第17話 真実と現実
取調室②
「さて、今日は何を話してくれるんだ?」
「・・・何が聞きたい?」
「じゃ、じゃあ、その後の村上と女子高生について」
「あれは、特に意味は無い」
「意味とはなんだ?」
「見つけられたからと癇に障ったから」
「それだけで殺したのか?」
「・・・そう」
「わかった。では、最初の事件について話してほしい」
「あれは、山口のせいだ・・・」
「それで?」
「・・・だから、山口のせい」
監視室
「長谷川の証言とほぼ一致。だが、それが真実とは限らない。誘拐時の証言と違っているらしいからな」
「やはり証言だけじゃ立証はできないのか?」
「裁判に持ち込むにも調査がいる。長くて20日その前に釈放の可能性もある。現状あいつの実刑は殺害未遂、誘拐しかない。間違いなく黒だが、法律じゃ難しいかも知れない」
「そんなこと・・・」
「現実にあり得ないことはない。彼は上手くやりすぎた。ただそれだけだ」
取調室②
「山口がどうした?ずっとそれだけだな?過去の事件はお前がやったんだろ?」
「山口のせいだ!僕じゃない!」
「山口もお前が殺した!最初の事件で」
「違う違う、僕じゃない!」
監視室
「長谷川の時は話してくれてますね」
「だとしてもだ、それが証拠にはならない。あいつの証言を長谷川を通して我々が聞いたに過ぎない。証拠にならない」
「証拠なければ理も立たず・・・何かしらあればいいのですが」
「現実はドラマのようには行かない・・・」
取調室②
「わかった。じゃあ犯行日を確認する。いいか?」
「・・・」
「2018年6月 ウォーターサーバー営業所」
「・・・」
「2018年8月 中島直人 殺害」
「・・・」
「2023年5月 村上哲也 殺害。その後、2023年9月 内山りか 殺害」
監視室
「ダメか・・・」
「これは、かなり根気がいりますね」
取調室②
「じゃあ、最後なんで廃ビルに向かったんだ?」
「・・・」
「それぐらいは話せ」
「・・・」
監視室
「長谷川曰く、最終的にそこで自分自身を長谷川に殺して欲しかったらしい」
「なんで?」
「それはわからない。社会を転覆させたいのか?ただ終わりにしたかったのか・・・」
「このままいけば進展はなさそうですね」
長谷川探偵事務所
私たちは、1週間かけてお礼まわりをした。結局のところ有力で真実の情報は、5件ほどしかなくすぐに終わった。
「思ってた以上でしたね」
「お前が騒ぐから2週間かかると思ったじゃねーか」
「すみません」
「まぁ、警察からのお礼金たんまり貰えたしいいか。あと中森、あの時の200万の残り返せよ」
それを聞いて私はちょっと冷や汗をかいた。手元に残った金額は少なくなっていたからだ。
「えぇ〜っと・・・」
「なんだ?」
私は訳を話した。いろいろあると思ってお互いに50万は持っておこうってなって、私は、いろんな支払いに使ってしまって、石川さんには上げちゃったし、残りは100万円。すると長谷川が・・・
「当分給料は支払わないからな!」
「それは、、、」
「当たり前だろ!なんで俺が大変な時に!」
「もちろん心配してました!でも好きなモデルのブランドの新作が出て、つい・・・まとめ買いを・・・」
「仕方ねーな」
私は、いつも通りの長谷川さんに戻って安心した反面、もう二度とこんな事はしたくない。もっと落ち着いた事件が良いと思った。
「そういえば、石川さん部屋借りれたらしいですよ!」
「そうか、ここから新たな人生を送れるのか」
石川のバイト先
「石川さん!この箱持っててください!」
「わかりました!」
私は、今、順調にお金を貯めて、長谷川さんに借りた50万円のうち使った額をまとめて返そうとしている。無事に部屋も借りれたし、ひとまずはここで資金を貯めてながら就活に向けて活動している。でも時より心の奥に寂しさを感じる。なんだろう?
「石川さん!これもお願い!」
「はーい!」
私は、気にせず仕事に集中した。
『橋本容疑者逮捕から1週間が経ちましたが、現在どのような状況なのでしょうか?』
ラジオのニュースが流れた。
『はい、警察関係者によると、本人は自供しているとのこと。しかし起訴は極めて難しいといったところです』




