英雄か処刑か――無能錬金術師、玉座で試される
王都の中心部――。
白亜の宮殿がそびえ、豪華な装飾と赤い絨毯がまっすぐ玉座へと続く。
だが、その荘厳な空気の裏には、確かに不穏な影が潜んでいた。
俺――レオンは、王都へ招かれた英雄として広間へ通された。
だが、玉座の前に立つと、あの勇者パーティの面々がすでに並んでいた。
「……レオン。お前がここにいるとはな」
かつて俺を追放した剣士が、鋭い視線で睨みつける。
「無能と呼ばれたお前が、今さら英雄面か?」
周囲の高官たちもざわつく。
「彼が例の錬金術師……」
「だが、危険すぎる」
俺はにやりと笑った。
「英雄? いや、ただの錬金術師さ。だが――科学の力は、王都を守ることも壊すこともできる」
沈黙が広間を支配する。
そのとき――
突如、広間の外から轟音が響いた。
「魔物の群れだ! 王都の結界が破られた!」
兵士たちが駆け込み、混乱が広がる。
勇者たちが立ち上がり、王は立ち上がらずにただ冷静に言い放つ。
「錬金術師とやら。ここでお前の力を証明せよ。できねば……処刑する」
広間が凍りつく。
勇者たちは剣を抜き、俺を嘲笑する。
「どうせハッタリだろう? 無能のままなら死ぬがいい」
だが、俺は落ち着いていた。
「科学を舐めるなよ」
俺は懐から取り出した金属筒を床に叩きつけた。
閃光と轟音が広間を満たし、魔物が押し寄せる廊下を一瞬で吹き飛ばす。
続けざまに歯車仕掛けの小型装置を作動――
炎を吐き、鉄の矢を飛ばし、広間の入り口を完全に封鎖した。
群衆と兵士が息を呑む。
「……なんだ、あの力は」
「魔法ではない……新しい術だ」
勇者パーティの僧侶が怯えた声で言う。
「こいつ、本当に無能だったの……?」
俺は振り返り、玉座に向かって笑みを浮かべる。
「これが、俺の“科学チート”だ。
無能と呼ばれた錬金術師が、王都を守る最前線に立つ時代が来たってことだ」
広間に響く歓声と驚愕。
王の瞳に、一瞬だけ光るものが見えた。
それが称賛か、あるいは処刑の決意かはまだ分からない。
だが俺は知っている。
この瞬間から、王都は――いや、世界は――確実に俺の科学の影響下に入ったのだ。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
ついに王都の玉座で、レオンさんの科学チートが炸裂しました。
追放された無能が、王や勇者パーティの前で力を証明する展開……
ワクワクしてもらえたら嬉しいです!
次回は、王都の中枢での駆け引きが本格化。
科学を恐れる者、利用しようとする者、そして完全に潰そうとする者――
それぞれの思惑が交錯していきます。
「英雄」か「処刑」か、そして「科学の未来」はどうなるのか?
物語はいよいよ新章に突入します!
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次回もぜひお楽しみに!