達として?」


「……ていうか、なんでそんなこと聞くの?」


「いや、なんとなくかな?」


「ふぅん」


 二人は無言になった。疲れで口が利けないのかもしれない。ただ互いに何も言わないだけなのかもしれない。

 そして、半周も走り終え、二人は近くのベンチに腰掛けた。乱れた息を整え、持ってきたペットボトルで水を飲む。頭上は、少し曇り気味の空だった。


「昨日さ、オレ告白したんだ」


「えっ? 誰に?」


「……笑うなよ」


「いいから!」


「……。みゆ」


 ジツは目を丸くしてレンを見た。レンはばつが悪そうに前を向いたまま笑っている。


「そしてフられた」


「……わぁ」


「それでさ、聞いたんだよ。どうしてかって」


「うん」


「そしたらさ、好きな奴がいるって」


「……そうなんだ」


 ジツは目を細めて、何かを考えている。レンは少しの間黙っていて、それからまた口を開いた。


「お前さ、みゆのこと好きって言ってたよな。それって、女としてか?」


「……」


「もしそうなら、今日にでも告白したほうがいい。……、オレはさ、こんなこというの変かもしれないけどさ、アイツが誰かのことを好きなこと、最初からわかっていたんだ」


「……そうなんだ」


「あぁ、ずっと一緒にいればわかるさ。お前以外は、皆わかっている」


「僕が鈍いみたいだね」


「その通りだよ」


 レンはグッとこぶしを握り、そしてそれを解いた。


「お前がいつから好きになったのかは知らないけど、もう八年は待たせてるぞ。そろそろどうにかしないと、アイツもどっか行っちまうぞ」


「……」


「って、オレがフられてるわけだし、それはないか」


「レン」


「あ?」


「ごめ」


「ゴメンなんて言ったらぶっ飛ばすぞ」


「……うん。ありが」


「ありがとうなんて言ったら蹴っ飛ばすぞ」


「……うん」

 今回は、地味に千五百文字ぐらいでしたが、半は省略しました。

 これからは、これくらいの時間に投稿できらたいいなぁなんて思ってます。

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