無能追放の錬金術師、王都で大暴れ
城壁の向こうに広がる王都。
石造りの街並みは光を反射し、塔や屋根の先端が金色に輝く。
大通りには馬車、商人、冒険者、民衆が溢れ、城門をくぐると衛兵が整列して威厳を示していた。
俺――レオンが足を踏み入れた瞬間、ざわめきが走る。
「これが……あの錬金術師か」
「無能と呼ばれた男が、街を救った英雄……?」
俺はにやりと笑う。
「期待しておけ……俺の科学チートはまだ序の口だ」
王都の広場に入ると、噂は瞬く間に群衆へ広がった。
商人も冒険者も、民衆も、皆が俺を見上げ、歓声をあげる。
子どもたちは手を叩き、大人たちも息をのむ。
「錬金術師だって!?」「街を救ったのか!」
だがその熱狂の中、冷たい視線が突き刺さる。
屋根の上から、勇者パーティの剣士が俺を睨んでいる。
そして王都の高官――計算された表情でこちらを見つめる。
「追放された無能が、王都に乗り込むとは……」
剣士は歯を食いしばり、王都の高官は口元に微かな笑みを浮かべる。
俺は心の中で微笑む。
「面白くなってきた」
街角に設置した小型の発明装置を見つめる。
大小の歯車と銅線が組み合わさった機械――
これが王都での俺の科学チート第一歩となる。
そのとき、遠くの城門が破られ、魔物の群れが飛び出してきた。
小型の魔物たちが兵士や民衆を襲い、広場は瞬く間に混乱に包まれる。
「さて、実験開始だな……」
俺は落ち着いて装置を作動させる。
小さな爆発と閃光が連続して発生。
魔物たちは弾き飛ばされ、瓦や木箱が散乱する。
群衆は恐怖と歓声が入り混じる複雑な声をあげる。
「錬金術師様、すごい!」
「無能だなんて嘘だ!」
俺は笑いを抑えながら、次の発明品に目をやる。
「次はこの装置を使って――」
火薬と粉末を組み合わせ、空高く打ち上げる閃光弾。
夜空を裂くような光に、群衆は息を呑む。
その光景を見た剣士は、剣を握り直し、険しい顔で呟く。
「……ただ者ではない」
王都の高官も手を組み、静かに指示を下す。
「彼を監視せよ。必要なら力を封じる」
俺は群衆の熱気を背に、心の中で計算する。
「王都は予想以上に大きい。だが、ここで実験して影響力を広げるのに絶好の場だ」
広場の混乱は増す一方。魔物の群れは次々と現れ、衛兵や冒険者たちは押される。
だが俺は冷静だ。小型の爆発と閃光で道を作り、民衆を守る。
「科学の力、見せてやる……」
その夜、王都の玉座では、勇者パーティの連中と高官が報告を受けていた。
「追放された無能が……王都で魔物を撃退?」
「放置すれば、都市全体が彼の影響下に……」
王は静かに目を細め、決意を告げる。
「ならば、迎え入れよ……英雄としてか、あるいは処刑のためにな」
――こうして、追放された無能の錬金術師の逆転劇は、王都規模の大きな戦いへと突入する。
胸の奥のワクワク感は止まらない。
「さあ、次は王都の中心部で、俺の科学を証明してやるか……」
ここまで読んでくださってありがとうございます!
王都に到着したレオンさんの科学チート大暴れ、楽しんでもらえましたか?
今回は街を飛び出して王都規模での戦闘と混乱、そして群衆や元仲間、高官の視点を描きました。
レオンの科学は、ただの発明ではなく、世界を変える力になりつつあります。
次回は王都中心部での大事件――
王都の権力者たちや勇者パーティとの直接対決、そして新しい発明の登場……
物語はさらにスケールアップします。
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次回もぜひお楽しみに!