第19話 4季と時間と曜日
俺は、教会で『見習い天使』から『導きの天使』に転職した。
天使っぽいと思ったのが選択した理由だ。
~翌朝~
「ふぁー」
自室から出てきた。
「おはようございます」
「ございましゅ」
「にゃぁん」
みんな、起きていたようで、俺が一番最後の登場。
「おいしそうだね」
朝ごはんが準備されていた。
パンの上に、ベーコンが乗っている。
パンは焼きたてのようだ。
朝早くからパン屋さんに買いに行ってくれたのかもしれない。
そして、キャベツらしき、キャベツンとトマトに似ているトマトンの盛り付けられたサラダが木の器に乗ってテーブルに置かれてある。
昨日までなかったテーブルクロスが置かれているのを見るにテーブルクロスも買いに行ったのだろう。 んっ?でも、今は時間帯的にお店が相手そうな感じはしない。特に布製品のお店は開店が遅いと聞いている。
もしかして、裁縫して作ったのかな?
冒険者など、朝早い組のために飲食店や武器防具屋は朝早くから営業していることが多いと聞いている。
「はい、もう少しで完成しますので、少々お待ちください。ソフィーちゃん、悠斗さんに紅茶を出してきてもらっていいかな?」
「はいでしゅ」
シャノンの指示によって、ソフィーが紅茶を持ってくる。
お湯は準備されていたようで、直ぐに出てきた。
「おいしいよ。ありがとう」
ふぅー、温まる。
俺が、異世界に召喚されるまでの日本では、4月だった。
この異世界では、現在6月でそろそろ暑くなってくるようだ。
この異世界についてシャノンに聞いてみた分かったのは、4季(春夏秋冬)はこの異世界にもある。
『04月』 春 過ごしやすい
『05月』 夏 少し暑いが風が吹けば涼しさは感じる。涼味。立夏。夏が来る。
『06月』 夏 昼間はちょっと暑いが、朝涼みと言った具合に、朝は涼しい
『07月』 夏 暑い。風が吹くと、ムッとするような温かい空気を感じられる。
『08月』 夏 かなり厚い。日によっては炎暑。真夏の厳しい暑さ。酷暑。
『09月』 夏 暑い。旱暑、日照りが激しく暑い。
『10月』 夏 ちょっと暑い
『11月』 夏 処暑。暑さが緩和し始め、涼しくなり始める。秋近し。
『12月』 秋 比較的過ごしやすい
『01月』 秋 後半少し寒くなる。ひんやりと冷たい空気が感じられる。
『02月』 冬 厳冬。冬の寒さが一番厳しい。
『03月』 冬 後半から、一陽来復。冬が終わり春が着始める。
現在、6月30日。風曜日 07時15分30秒
ステータス画面の右下に日付と時間が表示されることをシャノンに昨日、教えてもらった笑
この異世界での暦は日本と同じであり1週間は7日で、1日は24時間、1時間は60分。1分は60秒。
少し違うところは、曜日くらいだ。
風曜日、火曜日、水曜日、光曜日、雷曜日、土曜日、闇曜日
(月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日、日曜日)
因みに、火曜日は、火魔法(炎魔法)の威力が上がると言われている。
2倍になるらしい。馬鹿にできないよな笑
逆に、水曜日は火魔法使いの魔法の威力は0.5倍になるようで、普段の半分の威力となるらしい。
他の曜日についてもあてはまり、同様のことが言える。
そのため、火魔法の使い手の魔法使いは火曜日に好んで仕事をして、水曜日はお休みとする事もあるようだ。
冒険者パーティ(グループ)を組んでいて、火魔法使いと水魔法使いがいたら大変だな―と思った。
紅茶を味わって飲んでいると、シャノンがスープを人数分トレーに乗せて持ってきた。
「手を合わせてください。いただきまーす」
『ぱちんっ』
「いただきます」
「いただきましゅ」
ソフィーの元気な手を合わせる音が部屋に響く。
『いただきます』『ごちそうさま』という言葉は、異世界物でよく主人公が広めている。
いただきますというあいさつについて説明は、過去の勇者たちが広めたらしい。
因みに、お正月やお年玉という概念も存在するようだ。
『いただきます』の『いただく』は、神様にお供えしたものを食べるときや、位の高い者から物を受取るときに、頂(いただき、頭の上)に掲げたことから、『食べる・もらう』の謙譲語として『いただく』が使われるようになったと異世界ものの小説で見た気がする。
食事を始めるときの『いただきますの2つの意味』
1つ目は、食材への感謝。人間の食す魚や動物の肉には当然のことであるが命があったはずだ。果物や野菜にも命があると考え、『○○の命を自身の命にさせていただきます』と食材に感謝すること。
2つ目は、食事を作ってくれた者への感謝。
現在の世の中、日本は食べ物があふれていると言える。
『いただきます』『ごちそうさま』と言えない子供や大人が増えているように感じる。
ちょっとしたカフェやファミレスで使ったイスを使いっぱなし、ちゃんと、テーブルの中に入れれない子供や大人が多い。
親が子連れで来ており、イスを出しっ放しで帰ることがあるが、そんな教育ではだめだよなというネットニュースも見た。
「今日はどうしましょうか?」
シャノンが、サラダをフォークで刺しながら聞いてきた。
「クミル村に、たまごとミルクを取りに行って、シャノンにはたまごとミルクを使った料理で俺が知っている物を作ってもらおうと思っているよ」
「わかりました」
「クミル村に行っている間に、ソフィーにひらがな・カタカナ、簡単な算数を教えてもらってもいい?」
「はい、ということは、悠斗さん1人でクミル村に行くんですか?」
「うん、そうだよ。往復で1時間だからね。パパパッと行ってくる。孤児院の子たちが来たら、草むしりお願いしてもいいかな?水分補給をしっかりするように言っておいて」
脱水症状はかなり危険だからね。
「ソフィー、勉強頑張るんだよ?分からなくても、ゆっくりでいいからね。まずは、自分の名前を書けるようになることを目標にしよう」
「はいでしゅ」
「ショコラは2人の護衛ね」
ショコラがケガを治せることは分かっている。
セカドの街に来る途中のふわまるパーティのちょっとしたケガを治していたのもショコラだ。
「にゃぁー」
任せて、と言わんばかりに、二本足で立ち右手を胸に向かって置くショコラ。
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