こちら異世界対応対策室二課!!
異対二課 東京都異対研究室 3月15日不定10時00分・・・
「異対二課は、他の部署への技術サポートを目的としてる部署さ」
研究室内の片隅で異対五課に中途採用された所員に異対二課の課長である。
「君も大変だね、わざわざ挨拶回りで各部署を見学しなきゃいけないなんて・・・、嫌気がさしたら二課に転属するといい、色々研究し放題だよ!」
課長は六課の面倒くさい風習に同情している風を装い人員不足を補おうと転属を促している。
研究室めぐりをしている2人の目の前にかなりの高さの一本歯下駄を履いた全長2mくらいの大男が現れた。髪は灰色の短髪、顔は狐の面で隠れており、左手には番傘、服装は和装だ。
大男はおもむろに右手で名刺を中途所員に渡した。そこには面屋武蔵と書かれている。
「彼は面屋の武蔵君、異対四課・六課・九課の身体のサポートを主に行っている。」
所長の説明によれば、異対四課・六課・九課は荒事を専門としているため顔を整形することが多々あるそうだ。顔がバレていると潜入や聞き込みに支障が出る、なにより呪いや魔術の対象になったときに顔を変えていることで回避できることもあるそうだ。そのため面屋といわれている。
他にも体毛、指紋、光彩、声帯等個人が特定できるものは特殊な技術により変更することができるらしい。
課長の説明が終わると、武蔵はコクコクとうなずいた。声を発さないのは個人が特定させないためだろうか・・・。
数十分の異対二課めぐりののち、最後の研究室に訪れた。そこは鍛冶屋と書かれた研究室だった。室内には白いタオルを頭に巻いた40代後半の男性が腕を組んで立っていた。
「らっしゃい!」
彼の名は文三という、ラーメン屋みたいだと中途所員は思った。
「ラーメン屋みたいでしょ??」
課長も思っているらしい。
鍛冶屋は読んで字のごとく、武器を取り扱っており異対全体への武器供給と異界の攻撃技術を研究し異対で運用できるようにしている。
「異界の魔術やらは強力でね、物理兵器が効かないこともあるから、ここで研究し我々も魔術を使ったりしているんだよ。」
文三さんと課長による異界の技術の講義を受けたがまったく理解できない中途所員だった・・・。
「お疲れ様、最後にプレゼントでこれあげる」
中途所員は二課長から綺麗な翡翠のような緑色のお札をもらった。
「それは早すぎたMy Soulという魔術が組みこれたお札で、異界で死んだとき1度蘇生してくれる。お守りとしてもっておくといいよ。」
言葉の最後に誰にもこのお札のことは言ってはいけないよと人指し指を口の前にもっていきシィーと付け足された。
とてもヤバイものをもらったのではと焦る中途所員だった。
「技術関係で困ったらまた来るといいよ!」
異対二課を去って行く中途所員の後ろ姿に手を振りながら課長が声を掛けた。
こうして、中途社員による異対二課めぐりは終わったのであった。