第4話 探さないでください
絶対に探さないで
「ほら席について!」ガヤガヤしていた教室にほんの少しだけ空気のまとまりが出来た
「日直挨拶」
「起立!気を付け!礼!おはようございます」
『おはようございます』
「はい、おはようございます!」いつも通りの憂鬱な朝が始まった。
「昨日の宿題を集めるから後ろから前に持ってきて」
僕は、後ろから来るノートを受け取り前に送り出した。変わり映えのない毎日を過ごして飽き飽きしていた。特に中学2年にもなると緊張もなければ受験に対しての焦りがなく学校での楽しみがなければ刑務所のようだ。部活に入っていない僕は友人も少なく、陰キャを突き通していた。
1限のチャイムがなり、数学の教師が教室に入る。挨拶を終えて、授業が始まった。
「はいでは昨日の復習をします一次関数の・・・」
もちろん話を聞く気もない、黒板をただ写すだけで頭に入って来ない。
「それじゃ、次の問題は、えっと今日は2018年の6月18日だから、、、」また先生の日付での指名が始まった。
「あれ?日直!日付昨日のままだぞ!直せよ。って事は19日、、、じゃあ19番!」
「はい、答えは、Bだと思います」
「正解!」まぁそうだろうと思いつつ別のことを考えながら授業を受けた。給食まであと3限、長すぎる。なんか面白いこと起きてくれないかな?そして時間が経ち給食の時間、帰宅時間となった。時間は16時ごろ、帰路についていたころ目の前に血だらけのスーツを着た人が曲がり角ですれ違った。匂いもすごかったが、あまりにも現実離れした状況に身体が硬直した。僕は、恐る恐る振り返った。すると真後ろにこちらを見て立っていた。
「どうした・・・ガキ」その発言に僕は死を覚悟したが
「ガキ・・・この先、危険だから別の道行きな」と言い去っていった。その言葉で緊張が溶けて言われた通りに道を引き返した。
無事に家についた。鼻にはさっきの人の臭いが付き纏っている。正直ものすごく臭い。制服に消臭スプレーを吹きかけて、シャワーを浴びた。その時、両親の会話が脳裏に宿った。
『今日、変な人がいて付き纏われたのよ』
『へーーー』
『なんか匂いも取れなくて』
『玄関にお茶でも置いておけ』
『なんで?』
『うちでは、よくそうしてたんだよ、人混みとか、気分悪い時に玄関に熱いお茶を置いて肩を払ってた』
『効果あるの?』
『いやーあんまりないけど、お母さんが家族の為にって。だから適当にやってたけど』
『そう・・・』
そうだ試しにやってみよう!僕は、急いで風呂から上がり、お茶を沸かして玄関の目に置き肩を払った。すると気持ち程度だがお茶の匂いで上書きされて、鼻に付いた匂いは取れた。一安心して、テレビを付けたら衝撃的なニュースが目に入ってきた。
『こちら現場です。現在、容疑者は逃走中、容疑者の名前は「橋本 雅俊」25歳。社員7名を殺害し車を奪い逃走中です。凶器などは見つかっていませんが安全のため現場付近の皆様はお気を付けください。現場からは以上です。』
ニュース速報とともに映し出された男の写真がさっきあった男だった。その瞬間、僕は全身に鳥肌が立った。
あの臭い、全部死体の臭い?そう思い吐き気が出てきてトイレに向かった。落ち着いて自室で不安に襲われながらも、布団にくるまっていたら、母が慌てて帰って来て、自室にいる僕を見て安堵していた。
「直人、よかった・・・どうしたの?布団にくるまって」
「実は・・・」ことの顛末を母に話した。すると母は急いで警察に電話をしてすぐに警察が僕に話を聞きにきた。いろんなこと聞かれたが、あの一瞬だけで道を引き返したことを伝えて警察は、帰った。僕自身あのまま道を進んでたら現場を目撃したかもしれない。正直安心している。でもあの顔が脳裏から離れない。写真とは違うあの無表情の顔。僕は、無地のノートに似顔絵を描き、それをネットの掲示板に投稿した。
『この人を探さないでください』とすると掲示板は、『こわ』『気持ちわる!』『何都市伝説?』『ネタ?』といろんなことが書き込まれていった。最終的には、それをネタにして、尋ね人ポスターのように編集する人が現れた。『話しかけるな』『逃げろ』『目を合わせるな』と色々書き込まれてそれが掲示板に広まった。
ついには、検索してはいけないワードになり『似顔絵を見たら死ぬ』や『友人が実際に会ってその後亡くなった』など様々な話が付け加えられた。
その後僕は、いつも通りの毎日を過ごした。忘れようとしても忘れられないあの顔でも特に被害が無いまま月日が経った。
『ニュース速報!東京都某所にお住いの「中島 直人」さん14歳が行方不明になりました。お住まいの地域として先々月の事件現場と近いということもあり、警察は関連性があるという方向で捜査しております。現在なお、当事件の犯人は逃走中、行方もわかっておりません。えぇーただいま入ってきた情報です。先ほど『中島 直人』さんが、近くの森で遺体で発見されました。外傷はなく首にベルトを巻いていたという情報が入って来ました。関係者によると『中島 直人』さんは事件当日、「橋本雅俊」容疑者とすれ違ったという記録が残されており事件の関連性が深い恐れが出て来ております。くれぐれも周辺地域の皆様はお気を付け下さい』
この物語はフィクションです。




