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嫌われ、馬鹿にされている小説家になろうを変えたい ~ポイント入力によるストーリーオープン機能の追加とレビューシステムの改善とコミカライズ部門創設の提案

 ■小説家になろうは、悪いイメージを持たれている

 

 “小説”は、“小さな説”と書きますが、これは“個人的な説”を意味します。つまり、「何かしらのメッセージを込めて綴られている物語」こそを本来は“小説”と呼ぶのですね。

 小説家は世間において準学者のような立ち位置で扱われ事が多く、多少なりとも尊敬される場合も少なくありませんが、それには間違いなくこのような要因もあります。もちろん、これは小説に限った特性ではありません。漫画や映画、最近ではゲームにおいてでさえも“メッセージを込めた物語”の制作は行われていて、そしてそのクリエイター達が尊敬される場合も多いのです。

 ところがです。

 「小説家になろう」では、あまりこれは盛んではありません。異性にモテたり、富や名声を手に入れたりといったいわゆる“願望充足系”の物語が多く、そしてだからなのか、そのクリエイター達もあまり尊敬されてはいないようです。何か事件が起こった際に、準学者的立ち位置の小説家などがコメントを求められたりもしますが、少なくとも僕はなろう作家がコメントを求められたという話を聞いた事がありません。

 小説には、メッセージを伝え、世の中の人達に知識を広めたり意識を変えたりするといった社会的役割がありますが、つまりは、“小説家になろう”の作家達はその役割を果たしていない事になります。

 『大いなる力には大いなる責任が伴う』という格言があります。マーベル・コミックの“スパイダーマン”に出て来て有名になりましたが、これは同作品内部だけでの話ではなく、一般的な社会通念でもあります。社会通念は決して軽いものではなく、例えば裁判判決などにも影響を与えます。

 ですから、“作家”という力を持った人間が、その責任を果たさない事は、問題視されるべきなのです。

 断っておきますが、「世の中の役に立つ物語を重視し、娯楽作品は控えろ」などと訴えるつもりは僕にはありません。小説家になろうは営利企業によって運営されているのですから、利益を追求するのは当然の話です。

 がしかし、実はそれこそが最大の問題かもしれないのです。何しろ、なろう作品の原作は近年になって、どんどん売れなくなっているのですから。“小説家になろう”の主な収入源は広告でしょうから、これがいきなり致命的な問題になる事はないでしょうが、それでも長い目で観れば衰退を招く要因になってしまうでしょう。作品を多く投稿し、わずかではありますが、小説家になろうの発展に貢献して来たユーザーの一人としては、「せめて売れる作品を出版して欲しい」と願ってしまいます。

 この主張に対して、「なろう系作品のコミカライズは盛んだし、アニメ化作品だって多いじゃないか!」と反論をする人もいるかと思います。

 もちろん、それはその通りです。が、それらは“メディアミックスが盛ん”という話であって、原作の話ではありません。メディアミックスされた作品でも、原作はやはりそれほど売れていないのです。アニメ放映中に原作者が「売れていないので、原作の打ち切りが決まりました」といった発表をしたり、コミカライズ作品の打ち切りが決まったりもしているのです。

 更に言うと、メディアミックス自体の効果も実は微妙なのかもしれません。

 2023年1月から、小説家になろう原作のアニメ作品が多数放映されました。これは小説家になろうサイトを宣伝しているようなものですから、当然、アクセス数が増えているのだろうと思って調べてみたのです。確かに予想通り1月は増えていたのですが、2月には急降下していて、なんと12月よりも低くなっていました。

 これを素直に解釈するのなら、アニメを観た多くの視聴者が「小説家になろう作品は読む価値がない」と判断したとなるように思えてしまいます。少なくとも、アニメ化にそれほどプラスの効果はなかったのです。

 この原因は果たして何なのでしょうか?

 「以前に比べて作品のクオリティが低下したからだ」という声があります。なろう系は似たような作品ばかりと言われているのですが、その上で更に質まで低かったなら、流石に好んで買おうとする人は少ないでしょう。

 ですが、稀にではありますが、中にはオリジナリティがあり、高い評価を受けている作品もあるのです。僕はなろう系作品のレビュー動画(最近では、ほとんどコミカライズばかりになってしまいました)を作業中にラジオ感覚でよく視聴しているのですが、複数人のレビュアーから高い評価を受けている作品もありました。なろう系作品は、実力のあるコミカライズ担当者の努力によって良作になる場合もあるようなのですが(これは“介護”などと呼ばれていたりします)、その作品はコミカライズ担当者だけでなく、確りと原作者の方の実力が反映されているようでした。

 ですが、それでもあまり売れていません。ならば、クオリティ以外の要素も関係していると考えるべきなのではないでしょうか?

 

 大雑把な標本調査でしかないのですが、本屋さんで見かけるなろう系コミカライズ作品の帯の煽り文句が数年まえから変わってきているようなのです。

 以前は、「小説家になろうで一位の作品、期待のコミカライズ」などといった宣伝の為の煽り文句がよく目に入ったのに、最近は“小説家になろう”の文字すらあまり見かけなくなってしまったのですね(と、思ったのですが、隅の方に“小説家になろう発”と書かれてありました。それくらい目立たないって事ですが)。

 どうして僕がそんな事を気にするのかと言えば、ある漫画のレビュアーさんが、「つまらない作品の煽り文句に“なろう”を使っていたら、なろうのブランドイメージがどんどん傷ついていく」とかつて警告を発していたのを覚えているからです。

 もしかしたら、ですが、これってその警告通りの事が実際に起こっていませんかね?

 質の低い作品に“小説家になろう”のタグを付けて販売していた所為で、「小説家になろう=質が低い」というマイナスのブランドイメージを持たれてしまっている……

 その所為で、質が高い作品まで売れなくなってしまったのではないでしょうか?

 最近になって僕にとって衝撃的だった出来事がありました。

 ある動画を観ていたら、「なろう系主人公みたいに性格が悪い」といったような表現が出て来たのです。更に時事ネタを扱う他の動画でも「なろう系作家みたいに頭が悪い」という表現が使われていました。

 漫画系やアニメ系の動画ならば、特に驚くような出来事ではありません。以前からそのような悪評はよく耳にしていましたから。ですが、その動画は漫画系でもアニメ系でもなかったのです。

 しかも、なろう系作品や作家に対しての悪口を通り越して、性格や頭の悪さを表す言葉として“小説家になろう”が使われていたんです。つまり、なろう系作品の主人公及び作家が、性格や頭が悪い事が既に前提になってしまっているのですね。

 (一応、強調しておきますが、“そう言っている人がいた”という話であって、僕自身がそう主張している訳ではありません)

 どの程度かは分かりませんが、一般的にも、どうやら既に“小説家になろう”はかなり悪いイメージを持たれてしまっているようです。

 一部の人達はそれに不服でしょうが、様々なレビュアー達の作品説明を聞いていると、それも無理からぬと思えてきます。

 例えば、行動を観ているとどう考えても性格が悪いようにしか思えない男の主人公が、その作品世界では良い人と評価されていて、少しでも自分に逆らった者は容赦なく殺し、美人の女性は全員主人公に惚れていて主人公を称賛しまくる…… なんて作品があるそうです。しかも、その女性達が奴隷だったりもするのです。女性向け作品の場合でもちょっと引いてしまう作品があり、他のシーンは簡素に書いてあるのに、何故か復讐の描写だけは丹念にページ数を割いていたりする……

 いくら何でも醜いエゴをさらし過ぎではないでしょうか?

 僕は内容の一部を読んで、冗談ではなく、本気で吐き気を覚えた事が何度かあります。

 しかも、有名なのでご存知の方も多いでしょうが、完全に間違っている知識を作品内で披露していたり、常識で考えるのならあり得ないギャグ作品のようなアイデアを作中のキャラが出していたりもするのです。

 

 これでは悪いイメージを持たれても仕方ありません。むしろ、当然です(流石に、嫌われる覚悟で投稿している人の方が多いとは思いますがね……)。

 

 因みに、ChatGPTに『小説家になろうが悪いイメージを持たれている原因を教えてください』と質問してみたところ、以下のような答えが返ってきました。長くなり過ぎるので、概要だけ列挙します。

 『品質の低い作品が多い。ジャンルが偏っている。商業的な成功が少ない。作品のオリジナリティに欠ける。問題行動を取る作者がいる。文体や表現に問題がある作品がある』

 ChatGPTは、間違った返答をする場合も多々ありますが、それでも膨大な文章を読み込んで学習しているので、少なくとも“世間一般の認識”を把握する上では参考になります。

 時折、ユーザー名などに、書籍化している事をアピールする文言を付けていたりするなろう作家さんがいますが、世間的になろうが悪いイメージを持たれている点を考えると控えておいた方が良いのではないかと思われます。

 就職活動とか不利になるかもしれませんよ?

 いえ、仮に小説家になろうが悪いイメージを持たれていなくても、自己顕示欲の高さをアピールしているみたいなものなので、止めていた方が良いですが……。

 因みに、ChatGPTは、僕が先の質問をした際に、『小説家になろうの投稿者の中には、自分の作品を宣伝するために他の作品を批判する、他の投稿者を中傷するなどの問題行動を取ることがあります』などと説明していました。

 こういう印象を、もし企業の人事担当者がなろう作家に持っていたら、落としてしまうかもしれませんよね……

 もちろん、杞憂かもしれませんが。

 

 以上のような点を観れば明らかですが、小説家になろうはイメージを改善する必要があります。

 がしかし、その為には一体どうすれば良いのでしょうか?

 冒頭で「メッセージ性を持った作品」が良いイメージを持たれやすい点について説明しました。そして、小説家になろうにだって絶対にそういったメッセージ性を持った高いクオリティの作品はあるはずなのです。何しろ、膨大な数の作品が投稿されていますからね。ならば、そういった作品をもっとアピールするようにすれば小説家になろうのイメージは改善していくのではないでしょうか?

 もしかしたら、「メッセージ性を持った作品はあまり商業的に成功しない」と考えている人もいるかもしれません。

 もしそうであるのならば、一度数々のヒット作を“メッセージ性”という観点から分析してみてください。何らかのメッセージ性を持った作品が決して少なくない事に気が付くはずです。

 つまり、メッセージ性は、ビジネスの足を引っ張りはしないのです。それどころかプラスに影響しているのではないかと思われます。

 

 ――ただし、

 

 小説家になろうは、ユーザーがポイントを入れることで作品のランキングが上がり、注目を集めることで、多くの人に読まれるというシステムになっています。

 ですから、メッセージ性の強い作品をアピールしたくても、そもそもユーザーがポイントを入れてくれなくては、そういう作品が目立つようにはなりません。

 そして、それこそが、実は小説家になろうの最大の欠点であるかもしれないのです。つまり、小説家になろうは、システムに欠陥があるのです。

 

 ■システムの特性上、クオリティの高い作品が埋もれ易い

 

 1、良作にポイントを入れるメリットがユーザーに存在しない

 

 仮に小説家になろうに作品を投稿していて、上位を目指している人がいるとしてみてください。そこで明らかにクオリティの高い作品を見かけたなら、その人は果たしてその作品にポイントを入れるでしょうか?

 もしポイントを入れてしまったら、当たり前ですが、その人は不利になります。普通に考えるのなら、ポイントを入れようとは思わないのではないでしょうか? 何しろ、ポイントが入った事でその作品が多くの人に読まれるようになれば、相対的に、その人の作品の評価は下がってしまうかもしれないのですから。

 反対にクオリティの低い作品だったなら、ポイントを入れるかもしれませんが。自分の作品が良く見えますから。

 これは本人が作品を投稿していない場合にも当て嵌ります。仲間の作品を応援したいと思ったなら、やはりクオリティの高い作品にはポイントを入れないでしょう。

 つまり、クオリティが高いからこそ、作品が埋もれるという事が起こり得るのです。

 これは確りとしたデータに基づいた推論ではありません。が、先のChatGPTの説明を思い出してください。

 『小説家になろうの投稿者の中には、自分の作品を宣伝するために他の作品を批判する、他の投稿者を中傷するなどの問題行動を取ることがあります』

 です。

 前述しましたが、ChatGPTは多くのネット上の文章を読んで学習しているので、大まかな世間の印象を把握する参考にはなります。その点を鑑みるのなら、「“クオリティの高い作品”だからこそポイントを入れない」というなろうユーザーが多くいる事は、否定し切れないのではないかと思います。

 また、読み専門のユーザーの場合も、そもそもわざわざポイントを入れる必要はありません。ポイントを入れても、そのユーザーには何らメリットがないからです。更に言うと、そもそも読者が小説家になろうにユーザー登録しているとは限りません。小説を読むのに、ユーザー登録は必要ありませんからね。読んでいる作品にポイントを入れる為だけにユーザー登録をする人は恐らく少ないでしょう。

 もちろん、公平に作品を評価してポイント入れている尊敬するべき精神を持った人もいるでしょうが、そんな人は極一握りに過ぎないのではないかと思われます。

 だからでしょう。

 実は小説家になろうで、ポイントを入れる人はかつてはとても少なかったのです。たった60ポイントだけで、日間ランキングの一位になるような事もありました。その頃は複数アカウントによるポイントのかさ上げもだからかなり有効な手段で、その不正行為だけで出版に成功した人もいた程です。

 現在(2023年3月)は、日間ランキングの短編部門で10000ポイントも入っている作品がありますが、これは一部の偏ったジャンルに限った話です。それ以外のジャンルの作品は、今も似たような状況なのではないかと僕は考えています。

 

 ……正直に言って、何が起こったのかはよく分からないのですが、ある時から小説家になろうでは、一部の偏ったジャンルだけに高ポイントが入るようになってしまったのです。切っ掛けは、或いは相互評価クラスタと呼ばれる一種の組織票だったのではないかと思うのですが、それによって一部のジャンルのランキングが上がった結果、本当にそのジャンルのファン層を大量に呼び寄せてしまったのかもしれません。

 そのジャンルのファン層は、どうもかなり簡単にポイントを入れてしまうようなのですね。

 そして、もし仮に、そのファン層がSNSなどでの仲間意識によってポイントを入れているのであれば、ポイントを入れるメリットが、そのファン層だけにはある事になります。ポイントを入れる事で、仲間同士の共感を得られますからね。

 つまり、一部のジャンルにのみ、ユーザーにはポイント入れるメリットがある事になります。

 この不公平を是正する為には、良作にポイントを入れるメリットを何かしらユーザーに与えてやる必要があります。

 

 2、正のフィードバックを抑える仕組みが小説家になろうにはない

 

 この状況下では、例えどんなにクオリティの高い作品であったとしても埋もれてしまいます。漫画や動画などに比べて、文章作品は鑑賞するのに労力も時間もかかります。だからランキングを信頼して読む作品を選ぶのでしょうが、そうなるとランキング外の作品はほとんど読まれず、そもそも評価もしてもらえません。

 これは“正のフィードバック”という作用が小説家になろうにはあるという事でもあります。

 正のフィードバックとは、結果が原因に影響を与えるもののうち、更に強化するようなものを言います。作品がランキング上位に入ると、上位に入った事で益々注目を集めてその作品にポイントが入り、ポイントが入ることで注目が集まる…… というループが繰り返される事で、一部の作品のみが目立ってしまうのです。

 早い話が「人気のある作品が、ますます人気になる」という事です。

 そしてこれは実は“クオリティの低下”にも結び付いてしまうのです。

 ポイントを貰いランキング上位に入りさえすれば、それでたくさんの読者に読まれるようになり、出版もできてしまえるので、作品の品質を高める事にあまり意味がなくなるのですね。結果として小説家になろうの作家達は目立つ努力ばかりをし、面白い作品を書く努力を怠るようになります。これは一部のなろう作家も認めていて、「面白くなくても構わない」といったような事を述べています。

 ですから、一部のなろう作家達にとっては自分達の作品が売れないのも想定内なのでしょう(恐らくはメディア展開頼みという事なのだと思うのですが)。もちろんこれは小説家になろうの悪いイメージの原因の一つにもなっているのでしょうから明確に欠点です。

 また、正のフィードバックがあると、人気が一部の作品に偏っていってしまいます。多様性のないサイトは脆弱性を持つのが普通ですから、これも問題点であると言えます。YouTubeなどのサイトでは、これを防ぐ為の工夫がされてあって、ランキング上位作品が固定でトップ画面で紹介されるような仕様にはなっていません(そもそもランキング自体がないのですが)。再生回数などで有利にはなっていますが、ランダムに作品が紹介されています。

 

 ■小説家になろうのシステム改善案

 

 以上のように、小説家になろうにはシステム上の欠陥があります。逆に言えば、これらシステム上の欠陥を補うような何かがあれば悪いイメージも改善していくという事になります。

 今回、僕はその案を3つほど考えました。

 

 1つ目は、「ユーザーがポイントを入れる事にメリットを持たせる為、ポイントを入れてくれたユーザーに見返りを与えられる機能を追加する」です。

 

 具体的には、初めは非公開で、そのユーザーがポイントを入れてくれた場合にのみ、ある文章をオープンするようにできる機能を追加するのです。

 一番分かり易いのは、ミステリかもしれませんが、読者がポイントを入れると、例えば本編では語られ切らなかった謎が解明される話がオープンになったりするのですね。もちろん他にも応用は可能です。ポイントを入れるとIFストーリーが読めたり、別のキャラクター視点の話が読めたり、スピンオフ作品が読めたり、などなどと、それぞれ投稿者が工夫をすればユーザーにポイントを入れるメリットを与えられます。

 (ただし、「オチ部分がポイントを入れないと読めない」だとかいったえげつないやり方をすると絶対に嫌われるので注意が必要ですが。因みに、今のシステムでも「ポイントを入れてくれなくちゃ続きは書かない」などという脅しのような主張をして嫌われてしまった人がいるそうです)

 こうしておけば、作品を面白いと感じている読者はかなりの確率でポイントを入れてくれるのでないでしょうか? 小説家になろうに登録していない読者だったなら、登録してくれるかもしれません(そういう意味でも、小説家になろう運営にとってメリットがあります)。

 また、なろう小説を一括でダウンロードするソフトがありますが、これを使っている人はポイントを入れてくれていない人が多いように思います。そういう人達も、この機能を実現すればポイントを入れてくれるようになるでしょう(一括ダウンロードソフトを利用した場合、なろう運営に広告収入が入るかどうかを僕は知らないのですが、もし入らないのなら、なろう運営の広告収入が増えるというメリットもあります)。

 これが上手くいけば、一部の簡単にポイントを入れてくれる読者層がいる作品にのみポイントが入る今の小説家になろうの現状を変える事ができます。

 

 2つ目は、「レビュー効果ポイント算出機能の追加」です。

 

 これだけでは意味が分からないと思いますので、詳しく説明します。

 投稿者の方は経験があると思うのですが、レビューをしてもらうと、ポイントが伸びる事があります。その効果を具体的に数値で示してやる、“レビュー効果ポイント”を新たに追加するのですね。

 具体的な方法は以下です。

 まず、レビューが投稿された時点のその作品のポイントを記録しておきます。そして、現時点の作品のポイントも表記します。こうしておけば、レビュー後にその作品のポイントがどれだけ伸びたのかが分かるようになります。

 ただし、既にランキング上位に入っている作品の場合、それが本当にレビューの効果なのかは分かりません。レビューがなくても、ポイントはその作品がランキング上位にいるお陰で伸びるでしょうからね。

 そこでレビュー効果ポイントは、差分ではなく割合で求めるようにします。

 つまり、

 『現時点での作品のポイント÷レビュー時点での作品のポイント』

 にするのです。

 こうしておくと、既に人気のある作品をレビューした場合、少々ポイントが増えた程度では少ししかレビュー効果ポイントは上がらなくなり、人気のない作品をレビューした場合にのみ大きく上がるようになります。

 既に10000ポイントの作品が、レビュー後に100ポイント増えて、10100ポイントになっても、レビュー効果ポイントは、たったの1.01です。それに対して、100ポイントの作品がレビュー後に100ポイント入って200ポイントになったら、レビュー効果ポイントは2になります。

 もちろん、レビュー時点でその作品のポイントが0だった場合は割合では求められなくなりますし、2ポイントだとかあまりに低すぎるポイントだった場合、割合で求めるとレビュー効果ポイントが大きくなり過ぎてしまうので、“レビュー時点での作品のポイント”は、例え0であっても、50ポイントとして計算するだとかいった工夫が必要になってきます。

 また、投稿したばかりでポイントが少なくて当然の作品のレビューをした場合も、簡単にレビュー効果ポイントを得られてしまうので工夫が必要です。人気作家が人気ジャンルに新たに投稿すれば、これからポイントが入るのは当然ですからね。そういう作品のレビューを投稿すれば、簡単にレビュー効果ポイントを得られてしまいます。

 なので、レビュー効果ポイントは投稿後の日数に応じた係数をかけ算して求めるようにします。

 つまり、

 『現時点での作品のポイント÷レビュー時点での作品のポイント×投稿後日数係数』

 です。

 この“投稿後日数係数”は、旧い作品であればあるほど係数を高く設定します。

 例えば、仮に投稿後日数が0日の場合は係数を0.01に設定したとしましょう。レビュー時点でのポイントが100ポイントで、現時点でのポイントが1000ポイントであったとしたら、

 

 1000÷100×0.01=0.1

 

 レビュー効果ポイントはたったの0.1になります。

 これに対し、一年後にレビューしたとして、仮に投稿後日数係数を100にしたとしたら、

 

 1000÷100×100=1000

 

 レビュー効果ポイントは1000にもなります。

 同じレビューで凄まじい差がついてしまいますが、レビューの役割の一つに「認めらていない作品に光を当てること」があるとするのなら納得してもらえると思います。

 そして、このレビュー効果ポイントのユーザー毎の合計でレビュアーランキングを作成し、一定期間…… 半年に一回、一年に一回などで区切りとし、その期間毎の上位何名かを公式ブログやラジオ番組で表彰するか、或いは、その人達のレビュー本やエッセイなどを出版するようにすれば、競ってこのレビュー効果ポイントを得ようとするユーザー達が必ず現れます。

 そうして名を上げた人が、インフルエンサーになるような事もあるかもしれません(成功すれば、インフルエンサーマーケティングに繋げられる可能性もありますね)。

 読んでいて気付いた人もいると思いますが、このレビュー効果ポイントは、“旧く、ポイントは少ないが品質の高い作品”ほど高くなり易いので、そういった作品がレビューをされ易くなります。

 つまり、このシステムを導入すれば“埋もれてしまった名作”を発掘する効果が期待できるのです。これは「人気がある作品がますます人気になる」という小説家になろうの正のフィードバック作用を抑制する効果があるという事でもあります。

 

 3つ目は、『コミカライズ部門の創設』です。

 

 今まで説明して来た通り、小説投稿サイトから出版される作品には、非常に稚拙なものが少なくありません。中には出版を決めた出版社の正気を疑ってしまうほどクオリティの低い作品もあります(日本語を勉強途中の外国人が書いたのではないかと思わず疑ってしまうほど文章力が低い作品もあるし、小学生が書いたと噂になった作品もあります)。

 がしかし、漫画作品の場合は、ここまで低いクオリティの作品がネット上から出版されるような事は少ないのです(少なくとも、僕は知りません)。

 これは、小説作品は数が多い上に読むのに労力も時間もかかるので、極一部の人の評価によって決まるランキングの順位が大きな影響力を持つのに対し、漫画作品の場合は、数が小説よりも少ない上に読むのに比較的労力も時間もかからないので、多くの人がその作品自体の力によって評価したアクセス回数などで出版が決まるからでしょう。

 つまり、小説作品は信頼できないランキングの力によって出版が決まり、漫画作品はその作品自体の力によって出版が決まるという事です。

 

 ――ならば、コミカライズを介して作品を評価すれば、低クオリティの作品が上位に来るような現象は起こらなくなるのではないでしょうか?

 

 その為には、コミカライズ部門を新たに創設し、小説家になろう作品のコミカライズ作品を投稿できるようにする必要があります。

 また、ポイントでのランキングはコミカライズ作品については採用せず、アクセス数のランキングとするべきです。コミカライズ作品ならば、なろうユーザー以外の膨大な読者も呼び込む事が可能になると思われますが、ポイントでのランキングにしてしまうと、その膨大な読者の評価を取り込めませんから。

 

 これも既に述べましたが、今の小説家になろうは原作があまり売れなくなっていて、既に実態としては“漫画原作者になろう”になってしまっていますから、コミカライズ部門を創設するのは至極当然の話でもあります。

 なろう原作の漫画作品の中には、一巻だけで打ち切られてしまうようなものもありますが、それはコミカライズ向きではない作品を無理矢理にコミカライズするからでしょう。小説と違って漫画は制作するのに非常にコストがかかりますから、売れなければ簡単に打ち切られてしまうのではないかと考えられます。

 (そういったクオリティの低い原作で漫画を描かされるコミカライズ担当の方が哀れでなりません)

 しかし、初めからコミカライズされた作品の評価で出版を決めれば、このような悲劇は起こり難くなります。

 また、システムを工夫すれば、小説作品のクオリティも上げる事ができます。具体的には、以下のようなシステムにします。

 

 まず、小説作品の項目に『コミカライズ原作としての使用を許可する』というチェックボックスを追加します。これにチェックを入れた作品については、“小説家になろう”でのみ自由にコミカライズ作品を投稿できるとするのです(当然、セルフコミカライズも可能とします)。

 つまり、小説担当者とコミカライズ担当者のインターフェースの役割を、小説家になろうが担えるようになるシステムを追加するという事です。

 もちろん、小説作品と漫画作品は相互にリンクを貼り繋がりを明確化します。リンクによる誘導はあまり効果がない場合も多いのですが、自分が面白いと思った作品の漫画版や小説版があると知ればリンク先に飛ぼうとする人はかなりの数になるのではないかと思われるので、このケースに関しては高い宣伝効果が期待できるはずです。

 小説担当者にコミカライズのメリットを更に与える為に、コミカライズ作品に入ったポイント、またはアクセス数の一部が小説作品にポイントとして加算されるというシステムにします。コミカライズ作品の人気が出れば、小説作品の評価も上がっていくという仕組みですね。

 するとコミカライズしてもらった小説が圧倒的に有利になります。ですから、小説担当者はコミカライズ担当者に選んでもらおうとするはずですが、その為には単に“高いポイントを得ている”というだけでは難しいと考えられます。何故なら、先に説明した通り、“小説家になろうのランキング上位作品のコミカライズ作品が売れない”という事は既に起こっているからです。

 つまり、魅力がある作品でなければ、コミカライズはしてもらえないという事です。

 ならば、当然ながら、小説のクオリティを上げる努力が求められる事になり、小説のクオリティも上がっていきます。

 既に説明して来た通り、小説家になろうにおいてはクオリティはそれほど重要ではない訳ですが、このシステムを導入すれば重要になって来るのですね。

 小説家になろうには、既にイラスト投稿機能がありますから、これを応用すればコミカライズ分野の創設に、コストもそれほどかからないで済むはずです。

 

 ただし、問題点もあります。

 コミカライズには特殊な技能が必要ですが、コミカライズしてくれる人が集まるかどうかが分からないのです。

 コミカライズ担当者側のメリットは、小説家になろうというサイトとその作品の宣伝力の高さです。最近は少し陰って来ていますが、それでもランキング上位の中には、1千万を超えるアクセス数の作品があります。

 この宣伝効果を期待して、プロを志す人がコミカライズを行う可能性はあるでしょう。

 が、確かにこのアクセス数は凄まじいのですが、どこまで期待が持てるのかは分かりません。小説作品自体にコミカライズしたくなるほどの魅力を感じなければ、優秀な人材は集まって来ないかもしれません。

 ただし、これは昨今の技術が助けになってくれるかもしれません。現在、既に絵を描けなくても漫画の制作が可能になって来ているのです。コミポという3Dモデルから漫画を作成するソフトもありますし、そもそもそのようなソフトを使わずとも3Dモデル用のソフトを使えば、漫画を作成できてしまえます。

 また、絵が描けなくてもスマホで漫画が描ける「World Maker」というWebサービスに集英社が力を入れてもいます。

 これらツールの活用を促せば、コミカライズを行う人を増やす事は可能でしょう。

 これはコミカライズ部門を創設すれば、これらソフトやWebサービスとのコラボレーション企画も可能になって来るという話でもあります(説明するまでもないかもしれませんが、小説家になろうにとって、新たなビジネスチャンスになります)。

 もちろん、それらツールを利用して作成する漫画はプロの作品よりも大きく品質が劣るでしょう。がしかし、そうしてコミカライズ作品が多く投稿されるようになれば、本物の実力者を呼び込める可能性は大きくなります。

 更に付け加えておくと、漫画の原作が漫画というパターンもありますから、それである程度の人気を獲得できれば出版の道が拓ける可能性は大いにあります。また、そもそも会話を中心にするだとか、難しい構図やアクションシーンに頼らないで済む物語を書けば、漫画技術が低くても充分に面白い作品になり得ます。

 もう一つ、漫画作成の手段には、AIに絵を描かせるというものもありますが、僕はあまりお勧めはしません。

 既にアメリカでは、AIに絵を描かせたコミックを販売した人がいるのですが、アメリカの著作権局はこの作品のイラストには著作権を認めなかったのです。つまり、AIが作成したキャラクターなどを他の誰が使おうが一切お咎めはなし、という決定を下した事になります。

 これはアメリカの話ですが、恐らく日本でも似たような結論になるのではないでしょうか? 今後の展開によっては、“AIの創作物で利益を出した者は、AIの学習データを作成した者達に著作権料を支払わなくてはならない”という法律ができるという可能性もあります。

 できるのなら、避けておいた方が無難でしょう。もちろん、手段の一つとして、可能性は残しておくべきでしょうが。今後、小説作品を自動的にコミカライズしてくれるAIが現れる可能性だってありますし。

 

 ■コミカライズ部門は収益を増やすのにも役立つ

 

 コミカライズ部門の創設は、小説家になろう作品のクオリティを上げ、イメージを改善する以上の効果があります。

 マルチメディア展開のメリットとしてよく知られた話ですが、小説と漫画作品を結び付ける事で、宣伝などの相乗効果が期待できるからです。どちらか片方でも話題になれば、それで更なる読者を獲得できます。当然ですが、成功すれば今までよりも大幅に読者を増やす事ができるでしょう。もちろん、収益が上がります。

 参考までに、僕が行ったChatGPTへの相談内容を載せておきます。

 

 自分:

 『小説家になろうに漫画部門を追加することでどれくらいアクセス数が増やせるでしょうか?』

 

 AI:

 『小説家になろうに漫画部門を追加することでアクセス数がどれくらい増えるかは、さまざまな要因によって異なります。以下は、一般的に考えられるいくつかの要因です。

 

 1.新しい読者層の獲得:小説家になろうに漫画部門が追加されることで、漫画を好む読者層がサイトに訪れるようになります。これにより、小説の読者層に加えて、新しい読者層が獲得できます。これによってアクセス数が増える可能性があります。

 2.コンテンツの多様化:小説家になろうに漫画部門が追加されることで、サイトのコンテンツが多様化します。これにより、既存のユーザーがサイトにアクセスする頻度が増える可能性があります。

 3.競合との差別化:漫画部門が追加されることで、小説家になろうが他の漫画サイトとの差別化が図れます。これにより、競合サイトからのユーザーの流入が期待できます。

 4.記事の共有性:漫画はビジュアルコンテンツであり、記事の共有性が高い傾向にあります。このため、漫画部門が追加されることで、ユーザーが記事を共有しやすくなり、アクセス数が増える可能性があります。

 

 以上のような要因から、小説家になろうに漫画部門を追加することでアクセス数が増える可能性があります。ただし、具体的にどの程度アクセス数が増えるかは、サイトの運営状況やコンテンツの品質などによって異なるため、一概には言えません。』

 

 自分:

 『小説家になろうに投稿できる漫画は、小説作品を原作とすることができるというメリットを与えてみては?』

 

 AI:

 『小説家になろうに投稿できる漫画が小説作品を原作とすることができる場合、以下のようなメリットがあります。

 

 1.既存の人気小説の原作漫画化によるファン層の拡大:小説家になろうでは多くの人気作品がありますが、それらの作品を原作とした漫画を投稿できる場合、既にその小説作品にファンのいる読者層に加え、漫画を好む読者層を獲得することができます。これにより、ファン層の拡大が期待できます。

 2.小説作品の世界観やストーリーのビジュアル化:小説作品は文章で表現されるため、読者が自分なりのイメージを持っていることがありますが、原作漫画化することで、その作品の世界観やストーリーがビジュアル化され、読者が作品に没入しやすくなります。これにより、小説作品の魅力をより多くの読者に伝えることができます。

 3.漫画作品の読者層の獲得:小説家になろうは、小説作品に特化したサイトであり、漫画作品の読者層を獲得することは難しいとされています。しかし、小説作品の原作となる漫画を投稿できる場合、漫画作品の読者層も獲得することができます。

 4.マルチメディア展開によるビジネスモデルの拡大:小説家になろうは小説作品に特化したサイトであり、小説作品のみを扱っているため、ビジネスモデルが限定されています。しかし、小説作品を原作とする漫画を投稿することで、マルチメディア展開が可能となり、ビジネスモデルの拡大が期待できます。

 

 以上のようなメリットから、小説家になろうに投稿できる漫画が小説作品を原作とすることができる場合、小説作品のファン層の拡大やビジュアル化、漫画作品の読者層の獲得などが期待できます。』

 

 自分:

 『つまり、小説家になろうの小説を原作とすることができるようにすれば、漫画部門を追加することのデメリットを抑え、メリットを伸ばせるということですね?』

 

 AI:

 『そうです、小説家になろうに投稿できる漫画が小説作品を原作とすることができる場合、小説作品のファン層の拡大やビジュアル化、漫画作品の読者層の獲得などのメリットが期待できます。一方で、漫画部門を追加することによるデメリットとしては、サイト運営コストの増加や、管理の複雑化などが考えられますが、これらの問題は適切な対応策をとることで解決することができます。小説家になろうに投稿できる漫画が小説作品を原作とすることができることで、小説作品の新たな可能性を広げ、さらなる読者獲得やビジネスモデルの拡大が期待できます。』

 

 以上です。

 

 そもそも、ChatGPTがどれだけ小説家になろうを理解しているのかという問題もありますし、間違った事も頻繁に述べるので、初めに断ったように飽くまで参考情報ですが、それでも一般的に判断し、巧くやればビジネスとしてプラスの効果がある有望なアイデアだろうと判断できます。

 

 そして、これは他の小説投稿サイトに先にコミカライズ部門を創設されてしまった場合、小説家になろうにとって大きな損失になる可能性が高いことを意味してもいます。

 特に株式会社KADOKAWAが直接運営するカクヨムやアルファポリスなどが、もしコミカライズ部門を追加したなら脅威となるのではないかと考えられます。

 出版社が運営している小説投稿サイトは漫画出版も行っていますから、優秀なコミカライズ担当者とのデビューを前提とした専属契約も容易ですし、アクセス数によって投稿者が収益を得られる仕組みを採用しているサイトなら、仮に出版に成功しなくてもコミカライズ担当者が収入を得らえれるようにもなりますから、他サイトへ作品を投稿しようとはあまり考えないでしょう。

 コミカライズ部門は、優秀なコミカライズ担当者の確保が何よりも重要です。

 迅速に動き、初めにシェアを占有してしまう事は、どんな市場でも有効な手段として知られていますが、もし先にカクヨムなどにコミカライズ部門の創設をやられてしまったなら、巻き返すのはかなり難しくなるでしょう。

 参考として、またChatGPTへの相談結果を載せておきます。

 

 自分:

 『カクヨムなど、競合する他の小説投稿サイトが先のような方法で、漫画部門を追加した場合、小説家になろうは損失を受けることになりますか?』

 

 AI:

 『競合する他の小説投稿サイトが先に漫画部門を追加する場合、小説家になろうが損失を受ける可能性はあります。特に、小説家になろうが漫画部門を追加しない場合、小説作品の一部が他のサイトで漫画化される可能性があり、小説家になろうのユーザーの流出や、小説家になろうでの新規作品投稿数の減少などが起こる可能性があります。

 

 ただし、小説家になろうが先に漫画部門を追加することで、小説家になろうのユーザーにとっては、小説作品の新たな可能性を広げることができ、小説家になろうの競争力を高めることができます。また、小説家になろうが漫画部門を追加することで、小説作品をビジュアル化することができるため、新たな読者の獲得や、ビジネスモデルの拡大につながる可能性があります。

 

 競合する他の小説投稿サイトが先に漫画部門を追加した場合でも、小説家になろうが損失を受けるかどうかは、小説家になろうが提供する独自の価値や、漫画部門を追加する際の戦略や対応力によって異なるため、単純には言えません。』

 

 以上です。

 

 つまり、先手必勝。さっさと動けって話ですね。

 

 ■企業の公益性について

 

 企業はある程度大きくなると、必然的に公益性を求められるようになります。これは企業の規模というよりは、影響力の強さを基準に考えるべきものでしょう。

 そして、膨大なアクセス数を評価するのであれば、小説家になろうは既に公益性を意識しなくてはならないところにまで来ています。

 が、しかし、小説家になろうは、その責任を果たそうとはしていません。サイトの力を活用すれば、例えば、大地震が起きた時などに、何らかのテーマで作品の投稿を呼びかけ、それで得た宣伝収益を全て被災地への救援金に充てるだとかいったチャリティーイベントくらいなら容易に開けると思うのですが、一切行おうとはしていないのです。

 一度、個人的に寄付をするイベントを小説家になろう上で開けないかと運営に問い合わせたのですが、その時は「他ユーザーの反応によっては削除します」という返答でした。“運営の許可を得ている”という後ろ盾がなければ失敗する可能性の方が大きいでしょうから、結局は普通に寄付だけしました。一人でもこういうイベントを開けば、ユーザーの意識を変える切っ掛けになるかもしれないと期待していたので残念です。

 『大いなる力には大いなる責任が伴う』

 この社会通念をなろう作家の多くが護っていない点については既に説明しましたが、つまりはなろう運営もこの社会通念を護っていないという事です。

 いえ、それどころか、「著作権侵害疑惑のある作品を増やしてしまい易いシステムを野放しにしている」という社会的にあまり好ましくない態度も取っています。

 こういった態度も、小説家になろうが悪いイメージを持たれる一因になっているでしょう。

 

 ――このままで良いとは思えません。

 

 果たして、小説投稿サイトの理想的な姿とは、どんなものでしょうか?

 僕が小説家になろうへの投稿をし始めた当初、僕は様々なジャンルの作品が出版化され、そしてその中には娯楽に特化したものばかりではなく、社会性を重視した作品も少しは入っているようなサイトが理想だろうと考えていました。

 ところが、先に説明した通り、それがある時に“異世界もの”と呼ばれるジャンル一色になってしまったのです。

 その時は、小説家になろう運営もそれを理想とは考えていなかったのではないかと僕は考えています。何故なら、異世界転移や転生作品を別出しにして“棲み分け”を図り、他のジャンルの作品にも陽が当たるように努力したようだったからです。

 しかし、この目論見は外れました。

 そして、それ以降もジャンルの偏向は続き、今もそれは続いています。そして、既にその状況を小説家になろうは諦めてしまっているようにも思えます。

 結果として、社会問題を扱ったような社会的に有意義な作品はまったく注目をされないサイトになってしまいました。

 

 ですが、もし仮にコミカライズ部門を創設すれば、その現状が変わるのではないかと僕は期待しています。なろうテンプレと呼ばれる作品群を投稿している方達は、コミカライズ原作ばかりを投稿するようになるのではないかと思えるからですね。

 すると、非コミカライズ原作が今よりも目立つようになります。いえ、サイトデザインを変更して、まったくの別枠として切り出しても良いのではないかとすら思えます。なろうテンプレと呼ばれる作品群と、普通の小説とはそれくらいの差異がありますから。

 

 ――それによって、小説の本来の役割を、少しでも取り戻せるかもしれません。

 

 もちろん、それでも出版社が出版を決断するような作品は出ないかもしれませんが、小説家になろうの公益性は今よりは高まるのではないでしょうか?

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― 新着の感想 ―
全て読ませて頂きました。 正直、小説家になろうの前途についてこんなにも真剣に考えている方が居るとは思いませんでした。あなたのようなユーザーを、運営の方には是非とも大切にして頂きたいですね。 私は小説家…
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