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「みなさま、ごきげんよう! 異世界の姫ですわ! 今、緊急で動画を回してますの!」
『緊急配信』
『寝起きっぽい姫様かわいい』
『朝から姫様みれて嬉しい』
「なんと、神社巡りの翌日。目を覚ましてみたら枕元に鏡が落ちていましたの!」
『鏡笑』
『え、御神鏡!?』
『なにそれ』
『詳しく』
「姫様。こちらの世界では、鏡が神の依代になると言われているそうですよ」
『みんな、神神言ってるけど、神様って言えよ』
『それな』
「そうなの? では、何か意味があるのでしょうか?」
そう言ってわたくしが鏡を覗き込むと、ちょうど朝日が反射して眩しく光りましたわ。
「眩しいですわ!」
『眩しい!』
『姫様、そういう演出するときは注意出して!』
【地球の世界のみなさーん、こんにちは!】
「あら、」
『誰?』
『男?』
『鏡になんかいない?』
『相変わらずすごい合成技術だな』
【鏡の中から失礼しまーす。異世界の創造神でーす! 久しぶりだね? エカチェリーヌ】
「あら? お久しぶりですわ!」
『男』
『イケメン』
『姫様とメイドちゃんの間に挟まろうとするなんて許せない』
『オタク怖い』
『こんな軽いノリの神だから、姫様もこんなになっちゃったんだよ』
「姫様への暴言、私が許しません!」
『あ』
『あ』
『あ』
『ブロックされてらw』
【へーめっちゃ便利な機能。ブロックできたら、エカチェリーヌの願いを聞き入れなくて済んだのに】
「創造神なのに、配信に出ても大丈夫なんですの?」
【いいのいいの。どうせ異世界の神だし、これだけ技術の発展した世界なら信じる人いないっしょ】
『神』
『神が信じない言うてる』
『草』
「では、わたくしの願いを叶えてくださるのね?」
【そりゃあちらこちらの神からクレーム入れられて、地球の創造神にも苦言を呈されたからね。はい、ペットのリリアンちゃん】
「まぁ! リリアンちゃん! 会いたかったですわー!」
「姫様は、リリアンちゃんのことを溺愛していらしたので、嬉しそうで何よりです」
『リリアンちゃん?』
『え、リリアンちゃん?』
『これ、どこがリリアンちゃん?』
『というか、なんて名前の生物?』
『異世界の生物だから』
「◯×◯◻︎のリリアンちゃんですわ!」
『なんて言うた?』
『聞き取れなかった』
『異世界語?』
【こちらの世界で言うと、小さいドラゴンってところかな?】
『神様解説乙』
『感謝』
「わ、私の役割……」
『メイドちゃんが』
『あ』
『神様』
『男、許さない』
「リリアンちゃんも来てくれたし、ダンジョンにでも行きましょうか? では、鏡を収納魔法で片付けて、と」
【待って待って待って待って。また動画に出てもいい?】
『神様ウケる』
『男許さない』
『くるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるな』
『面白いからあり』
「それについては、後日返答させていただきますわ!」
「では、皆様。チャンネル登録、グッドボタンどうぞよろしくお願いいたしますわ! ごきげんよう」
『神様不憫ww』