今日は何の日
俺を呼びに来た二人を外で待たせ、急いで支度をし外へ出ると、気だるげでどこか憂鬱そうな藍葵と何故だか楽しそうに笑う綾瀬が居た。綾瀬は俺をせかすように言った。
「早く、早く!本当、柊侑はマイペースだね…。」
何をそんなにせかすことがあるのか…。俺を迎えに来るのも、いつもなら8:00過ぎともう少し遅い時間なのに。今日に限っては7:30といつもより30分も早い。
「なぁ、何で今日はこんなに早いんだ?」
俺が聞くと、綾瀬と藍葵は少し驚いた表情をした後
「やっぱり、柊侑だね…流石だよ…。」
「いやー、本当その通りだな…。」
呆れたように言った。藍葵はため息をつき続けた。
「柊侑…今日は何月何日だ?」
俺は腕時計を見る。俺のはデジタルだから日付まで表示される。そこには『9.1.Tue』とあった。
「9月1日…?」
言われた通りに日付を確認したが、何があるのかさっぱり思い出せない。
「そう!9月1日!今日は…。」
「始業式だ。」
綾瀬の言葉を遮り、藍葵が言うと綾瀬はつまらなそうに続けた。
「もう…私が言いたかったのに…。
と言うか、やっぱり忘れてたんだね。
まぁ、補習あったから仕方ないにしろ、
日付を言って尚分からないとこが流石柊侑だよね。」
二人の言葉でやっと気付いた。俺たちの行く学校は進学校で、長期休暇なんて無いも同然だ。昨日までも朝から夕方まで補習で学校に行っていた。
そして何やらさっきから、何度も流石と言われている様だが…
「それは、褒め言葉…」
「そんな訳あるか!」
速攻、否定された。まぁ、分かってました…。
「とりあえず今日が始業式なのは分かった…。にしても少し早過ぎないか?」
はい、またこれだ。二人は(何を言ってるんだこいつは)とでも言いそうな表情で俺を見ていた。
「本当にお前は…仕方無いな。俺が説明を…。」
「はいはーい、説明するよー。
今日は始業式です。そしてその前に課題提出があるのです!」
さっきのお返しなのか、今度は綾瀬が藍葵の言葉を遮り言った。そして、何故か得意げな顔で藍葵を見ている。
「…と言うわけだ。分かったか?」
「藍葵の反応つまんない…。」
軽く流されて綾瀬はつまらなそうだが、とりあえずは納得した。
「あー、課題か…。」
課題は…正直……やる暇が………
「柊侑の事だから、どうせやってないんだろ?
それで、どうせやる暇が無かったとか言うんだ。」
…………何故だろう、藍葵の視線が俺に突き刺さる。
To be continued ……
やっと、第2話完成です。まだまだ話の核心に触れることさえ出来ていませんが、これからも読んでいただければ幸いです。