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この人を探さないでください  作者: 天姫乃みこと


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第2話 因果

※この物語はフィクションです。残酷な表現があります。苦手な方はお気を付けください。

2018年 6月19日 東京都 某所 ウォーターサーバー営業所


「おい新人!」部長の声が響く。

「お前たち今月の売上はどうなってる?特に山口!お前は、面接時に言っていたこと今をよく考えてみろ!月50はどうした?お前は10も取れてないだろ?そんなクズこの会社にはいらねー!さっさと辞めちまえ!」

毎月の朝、部長は先輩社員の前で新人の営業成績について公開パワハラを行うことが昔からの伝統らしい。先輩たちも経験していたけど誰も助けてくれない。なぜなら、ここに就職しに来る人はみんな就職浪人で最終的な執着地点であり、この職場を辞職するとフリーター生活の恐怖が待っているからだ。もちろん中には耐えかねて失踪する先輩も居たらしい。そして同期も何人もいなくなった。そのおかげでいろんなツケが新人に回って来ては無理難題を強いられる。そして毎月怒鳴られる。まるで地獄のような会社だ。僕自身、Fラン大学を卒業して特にやる事がなくこの職場に就いたがこんな会社があるなんて思いもしなかった。僕自身この部長のパワハラを避けるため何とか営業成績を伸ばしても最大23件が限界だった。これでも優秀でもなければ悪いわけでもない。ただパワハラの被害には遭う。『山口、災難だな』僕は心の中で思いながらパワハラが終わるのを待った。


「お先に営業してまいりまーす」僕は、職場から逃げるように営業周りに行った。この職場での生きがいなんて無いし、ただ部長の標的にさえならなければ良いだけそう思って毎日営業をする。「橋本くん!」後ろから女性の声で僕を呼ぶ声がした。

「あ、村上さん!どうしました?」

「今日も散々だったね」僕にとっての唯一のオアシスの村上さん僕の同期で年齢は1つ上の先輩。

「いやー、そうですね。まぁ山口は災難だけど仕方ないですよ。あいつ10件にも達してないんだから。怒られても仕方ないですよ。なんで辞めないんでしょうね?」

「さぁ?でも私たちはあんなふうにならないように頑張りましょう」

「ですね」こうして各々営業先に向かった。

営業先を転々と回っていると、山口を見かけた。ちょうどお昼だったのでせっかくだし山口を説教しようと思いお昼に誘った。

「なぁ、山口、もっと上手く営業できないかな?こっちまで被害が来るんだよ。」すると山口はか細い声で「すみません。僕も頑張ってるのですがなんか上手くいかないんですよね。反省してます。ごめんなさい」僕は、少しイラッとした。

「そう、まぁ今月も頑張れよ」「はい・・・」僕らは、お店を後にして午後の営業をしに別れた。説教しようと思ったけどあんな態度でなんか気分悪いな。


僕は、午後の営業を終えて、職場に戻った。

「お疲れ様でーす。戻りました」

「お疲れ様です・・・」「うっす・・・」「・・・」職場の空気は妙に重々しくさっさと業務を終えて帰りたかった。

「さぁ!今日も残業よろしく”ね”!」部長に肩を叩かれて僕は、ムカムカと同時に絶望に近い諦めの感覚に襲われた。

部長がテレビをつけて、夕方のニュースを見ていると営業所のドアが開きか細い声で「お疲れ様です」山口が帰ってきた。

だが誰も何も言わず無視をした。そして向かいの座席に座り業務を始めた。すると山口が小さな声で「橋本さん、先ほどはありがとうございました」僕は、身に覚えのない感謝に妙な違和感を感じたが、とりあえず軽く返した。「あ、あぁ、お昼のことな。こっちこそすまんな、気が立っててよ」

「いえ、悪いのは僕ですし、それに決めました。僕辞めます。気づかせてありがとうございます」

「あぁ。は?何?」

「今までありがとうございました」

「ちょっと勝手すぎな・・・」僕が喋ってる途中に山口が急に立ち上がり、職場の空気が凍りついた。

「なんだ山口!急に立ち上がって?仕事しろ!」部長が山口を叱ると彼は、目の瞳孔を開けて満面の笑みと考えれれないぐらいの大きな感情のない笑い声を上げた

「は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は」

僕はあまりの異常さに動けずにいた。周りもザワザワするが動けてない。すると山口はロボットのように、部長の方に向かい、部長のことをじーーーと見つめて鼻に”噛みついた”。部長は痛苦しそうにもがき、山口は、勢いよく鼻を噛みちぎった。鼻の先が床にボトっと落ちて山口が我々の方に振り向き血だらけの顔を向けた瞬間、部屋が鉄の匂いと、山口の異常行動によって地獄の空気になった。誰も騒ぐことなく動けないまま、山口は、真顔のまま営業所のドアまで向かい、振り返ってにっこりと優しい笑顔で出て行った。10秒後、我々は勢いよく部屋を出て、みんな一斉に警察に通報した。泣き崩れるもの、唖然とするもの、落ち着きのないもの、社員はカオスな状態になっていた。そこに村上が帰って来た。

「村上さん」僕はキュッとしまった喉から名前を呼び見上げた。

すると目の前に逆さまになった村上の頭があった。その後ろには山口が立っており大きな声で

「あーりーがーとーねー!橋本くん!」

村上さんの首が地面に落ち、身体が僕の方に倒れた。僕は、雄叫びを上げた。


『こちら現場です。現在、容疑者は逃走中、容疑者の名前は「橋本 雅俊」25歳。社員7名を殺害し車を奪い逃走中です。凶器などは見つかっていませんが安全のため現場付近の皆様はお気を付けください。現場からは以上です。』

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