さる姫、戦に気付く
さる姫は、十五歳となった。
が、姫らしくないお姫様となり、お殿様を困らせていた。
そろそろ輿入れを考えてもよいお年なのに、民の村娘と一緒のような恰好をしてはお城を抜け出し、野に出ては遊び暮らしていた。
さる姫には不思議なところがあった。
身軽な所為か、木から木へと簡単に飛び移り、するすると猿の様に登れる特技や、花々と喋っている様な独り言を言い、時としては熊と一緒にお城に帰り、お殿様を仰天させた。
そんなハチャメチャなさる姫。まことに姫らしくないお姫様だった。
そんなさる姫の幸せな国にも、暗雲が立ち昇るような、戦の話が出た。
お殿様の幸せな国を乗っ取ろうとする、別のお殿様が出てきたのだ。
お殿様は話し合いで事を収めようとしたが、別の国の意地悪なお殿様は聞かなかった。
そして、国の境まで兵を進めてきてしまったのだ。
その進軍を見つけた野の獣たちは、さる姫を呼んだ。
「さる姫、さる姫。大変だ! 悪いお殿様が兵を国境に集めたよ!」
この日も、野に遊びに来ていたさる姫。
高い木にするすると登り、その様子を観察した。
「父上に知らせなくては!」
さる姫は風の様にお城に舞い戻った。
「父上、父上!」
「なんじゃ、さる姫」
事を聞いたお殿様は覚悟を決めた顔で、家臣を集めた。
さる姫はその様子を陰から見守り、
「戦……。戦いは、嫌じゃ。どうにかならないのか」
と呟いた。
しかし女子の姫の身。戦には出れないと分かってはいたが、居た堪れなかった。
そこでさる姫は決心した。
とりあえず、ここまでお読み下さりありがとうございます。