第13話 セカドの街の商業ギルド『レイナ・ハーレット』
セカドの街についた。
セカドの街は、はじまりの街よりもしっかりとした外壁のある街で、入門料に門番の騎士に1人500J支払った。
馬代は、はじまりの街と変わらない金額を支払った。
「ありがとう、これ、依頼料の半分ね」
依頼料は、最初と最後の2回に分けて払うのが一般的らしく、俺もそれに習った。
ふわまるパーティは、セカドの街の近くにあるダンジョンに潜ると言っていた。
「じゃぁ、お金稼ぐために、商業ギルドに行こうか?」
「はいっ。悠斗さん」
俺のことを天川さんから、悠斗さんと呼ぶようになったシャノン。
最初の頃より打ち解けてきたと思う。
「商業ギルド、どこだろう?」
この異世界の人間ではない俺、商業ギルドの場所なんてわからないよ笑
「私も、初めてきたのでわからないです」
まぁ、適当にグルグル回ればいいかな?
「困ってるのー??」
俺とシャノンが顔を見合わせて苦笑いしていると、小さな女の子が話しかけてきた。
「うん、困ってる。商業ギルドの場所とか分かるかな??」
「それならね、ここをまっすぐ進んで、右側に見えてくるよ。大きい建物だからわかるはずー」
女の子が指差す方向に大きな建物が見える。
「ありがとう。じゃぁ、これが教えてくれたお礼ね」
女の子に銀貨を1枚渡す。1000円は渡しすぎたかな?笑笑
「わぁー。ありがとうお兄さん」
女の子は目を輝かせて、銀貨の乗った右手を見て、大事そうに手に持ち去って行った。
商業ギルドは、街の中央付近に冒険者ギルドと隣合わせにあった。
〜商業ギルド〜
商業ギルドについた。受付が何個かある。
商業ギルドの外観ははじまりの街と同じく外から中が見えるような作りとなっておりガラスが使われていた。
開けっ放しにされている商業ギルドに入る。
受付では大勢の人間が、持ってきた商品を受付に置いて交渉していた。
商業ギルドに持ち込むと言うことは殆どがFランクの商人であろう。
商業ギルドはかなり広かった。
丸い木のテーブル4本足が8つほどあり紅茶を飲んでいる者がいた。
商業ギルドの中に喫茶店があるようだ。
喫茶店のメニューに、コーヒーがある。
お値段は、1杯2000円。
日本で1杯2000円のコーヒーがメニューにのっていたら、さぞかし美味しい豆なのだろうとか、マスターが特選した豆なのだろうとか、考えるが、此処は異世界。
コーヒーを飲んでいる人の近くを通ってみたが、香りは大したことなかった。
俺の好みでないだけかもしれないが……
【メニューのみもの】
みず 『100J』
ストレートティー『600J』
ミルクティー 『600J』
コーヒー 『2000J』
カフェラテ 『2500J』
【メニューたべもの】
クッキー 『400J』
サンドイッチ 『600J』
メニューは、少なかった。
受付窓口は全部で5つあるみたいだが、全部埋まっていた。
受付窓口の長い列に並ぶのもあれなので、商業ギルド内を見て回ることにした。
「へぇー、勇者召喚の情報について書かれてある」
「悠斗さんの……」
シャノンには、俺のことを説明してある。
天使である点を伝えてある。
天使と言う存在が神秘的とでもいうのだろうか、打ち明けた時の尊敬のまなざしがすごかった。
掲示板をあらかた見終わり、受付窓口の列に並んだ。
勇者召喚については、争いが起きることが予想され、武器防具が高騰するであろう旨があげられていた。
掲示板には、○○商品値上がり○○商品値下げなどなど、品々の価値の上下について書かれてあった。
【かいとうジェシー サドンの街に現る】
・所在不明、大量の奴隷はいずこに?
今回も、かいとうジェシーの掲示板があった。
大量の奴隷と共に動いていたらバレそうな気がするのだが、どうしているのだろう。気になるな。
周囲を見渡していてわかったのだが、部下に受付窓口の列に並ばせておいて、商業ギルド内の喫茶店に座ってコーヒーを上司が飲んでおり、自分の番が来たら向かうというやり方が多かった。
それを見て、ずるいなーと考えていると、俺の順番がまわってきた。
受付の男に話しかける。
「こんにちは。商品を買っていただきたいのですが」
商業ギルドカードを見せ、自身の身分を証明する。
「はい。大丈夫ですよ。どんな商品ですか?」
商業ギルドカードを確認した受付の男性。
「これです」
トイレットペーパーと紙を出した。
受付の男は驚いた顔をして、
「少々お待ちください」
と奥に引っ込んでしまった。
「お待たせしました。柔らかい紙、真っ白な紙があると聞いたのですが」
受付の男の代わりに上司であろうキレイな女性があらわれた。
この世界に日本のような優れた美容品などないだろうに、艶のある肌とサラリとした茶髪だ。
「はい。そうです。私は、あまかわと申します。よろしくお願いします」
「私はレイナ・ハーレットと申します。この商業ギルドの副ギルドマスターです」
にこやかな笑顔が可愛らしい女性だ。
「レイナさん、それで、私が持ってきた物なのですが、いくらで買い取っていただけるでしょうか?」
レイナさんはトイレットペーパーを手に持ち、そして、
「これは、どこで手に入れたのですか??それと、香りが付いています、驚きです」
トイレットペーパーは、香り付きも用意した。
フローラルな香りのするタイプだ。
「えっと、秘密です。シークレットです」
ショコラは、シャノンの腕の中で『てへぺろ こっつん』ポーズをしている。
「そうですよね。分かりました。あのどれくらいの量ありますか?全て買い取らせていただきます」
荷馬車の中に全在庫がありますと伝え、ふわまるパーティたちとわかれてから、荷馬車一杯に詰め込んだ、トイレットペーパーと紙を見せた。
トイレットペーパーは1ロール『2000円』
香り付きは1ロール『3000円』
紙B5サイズは1枚『2000円』
品の良さを完全に把握したのだろう。
レイナさんは受付の男を呼び耳打ちし、2000万円を持ってこさせた。
日本じゃ、こんな値段では絶対に買わない。俺はね。
異世界では、紙は貴重品扱いが多い。
シャノンに本の値段について旅の道中、聞いてみたら、1冊10万Jはするとのこと。
平民の平均月収だ。
レイナさんはニコリと笑顔をしながら、2000万円分の貨幣を受け付けテーブルに置いた。
商業ギルドをでて冒険者ギルドに向かった。
因みに、あえて、売り物として言わずに、荷馬車の中において置いたクローゼット。
扉を開けると、鏡が付いている、そのクローゼットを見つけたレイナさんは、売ってくださいと興奮気味に言ってきた。
高価格で売れる伝手があるようだ。
1億円で購入してくれた。
鏡に使われているガラスは、エンジェルフォンで地面を撮影したら、ゲットできた。
木と地面を撮影したら、木製の鏡付きクローゼットの出来上がりである。
お読みいただきありがとうございます