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48話 新たな仲間

※前回までのあらすじ


 エリスを冒険者へ誘った!


「ボクにも……できる?」



 エリスは木のスプーンを握ったまま不安そうに言った。



「あの弓矢はお前が放ったんだろ?」

「うん、そうだよ」



 俺の言葉に素直に答えた。



「あれだけ小さいものを射抜ける技術と素早い身のこなしがあれば、冒険者として充分やっていける」

「そ、そうかな……へへ……」



 エリスは照れ臭そうに体をモジモジとさせる。



 もし、俺が解析に時間を要する敵に遭遇した場合、その間、アリシアを援護する者が必要だ。

 遠距離からの攻撃が得意な彼女が加われば大きな戦力になる。



「でも、どうやってなったらいいか分からないよ?」

「それは俺が教えてやる」

「え……大事なものを盗もうとしたのに……?」



 エリスは戸惑っているようだった。



「確かにそれは看過出来ない。だが、今のお前に嘘は無いように思える。本物の窃盗犯が呑気に飯を奢られているはずもないしな」

「あう……」



「どうする?」

「……」



 彼女は俯いて考える。

 しばらくすると、ゆっくりと口を開いた。



「……本当に、いいの?」

「ああ」

「じゃあ……やる!」



 顔を上げたエリスの目には輝きが宿っていた。



「アリシアもそれでいいよな?」

「はい、いいと思います」



 同意するアリシアだったが、エリスの隣に座る彼女は何かが気になる様子。

 テーブルの上にあったナプキンを手に取ると、エリスの口元に持って行く。



「ちょっと動かないで」

「ふぇ?」



 どうやらエリスの口の周りに付いている食べカスが気になったようだ。

 丁寧に拭いてあげている。



「ふふっ……くすぐったいよ!」

「まだ、待って。全部取れてない」

「うふふ……ふふっ」



 そんなふうに世話を焼く姿を見ていると、まるで姉妹のようにも見えてくる。



「はい、これで大丈夫」

「ありがとー」



 あどけない笑顔でアリシアに礼を言ったエリスは、彼女の顔を見ながら呟く。



「なんだか、ママみたい」

「えっ」



 その発言に驚いた様子を見せていた彼女。

 そこでエリスは続けざまに俺に向かって言う。



「ルークは、パパみたい」

「パパ……!?」



 直後に俺とアリシアはふと目が合う。



「……!」

「……!?」



 アリシアは赤い顔をしていたが、なんだか気まずい空気が流れて、どちらからともなく視線を外した。



「……そんなことよりエリス、今後の為にお前のランクとスキルを知っておきたい」

「ランク?」



 彼女は「何それ?」といった感じで首を傾げた。



「ステータスを見られないのか?」

「ステータスって何?」

「……」



 やはりそうか。

 魔力が僅かでもあれば、自分のステータスを見ることが出来る。

 だが全ての魔力を精霊に頼っているエルフは、その声が聞こえなければ魔力は無いに等しい。



「いや、大丈夫だ。聞かなかったことにしてくれ」

「うん……」



 ステータス不明のままか……。

 実戦の中で見当を付けて行くしかなさそうだ。



 人のステータスを気にしていたその時だった。



 ピピッ



「ん……」



 僅かな魔力の動きを感じた。

 自分自身のステータスに変化があったのだ。



 こんな時に?



 すぐにステータスを確認してみる。




〈ステータス〉

[名前]ルーク・ハインダー

[冒険者ランク]F

[アクティブスキル]

 裁縫 Lv.10(強度+3 長さ+2)

 構造解析糸 Lv.4

 構造改変糸 Lv.4

 無体物縫製 LV.2

 構造構築糸 LV.2

[パッシブスキル]

 影縫い Lv.3




「お……」



 軒並みレベルが上がっていた。

 影縫いに至っては2レベル上がっている。



 なんで今頃?



 そういえば先日、黒怒竜(ニーズヘッグ)という大物を倒したにもかかわらず、レベルが上がっていなかった。



 それが今頃、結果として現れたというのだろうか?



 大き過ぎる獲物は処理に時間がかかるのか?

 それとも……。



 ともかく、レベルが上がったことは嬉しい。

 これで影縫いも元の能力を取り戻した。



 しかし、裁縫スキルは一向に10のままだ。

 そもそもこれは、だいぶ昔にレベル10に到達してから変わっていない。

 蒼の幻狼にいた頃の話だから、裁縫スキルに関しては恐らくレベル10がカンスト値なのだろう。



 だが、強度と長さに伸びる余地があるようなので、それはありがたい。



 レベルが上がったこの状態なら、竜玉の加工も時間を短縮出来そうだ。

 この食事を終えたら、早速取りかかることにしよう。



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