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極楽推断恋して絶佳(1)

無償の愛

他人の向こうには

見えない時間があるのだろう

その一つ一つが

その人だと言えるのかもしれないが

その存在だと言えるのかもしれないが

刺さり切った槍を0から取ることは

他人には無理なのだ

どんなに上手くやろうと

また新しい傷がつくだろうから


自分では無理な時に

他人を頼るからには

その新しい傷と引き換えにしても

元からの槍を抜き取ることで

新しい傷ができることは

許容されている筈である

一番のストレスが無くなるから

新しい傷の治りも早く

無かったかのように

直ぐに元気になる

それが膿み出すことは

余程のことがない限り

無いだろうという気がする


完璧さを求める人間は

その少しの許容心も無いようだ

引き換えという感覚が皆無であり

途中で根を上げたり

手伝った人間を罵ったりする

完璧さを求める人間というよりは

自分という人間は

人間の上位互換だという感覚だろうか

白馬の王子様が

石油王と合体して

夜の王様と混ざり合ったような

下品な理想を持ち上げている


何処か遠くを見ながら

白髪の老人になるのかもしれない

理想を何かと引き換えにするから

現実の中で手に入るものがあるのだ

あれでは一生を懸けても

手に入ることは無いだろう

何回も何回も何回も言ったが

聞く耳は無いようだった

理想と引き換えに得たのは

無駄という形だったから

結論にするしかなかったのだ

人はそうやって

他人から諦められていくのだろう






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