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74話 付与の力

※前回までのあらすじ


 エリスが両親にトドメを刺した。


 エリスは両親を討った矢先をそのままエダークスに向けた。

 すると彼は眉間に皺を寄せる。



「む……いつの間にそんな力を……?」



 珍しく動揺しているようだ。

 そして彼は俺に対し苛立ちを露わにする。



「ルーク! 貴様……力を隠していたな!」



 その言葉に違和感を覚える。



 奴は魔導人形(グリモワドール)の存在は知らないのか?



 それが分かると自然と笑みが溢れた。



「隠してなどいない」

「なんだと?」

「俺は進化し続ける存在なのだからな」

「なっ……」



 エダークスは言葉を詰まらせた。



 そこへエリスが、すかさず矢を放つ。

 硬度を上げた矢は奴の体も貫けるはずだ。



 矢は空気を切り裂き、エダークスの胸目掛けて一直線に飛ぶ。

 だが、



「私を守れ! リィーン」



 エダークスがそう言うと、彼の側近であったリィーンが間に分け入り、エリスの矢をその身に受けた。



「ぐほわっ!」



 リィーンは矢を胸に受け、そのまま灰のように消えて行った。

 命令に背けないのをいいことに、他者の体を自分の都合が良いように盾代わりにしたのだ。



 なんて奴だ……。



 しかし、この反応は俺の補助付与糸の力を恐れている証拠だ。

 なら、行ける。



「エリス! 畳み掛けるぞ」

「うん!」



 彼女はすぐに新たな矢を番えた。

 だが、



「舐めるな!」

「わぁっ!?」



 エダークスは目にも止まらぬスピードでエリスとの間合いを詰め、彼女の弓を払い退ける。

 そのままトドメの一撃を彼女の喉元へ突き刺そうと腕を振り上げた。



 かかったな。



 俺は口角を上げた。



「俺の仲間をもう一人忘れているぞ」

「なっ……!?」



 エダークスがハッとなって振り返ると、そこには別方向から斬りかかるアリシアの姿があった。



「お前かっ!」



 彼は咄嗟に身を反転させ、彼女の手元に爪を切りつける。

 それで彼女の手首を切り落としたと安心したのだろう。

 表情に弛みが出た。



 しかし、実際には――。



 刃物のように鋭いエダークスの爪は、彼女のガントレットに弾かれ、激しい火花を散らした。



「なんだと!?」



 俺はニヤリと笑った。

 この僅かな間にアリシアの装備にもエリスと同じ硬度強化の付与を施していたのだ。



 エダークスは貫けない彼女の体に戸惑いを隠せない様子だった。

 そこへ狼狽する彼目掛けて、アリシアの剣が振り下ろされる。



「ふっ……だが、そんな鈍では私の体は斬れぬぞ」



 避けられない間合い。

 しかし、その一瞬で彼は余裕の表情を見せた。



 エダークスの体から陽炎のようなものが立ち上る。

 まるで、魔力で強力な殻を作っているように見える。



 恐らく、俺の糸が全て消えて失せてしまったのも、その力のせいだ。



 一時的に体の表面に大きな魔力を集約させ、全てを打ち消す。

 まるで魔力の鎧のようだ。



「例え、どんな剣でもな!」



 彼はその鎧でアリシアの剣を無効化するつもりだ。

 しかもその手で剣を受け止めに行く。



「逆にへし折ってくれる――」



 彼の手がアリシアの剣に触れた直後だった。

 彼女の刃がエダークスの腕を野菜を切るような滑らかで擦り抜けた。



「っ――!?」



 そしてそのまま、彼の体を真っ二つに切り裂く。



「ば……ばかな……こんな事が!?」



 そんな結果に陥ると思ってもみなかったのか、エダークスは体が崩れ落ちながらも驚愕の表情を浮かべていた。



 そうなったのも俺がアリシアの剣に、



[魔法耐性+++++++++++++]



 の付与を施していたからだ。



「おのれぇ……だが私はこんな事では……死なぬ!」

「……!」



 半分に裂けたカイエンの体から、影のような闇の生き物が抜け出すのを見た。

 恐らく、それがカイエンの体に宿っていたエダークスの本体。



「させるかよ!」



 俺はすかさず糸を伸ばし、その影のような生物を空間に縫い付ける。



「ぐおっ!? う……動けん……何を……!?」



「今だ、アリシア!」

「はい!」



 身動きが取れず、必死に藻掻くエダークスの本体に、アリシアが再度斬り付ける。



「や、やめろ……!」

「皆を、ルーク様を苦しめるやつは許さない!」



 次の瞬間、白銀の残像が闇の中を通り抜けた。



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!」



 エダークスは断末魔の悲鳴を上げ、煙のように萎んで消えて行く。



「こんなことが……こんなこと……がぁ!」



 確実にトドメを刺した瞬間だった。



 彼は目も口も判別しがたい黒い頭だけになりながら、闇の中でほくそ笑む。



 エダークスは風に流されるように霧散して消えた。



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