第9話 シャノンおすすめの宿屋
商業ギルドを出て、俺の洋服、シャノンの洋服、ショコラの洋服などその他日用雑貨、諸々一式を買い、宿屋にむかった。
現在の俺の洋服は、シャノンの父親のものだ。
そのため、街中でも目立つことはなかった。
シャノンがジャージを触り、『初めて触る観る素材です。このような造りも初めてです』と言っていたので、多分ジャージで街中に入っていたら目立っていたことだろう。
宿の扉を開けると、受付のようなところに座っていたおばさんが声をかけてきた。
シャノンが俺に勧めてきた宿屋だ。
この街の中級ランクの宿屋らしい。
下級ランクの宿屋は安いが物盗りが起きることもあるらしい。
宿屋のランクは商業ギルドが認定しているようで、他の街に行った際は商業ギルドのギルド員に聞くのがおすすめだとか。
接客態度、料理のおいしさ、値段、部屋の清潔さ、ベッドのやわらかさ、香りなどなど項目があるようだ。
流石、宿村の出のシャノン。
「いらっしゃいませ。お泊まりですか?お食事でしょうか?」
今は、夕刻。夕食の時間だからだろう。
宿屋には、食事をしている姿が多く見受けられる。
宿屋に泊まっていない者でも、お金を支払えば食事を取ることができる。
「泊まりでお願いします」
「はい。部屋は、個室、2人部屋、3人部屋が空いています。あら、かわいい子猫ですね。ペットの分は部屋代は不要です、食べ物に関しては、万が一のためにペットへの食事はご提供していません。ご了承ください」
ショコラは褒められて嬉しいのか『にゃぁー』と鳴いた。
シャノンにペット入店可の宿屋でお願いしている。
「えっと1部屋でお願いします。シャノン大丈夫だよね?」
念のため、シャノンに聞く。
冒険者ギルドでも、商業ギルドでも大金を得ている。
その光景を誰かに見られているいじょう、部屋は分けないほうが良いだろう。
「1人1泊4000J、ご飯は1食1000Jです。風呂はないですがお湯とタオルは500Jで貸出しております」
「じゃあ、1泊食事付きで、お湯とタオルの貸し出し、2人分で11,000Jですね」
ささっと計算して、金貨と銀貨を一枚ずつ出す。
シャノンよりも計算が早かったようで、悔しそうな顔をしていた。
「210号室をお使いください。こちらカギです」
階段をあがり、2100号室と書かれたプレートの掛かった部屋の扉を開ける。
シングルサイズのベッドが2つあり、タンスやテーブル、イスに、ソファーもあった。
『ぐぅー』
『ぎゅるぎゅる』
前に座っているシャノンのお腹から可愛い音が鳴った。
それに続けて俺のおなかも鳴る笑
「お腹空いたね。1階に降りて食事にしようか」
「あわわ。はい」
顔を真っ赤にしたシャノン。
おなかが鳴ったのが恥ずかしいのだろう。
1階に降りてテーブル席に着くと、料理が運ばれてきた。
オーク肉のステーキとサラダ、そしてスープだった。
薄味だった。
ステーキは胡椒が軽く使われており、サラダとスープは塩味。
食べながらシャノンに料理について聞いてみたところ、
食事は煮る、焼くぐらいで漬物や揚げ物、蒸し物などがない。
調味料も薄味というかマヨネーズなどの混合調味料はないようだ。
マヨネーズの作り方を説明したら強く聞き入っていた。
職業料理人のシャノン。
しかし、魔物の肉という食べたことのない味の肉に少し感動した
ワイルドというか味が濃ゆい(お肉としての味の濃さ)というか元いた世界の調味料をあわせるものいいがこの世界の食材に合った、この世界特有の調味料で、もっと美味しいものが食べたい。
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