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1 運命の番

「サラ・ノアイユ嬢。貴女は私の運命のつがいです。どうかこれから、私とのことを考えてはくださいませんか」

「え、できません。申し訳ございません」



 どうして私なんだ。







 私には前世の記憶がある。二十代後半の女性で、結婚間近の交際相手がいた。


 が、この交際相手が、とんでもなかった。


 私を含めて同時に八人の女性とお付き合いしていて、おまけに借金まで隠し持っていた。

 彼から「病気が見つかったんだ。だけど治療にはお金がたくさん必要で……。そんなすぐにお金は用意できないし、どうしたらいいのか……」なんて言われて、馬鹿正直にその話を信じた私は、貯金すべてを彼に渡した。


 それからしばらくの間、彼から連絡はなかったけど、治療を頑張っているんだろうなと、健気に連絡がくるのを待っていた。


 昔の私に言ってあげたい。「早く目を覚ますんだ」と。


 彼は容姿端麗、大手企業勤務と、平々凡々な私と付き合ってくれているだけで有り難いと思っていた。まあ、大手企業勤務なんて嘘だったけど。 

 

 ひょんなことから騙されていたと知ったのだが、その時の衝撃といったら。


 そんなある日、失意のどん底にいた私の目の前を、なんと、知らない女性を連れて歩いている彼が通りすぎようとしていた。


 「待って!」


 彼を追いかけて何をしたいのか、何を言いたいのかはわからなかったが、とにかく追いかけなければと彼の方へ走っていった。


 その結果、周りをよく見ていなかった私は、飛び出した道路で車に轢かれて死んだ。

 死ぬ前に最後に見た光景は、血だらけで瀕死の私を見て嘲笑っている、彼の姿だった。



 そんな辛く悲しい過去を思い出したのは、今の私が八歳の頃。

 ノアイユ伯爵家の長女、サラ・ノアイユとして新たな生を受けた私。八歳になってすぐ、家の階段を踏み外して頭を強打したことをきっかけに、前世の記憶が戻った。


 はじめはとても混乱したが、すぐにその記憶を受け入れた。

 そして誓った。


 もう男はこりごり。私は自分の力で生きていく!




 ここは知識の国、ヴィオスティ。国外から広く人を受け入れていて、研究を盛んに行っている。

 私が通っている国立学園でも、国外から留学生を積極的に受け入れていて、様々な国の学生たちと学園生活を通して交流している。


 私は在学中に興味の持てる分野を見つけ出し、卒業後は研究職として生涯働こうと考えている。

 幸い、研究者は男女、貴族平民関係なく受け入れてくれている。



 ……だから、私のことは放っておいてくださいません?

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