第2話 神様の恩情
そのステータスの鑑定で、俺以外の9名は、職業欄に『勇者』『賢者』『剣豪』『巫女』ってなっていたのに、俺だけ『村人』ってなっていた。
職業について説明を受けた。
最下級職業『村人』から、レベル10になることで、教会で祈りを捧げ、神様の恩情により、剣士となったり、斧使いになったり、農民、魔法使いになったりとできるみたいだ。
因みに、この神様の恩情は、神様が決めるようで、自身で職業を選択できるわけではない。
『村人』から、最上級職業『勇者』『賢者』『剣豪』『巫女』になれた例はなく、そもそも、『村人』から中級職業になれるだけでも良いことらしく、10%もいないとのこと。
俺は、完全に外れの人間ということだ。
その場に、王女様がいたようで、俺以外の者には、握手を交わしていた。
『精神的ダメージをうけた』
そして、5種の能力と呼ばれる体力(生命力)、魔力、攻撃力、防御力、俊敏力が他の5人は平均Cあるのに対して、俺はALL Fだった。
ファンタスティックのF?夢のあるファンタジーのFなのかな?笑
まぁ、最下級職業の村人ならしょうがないよね?
能力値やスキル、魔法のランクを表現するアルファベットは、Fが1番下でその上にE⇒D⇒C⇒B⇒A⇒S⇒SSとなりSSが一番上らしい。
だが、ランクSSはおとぎ話として伝えられているだけであり、架空のランクと言われているようだ。
最上級職業の『勇者』『賢者』『剣豪』『巫女』なども、国に残っている過去の勇者召喚についての書籍にもSランクが最高値と書かれているらしい。
レベル1である俺のALL Fの5種の能力は、話によると、低レベルのゴブリン1体なら、なんとか倒せるが、2体以上になると、少し厳しいようだ。
レベル1のFとレベル10のFとでは違いがあるみたい。
村人のFと剣士のFと違いがあるように、職業によっても違いがあるみたいだ。
ややこしい。
最下級職業である俺と最上級スキルである9人とでは、スキルの数、魔法の数も全然違った。
9人は、職業に合わせた光剣術とか光棒術、光魔法とかその場にいたお偉いさんたちが驚愕する程の光よりのスキルや魔法を持っていた。
今回の勇者召喚はあたりですねと言っていた。
どうやら、光魔法はアンデッドに効くイメージ(今まで見た小説はそういう小説が多かった)だったのだが、魔族やモンスター全般に大ダメージを与えるらしく勇者しか覚えることができないみたいだ。
中には、克服しているモンスターや逆に回復してしまうモンスターもいるらしいが……
勇者や賢者などの魔法を使える者たちに話していた内容によると、
火・水・土・風・癒・影の属性があり、
3属性以上魔法が使える者は珍しいらしい。
5属性全て持っているのは、かなりレアとのこと。
まぁ、そんなこと俺には関係ないんだけどね。
『火』の上位属性が『炎』
『水』の上位属性が『氷』
『土』の上位属性が『岩』
『風』の上位属性が『雷』
『癒』の上位属性が『浄化』
『影』の上位属性が『闇』
この属性魔法の他にも、魔法は存在し、たくさん物を収納できる収納魔法が属性魔法以外であげると有名どころの様だ。
対して俺のはというと、魔法なしのスキルなし
モンスター倒せないよ。戦えないよ。戦闘スキル欲しかった。
俺と一緒に召喚された9名には、ゴミを見るような冷ややかな目、蔑み嘲笑う者、可哀想な目で見る者などがおり、周りの者たちからは役立たず的認定になったよ。
俺以外の者には、複数の者が現在の状態の説明などを詳しくしていた。
何故、召喚したのかとか。
サント国の者は、俺には興味がないみたい。
俺には誰も説明してくれないので、聞き耳を立てるのみ。
ペットのショコラを抱きかかえ、頭を撫でる。
『にゃぁー』と鳴き、あくびをするショコラ。
マイペースだ。
『勇者召喚』でサント国に召喚されたのは間違いないから、ついて来るように言われ俺も王様のもとまで向かった。
『王様の前に行かせるなど……』と言われ、会う前に城から追放されそうになったが、王女様の『連れて行きましょう』という一言により、王様のもとに行くこととなった。
俺をロープでぐるぐる巻きにして、引っ張って連れて行く騎士に、王様に会う前に、『くれぐれも粗相がないように。無礼なことをしたら、殺されてしまうからな』と言われ、少し身構えた。
俺に対しての扱い笑
ショコラは俺の頭の上に乗っている。
子猫だから、そこまで重くない。
俺たちを召喚した部屋は召喚の部屋と言う名前のようでそこから出て、500mほど歩いて、謁見の間まできた。
謁見の間に辿り着くまでの廊下にところどころ高そうな壺や壁画、『絵画』などが、テーブルの上に置かれてあったり、壁に掛けられていたり描かれていた。
そして、俺達を召喚した理由を王様が詳しく教えてくれたのだが王様の言い分が胡散臭い。臭う。臭うぞって感じだ。
あやしい。怪しい。妖しい。奇しい。奇妙だ。
王様が言うには魔王(強大な敵)率いる魔の者たちが、サント国をわが領土にしようと目論んでいる。
我が国はそれにより危機に瀕している。
そのせいで、民は不安に駆られている。
愛する国民たちの平和のために助けてほしい。
そして、魔王率いる魔族の侵略により、男手が減り、畑地などはダメにされ、収入や収穫が減り満足に食べ物を食べれずに苦しんでいる。
その為に助けてほしいというものであった。
他国からも、侵略を受け、かなり厳しい状況とのこと。
日本に帰る方法は魔王が知っている。
明らかに嘘っぽい。
日本に帰る方法の話とか、帰る方法書いた紙は魔王に盗まれたの?予備の紙書いてないの?あやしい。
それに、王様の言いぶりだとこの国は危機的状況にあるはずなのに、周りにいる人たちデブばかりなんだよな。
王様、王妃 王女3名は、ニキビだらけの油ギトギトの顔をして体型はデブ、控えめに言ってもぽっちゃりではなく、誰がみてもデブと言いそうな体型だ。
100kgは軽く超えていると思う。
ポテトチップスの袋に手を突っ込み床にこぼすことなど、気にせずバリバリと食べる姿が想像できる。
そして、めちゃくちゃ金掛かってそうな感じのする指輪を全部の指にはめている。
周りにいる大臣たちもいかにも贅沢な暮らしをしてますって感じの体型だ。お腹出てる。
召喚の部屋にいた王女も顎肉がやばかった。
こっそり顎肉王女と命名した。
国民が食べ物がなくて苦しんでいるって嘆いている王たちだが、贅沢三昧しているように感じる。
そういういろいろなことを総合考量した結果、これはダメなタイプの異世界召喚だという結論に至った。
これは、勇者の善意につけ込んで、疑いを起こさせずに、『プレゼントです』とか言って奴隷の腕輪(これをつけられるとご主人様に反抗できなくなる)とか夜中寝ているときに、奴隷紋章(奴隷の腕輪と似たような効果)をこっそりつけるつもりなのではないかと小説知識が頭のなかに浮かんだ。
勇者とは言っても、結局、政治の道具にされたり領土拡大のため、他国に戦に駆り出されるとか、魔王を討伐したあとに殺されるか、牢獄される可能性もある。
異世界物の小説ではよくある話だ。
とにかく勇者たちはこの国の都合のいいように使われるだけだろう。
まぁ、職業、村人である俺は、よくて追放、最悪処刑されるだろうな。
あらかた、説明を受け、勇者たちにメイドなどが割り振られ、一緒に食事をしようとなったのだが、俺は、いらない子のようで
『直ぐに城下街の外にでていけ。せいぜい、魔物に殺されないように生きることだな』といわれた。
期待はしていなかったが、お金1円もくれなかった。
迷惑料。勝手に異世界に召喚した迷惑料を要求したいっ。
俺は、次の街?村?に向けてショコラと一緒に歩いている現状だ。
違うな、ショコラは俺の頭の上でお昼寝中。
取り敢えず今日1日生きていくことを考えよう。
お金の価値を含めてこの世界のことを早めに知る必要がある。
そして、できるかぎり早くこのサント国から離れる。
国のトップ共からしてあのていたらくではサント国はもうだめだと思う。
ここにいてもロクな目に遭わない気がする。
俺が思うに、何かしら、俺には力があるんじゃないかな?
ほら、追放される系、無能系の異世界召喚されし者って後々、能力開花する話も異世界小説物で見受けられたし。
さぁ 旅の始まりだ!!!因みに
俺のステータスは
名 前:天川 悠斗
種 族:人間
性 別:男
年 齢:18
職 業:村人
L V : 1
生命力: F
魔 力: F
攻撃力: F
防御力: F
俊敏力: F
スキル:なし
魔 法:なし
もうよわすぎる!
お読みいただきありがとうありがとうございます。
ブックマークしていただけると嬉しいです。