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ホラー  作者: 駄丹得
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幸運の鳥

中学1年生の頃、「幸運の鳥」の噂がクラスで流行っていた。


いわく、その鳥を見るとなんでも願い事が1つ叶うのだとか。

その噂の発信源は誰も知らなかったが、「隣町の子がその鳥を見てお金持ちになった」「他クラスで好きな子と付き合えた子がいる」という話は絶えず、ゴシップに飢えた中学生たちはその噂を信じるようになった。


娯楽に乏しい片田舎だったため、僕のクラスでその噂が蔓延するのにもそう時間はかからなかった。僕自身はその噂をあまり信じていなかったが、その鳥を見つけようとするクラスメイトのお願いを受けて放課後に何度か探しに行くことがあった。


昔から、見過ごせないとつい首を突っ込んでしまう性分で、お人好しだとよく言われる。だがお人好しだからと言って有能なわけではない。僕たちが何度探しても影一つ見つけることはできなかった。



「幸運の鳥って知ってるか?」


噂が流行り始めて1か月ほどたったある日の放課後、委員会の仕事で一緒になった黒瀬に聞いてみた。教室の隅で本を読んでいるタイプの黒瀬とはあまり関わりはなかったが、ある一件に巻き込まれて以来、身の回りで何か不可解なことが起きると、僕は黒瀬に相談するのが習慣になっている。


「うん。」


相変わらず無愛想な奴だ。


「友達が探してるんだけど何か詳しいこと知らないか?」


「知らない。」


ぶっきぼらぼうな言葉が返ってくる。こいつは興味がある話題には自分から質問するので、どうやら今回の件はあまり興味が無いらしい。僕のクラスでも噂は下火になり、話題は新しいゲームや昨夜のテレビの内容などに移り代わっている。


ーけど、独りぼっちは可哀そう。


と、小さくつぶやく声が聞こえた。嫌な予感がぞわぞわと背中を這い上がる。黒瀬のほうを見るが、黒瀬は何事もなかったようにプリントを揃えていた。さっき声を発したのが本当にこいつだったのか、ふと分からなくなるほど無表情だった。


窓の外の夕焼け空を、カラスがカァと鳴いて飛んでいった。



その日から数日後、クラスでは「見ると不幸になる2羽の鳥」の噂が流れた。


黒瀬はいつも通りの無表情で窓の外を眺めていた。










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