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獅子倉先輩との出会い

それはまさに青天の霹靂だった。


 お昼休みの後の部活動紹介、俺は退屈そうな目で参加していた。野球部?坊主強制とか有り得ない。ラグビー部?暑苦しいのは無理。サッカー部?モテそうだけど、マネージャーが可愛くない。吹奏楽部?女子は多いけど、楽器に興味ないから無し。どの部活も俺に合わないな。次の部活はなんだ?クイズ部?インキャばっかだろ!絶対!

 虎山はそう思いながら、クイズ部の紹介を見ていた...はずだった。虎山は急に身を乗り出した。


 「おっおい!なんだあの美人は?」


 虎山が見ていたのは、クイズ部の眼鏡の部長の隣にいた女性。肌は初雪のように白く、ボブヘアのやや長めの髪の毛、そして鋭い目。見るからに性格はキツそうだが、虎山には、関係なかった。いやむしろ興味があった。



――――――――――


 部活動紹介も終わり、放課後になった。虎山は急いで、クイズ部のある三階の視聴覚室へ向かう。その途中に他の部活から勧誘を受ける。


 「君、背が高いね。バスケ部なんてどう?」


 「ガタイが良いね。ラグビー部で青春を過ごさないか?」


 虎山はそれらを跳ね除けて、階段を駆け上がった。


 「あの美人さんは確かクイズ部だったはず!」


 虎山はようやく視聴覚室へ着くと、勢いよく扉を開いた。


 「クイズ部に入部希望します。一年の虎山です!」

 

 「おーいきなり新入部員獲得か」


 虎山はその声の先を見ると、驚嘆した。


 「あっあなたは!?」


 虎山の目の前にいたのは、あの色白の美人だった。まさかいきなり対面するなんて。クソ!こういう時どうすればいいんだ!虎山は一瞬悩んだが、意を決して言った。


 「俺!先輩のことが好きです!付き合ってください!」


 部室内はざわついた。突然現れた一年生が部内一の美人に告白したからだ。


「おっおい、何なんだ!?」


「コイツ、いきなり獅子倉先輩に告白したぞ!」


 部内が騒然とする中、獅子倉はようやく開いた口を動かした。


 「ごめん、普通に無理」


 「えっえぇーー!!!」


 虎山はその場に倒れ込んだ。これまでに出会ったことのないほどの美人への一世一代の告白が失敗に終わったことにショックを隠しきれなかった。すると獅子倉は虎山に手を差し伸べながら、心配そうに答えた。


 「大丈夫?」


 「いやっ全然大丈夫じゃないです」


 「でも、君が悪いんだよ。いきなり告白してくるから」


  虎山はまだ立ち直れなかった。立ててはいるものの、産まれたばかりの子鹿のように脚をブルブルと震わせていた。すると部長らしき人物が顔を真っ赤に染めながら言った。


 「えっと、告白はともかく、とりあえず入部するでいいんだよね」


 虎山は嫌そうな顔をして答える。


 「いやー。先輩には振られちゃったし、もうクイズ部には入らなくていいかな...」


 「えーー!?それは困るよ。うちの部活は部員が少なくて、廃部の危機なんだ!頼むから入部してくれよ!」


 「そう言われても...」


 虎山がそう答えると、それを見ていた獅子倉はニヤリとし、


 「虎山くん、じゃあ私とクイズで勝負しない?もし私に一回でも勝てたら、虎山くんと付き合ってあ・げ・る」


 言った。虎山はそれを聞くと急に元気になり、獅子倉に指を差した。


 「それって本当ですね!約束ですよ!」


 虎山はニヤリと笑いながら言った。虎山には自信があった。虎山はこの高校、偏差値76の鳳聖高校を首席で合格するぐらい勉強が得意であった。勉強とクイズって同じもんだろ?先輩も見誤ったな。これで先輩とお付き合いして、あんなことやこんなことができる。虎山がそんことを考えている間に、獅子倉と虎山の前に解答ボタンが置かれたのであった。

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