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私はクラス証をじっくりと眺める。
日本語ではない文字で名前とクラスが書かれている。
女神イリア様の力か分からないけど、文字が読める。
名前:アイ
クラス:魔法拳士
スキル:【女神の加護】【死神の契約】
と、記載されている。
このスキルはどういう意味があるのだろうか…。
ん?死神の契約…?した覚えがないよ…?
聖堂へと繋がる扉を開け、シスターさんに声をかける。
シスターさんはにっこりこちらに微笑んでくれて歩いてくる。
私はクラス証を眺めながら首を傾げる。
「お疲れ様でした。なにかおかしな事書かれていましたか?」
「あっ…えっとスキルと言うのが書かれていたのですが…これって?」
「あらスキルが書かれているんですね!おめでとうございます」
「え?」
「スキルを持たれているのは大変珍しいので、今後冒険などされるのであれば活用できますよ」
「そ、そうなんですね…」
「何のスキルを所有されているのかは本人以外には分からないようになっています。クラス証を見せた時、スキル持ちとしか相手には表示されませんで安心して下さい」
シスターさんがにこにこ話すけど、さっぱり分からない。
…まぁなんとかなるか!
この世界では前向きに生きていこう!
「そうだシスターさんの名前はなんて言うんですか?私はアイって言います!」
「自己紹介がまだでしたね。私はエルとお呼び下さい」
「エルさんですねよろしくお願います!」
「えぇこちらこそお願いします。また何かあればお越しください」
エルさんに寄付金を渡して、私は外に出る。
教会って確か寄付金で成り立ってたような気がしたためだ。
エルさんは結構ですと言ってたけど、とりあえず一番高そうな金貨1枚だけ渡しておいた。
「さてと…酒場に向かおうっかな」
こちらの世界で時間がよく分かっていない。
しかしいつもの間にか夕方になっているため、早くおじさんに会っておこうと思う。
あの肉の値段とお金返さないと…。
私は貰った地図を眺めながら歩く。
教会から酒場までは一直線である事は確認できている。
夕方なのかやはり夕食の匂いがする。
あー前の世界もこんな感じだったなー
お腹すいた…。
歩くこと10分ほどで目的の酒場へと着いた。
三階建ての建物で、二階から上が宿屋になっている。
一階は酒場で大人たちが騒いでるのが外からでも分かる。
私はいつも通り恐る恐る扉を開ける。
開けると、扉越しで聞こえていた声がダイレクトに聞こえる。
一瞬耳を塞ぐが、失礼だと思いすぐ手を離した。
行ったことないけど日本の飲み屋もこんな感じなのだろうか…。
「おじさんはどこだろう」
入り口付近できょろきょろしてたものだから、変な目で見られているのが分かる。
すると近くに座っていた男の人と女の人が話しかけてくる。
「お嬢さん誰か探しているのかい?」
「もしかして迷子?」
「あっいや、知り合いと待ち合わせててここで待っているって言われたんです」
私が答えると、二人がおいでおいでと手招きしてくれた。
ここで突っ立ってるのもあれなので、二人の席へと近付く。
「見渡した限りでは見つかった?」
「いえ見当たらなくて…」
「だったら僕達と一緒に食事でもどうだい?」
「えっ…」
「ほんとは三人で飲む予定だったんだけど一人来れなくなっちゃって知り合いの人が来るまで一緒に飲みましょうよ」
男の人は青い髪で顔がすごく整っているイケメン。
女の人は赤い髪のロングヘアー、こちらも美女。あとおっぱいが大きい。
異世界でおっぱいが大きい人が多いのか!?
思わず自分の胸を見る…。
そう言えばお嬢さんって言われてたな…まな板よりはあるけど子ども扱いされたのか…
いやまだ子どもだけど…。
「もしもーし?」
私の顔の前に女の人が急に現れた。
髪の毛と一緒の澄んだ赤い瞳が私をじっと見ている。
「ふえ!?」
「あぁごめんね?それにしても大丈夫?反応がなかったから」
「あっごめんなさい。えっとじゃあご一緒してもいいですか?」
「勿論よ!私も可愛い女の子と飲みたかったからね!」
女の人が私の手を引き、自分の隣の席に座らせてくれた。
美男子と美女のテーブルに居るとこか恐れ多い…。
「私はセツナ。こっちの男はジルよろしくね」
「私はアイって言いますよろしくお願います」
「かしこまらなくて大丈夫なのにー」
セツナさんが私の頬に自分の頬をすりすりしてくる。
恐らくバラの香水だろうか、いい匂いがする。
「こらセツナ…アイちゃんが嫌がってるよ」
「えっ嘘!?ごめんねアイちゃん」
「ぜんぜん大丈夫です!ちょっとびっくりしたぐらいです」
セツナさんスキンシップがすごいな…。