表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/10

『先日の日本全土を襲った揺れについては、まだ詳細がわかっていません。日本国内のみ揺れたとのことでしたが……専門家の皆様の見解をお伺いしてみましょう。東京大学地震研究所の』


「姫様。思ったより騒ぎになっていますね」


「わたくしの言動で国全体が動くのは当たり前でしょう? 何をそんなに気にしているの?」


「姫様、この世界では姫様は姫でないのですよ!? 一平民が国全体を動かしているのです!」


「実際、揺れたものね」


「姫様!」


 ちょっとふざけただけなのに、イリアはガミガミと怒っているわ。


「仕方ないわね。明日ダンジョンに潜って生配信いたしましょう?」


「確かに、生配信なら単なるダンジョン生成だと皆様理解してくださるでしょう」



 安心して翌日に備えて眠りについたわたくしたちはすっかり失念していました。この世界には、ダンジョンが存在しないことを。









「皆様、ごきげんよう。異世界の姫ですわ! わたくし、今日はダンジョンを探索しようと思いますの」


『姫様! 前回に続いて今日も生配信』

『生配信で合成流すのすごいよな』

『本当にダンジョンが建ったみたいだった』



「では、その前に本日のコーデですわ。奮発してユニクロで買いましたの。ユニクロは本当に着心地もよくて素晴らしいですわ」


『意外と庶民派w』

『いやでもユニクロ高くね?』

『わかる』


「攻撃は基本魔法で済ませていきますの。ダンジョンの第一階層くらいなら、目を瞑っていても探索できますわ!」


『今日も本物みたいな合成楽しみ』

『姫様おつ』

『メイドちゃんおつ』




「では、潜っていきましょう」


 ダンジョン内を探索を開始いたしましたわ。入口を入ると、見慣れた洞窟へと光景が切り替わりますの。


「皆様、気配を感じます? あちらにゴブリンがいらしてよ」


『ゴブリンがいらしてよww』

『なかなか聞かないパワーワードw』

『すごいなAI』


「姫様。グロい光景はBANの危険があります。ご注意ください」


「そうね……火魔法はまずいかしら?」


「そうですね。何がいいでしょうか?」


『真剣に攻撃方法について相談してるのウケる』

『BANされない攻撃方法、なんかない?w』

『土魔法で見えないように押し潰したら?』

『それだ』

『複数展開できるなら、土魔法で壁を作ってその中で火魔法を使って燃やすとか』


「土魔法で見えないようにした上で火魔法で燃やす……いいですわね!! では、早速」


 わたくしが魔法を展開して、ゴブリンを覆いましたわ。そのまま火魔法を展開して、燃やします。


ぎゃぁぁぁぁぁぁ!


『なかなかリアルい声だな』

『本当に絶命しているみたいで少し体調悪くなってきた』

『生配信でコメント拾ってすぐ加工できるのすごくね?』

『AIも進化したな』

『コメント、やらせじゃね?』

『それな』



「ゴブリンを倒したので、魔石を手に入れましたわ。さて、先に進みましょう」



『『こちら、森山県住みです。先日姫様がダンジョン生成した日の揺れの発生源が森山ってさっきニュースが流れました。もしかして、姫様がダンジョン生成したのは森山ですか?』』


「まぁ! 初めてのスーパーチャットをいただいたわ! ありがとう存じます。そうですわ。わたくしがダンジョンを作ったのは、森山県ですの」


『原因不明の揺れ=姫様のダンジョン生成説w』

『ウケる』


「姫様! 初めてのスパチャ、よかったですね!」

「ええ、どうしましょう? 記念にケーキを買って帰るのはいかがかしら? 食べたいものは何かある?」

「姫様がお好きなものにお使いください」



『何このほのぼの』

『『姫様、何か食べて!』』

『『あ、ずるい! スパチャしたい』』


「まぁ、皆様。ありがとう存じます。わたくし、最近この世界のモンブランにハマってしまいましたの。動画撮影のご褒美で買って帰って、メイドと楽しみますわ!」


『かわいい』

『メイドと楽しむの優しい』

『姫様かわいい』

『メイドちゃんも可愛い』





 その後も何体かゴブリンを倒して、初回配信は終わりましたわ!

 さて、ケーキですわ〜!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ