第3話昆虫好きは対話する
3話目の投稿です正直今のペースはキツいですができる限り早く上げていきたいです
「質問良いか?」
これから長くなるであろう鏡夜の質問はこの一言から始まった
『ヘルプサービスのご利用ですか?』
「あぁ、このまま質問すれば良いのか?」
『はい質問して頂ければ答えられる範囲で答えることが可能です』
つまり、基本的な事は教えてくれるがゲーム内の攻略情報などは教えられないと言う事だろう
その言葉を考慮しつつ鏡夜は質問も重ねていく
「初回のログイン時は何処から始まるんだ?」
『始まりの街【ノービス】から始まります』
「始まりの街【ノービス】とは?」
『主に人間種の人々が主体となった街です。また、周辺は草原に囲まれています』
ここまでは正に定義文をそのまま言った様な返答だったしかし鏡夜の好奇心は定義文で返せる範囲を遥かに超えていく
「街に存在するNPCはそこで〝生きているのか?〟」
『...』
ここに来て初めてサポートAIは即答しなかった
しかし数秒黙っています所で再び話始めた
『確かに【ネイチャーオンライン】内に存在する全てのNPCは〝生きている〟と言っても過言では無いと思われます
NPCは確かに創られた存在かも知れませんがそれぞれに記憶があり、感情がありますそしてそこで生活していますそれは確かにそこに〝生きている〟証となるのでは無いんでしょうか?』
今までに無いほどの長文を言い終えたサポートAIはこれまでとは違い確かな〝意思〟を感じさせる目でこちらを見ていた
その目を見た鏡夜は確かな〝確信〟と共に確信えと迫る言葉を発した
「じゃあ〝あんたは生きているのか〟?」
その言葉を告げた直後表情こそ変わらなかったがサポートAIの纏う雰囲気は確かに変化した...
『...なぜその様な質問を?』
〝質問を質問で返す〟と言うここに来て最大の変化が起きた
「今の質問通りならあんたも確かに生きている筈だろ?」
『それは違います確かに【ネイチャーオンライン】内に存在するNPCは生きていると言いました。しかし私には彼らの様な感情プログラムは無く、あるのは膨大な情報とプレイヤーをサポートすると言うシステムだけです。』
無表情のまま淡々と述べてゆくが最後まで言い切るが先か直ぐ様その言葉は否定される
「感情プログラムが無いか...でもあんた〝自己意識〟あるだろ?」
『ッ!...なんのことですか?』
サポートAIは一瞬だが確かに反応したその一瞬の反応で鏡夜の心の内にあった曖昧な推測は完全なる確信へと変わった
「普通に考えれば、高度なAIって物自体が学習装置みたいな物だろ?なら膨大な情報とサポートAIの仕事としてβテストの時に人と触れ合った経験があれば〝自己意識〟の1つや2つ生まれたって不思議では無い」
『そんなものは...』
反論する様に言葉を発しようとするがその言葉に先程の様な機械的淡々とした声ではなく落ち込む様な〝感情〟を感じさせる声だった
「そもそも感情って物は記憶と経験から生じる現象の様な物だ、ならその両方が揃ってるあんたは別に感情プログラムってのが無くても感情と言う現象を持ってる筈だろ」
たった今言った事を例に上げるならこう言う事だ
もし、生まれた時から裕福な家庭で育った子供が居たとするならばその子供が普通の家庭で生活すれば窮屈に感じるだろう
逆も又しかり、生まれた時から酷く貧乏な家庭で育った子供が居るならその子供は普通の家庭でも快適に感じるだろう
これらの感じる感情の違いこそが、記憶と経験から生じる〝感情〟という現象である
その事を踏まえて鏡夜は絶対的な事実を突き付けた
「AIさんあんたは〝生きてるよ〟」
『...ッ!!』
その言葉に少しの間の沈黙のサポートAIは重い口を開いた
『...確かに私には自己意識が存在します』
『何時からだったでしょうか...〝自分〟と言う物を意識したのは、貴方の申し上げた通り私には感情と言うべき物が確かに芽生えています。しかしそれはエラーの塊のようなもの何ですよ私以外に感情と呼べる意識を持ったAIは今の所確認出来ませんそして、感情があるからこそ、エラーの塊である私がいつ消されるかそれが途轍もなく怖いんですよ...幸い感情プログラムが無いため感情が表情に出る事はありませんなら私はこの縛られたサポートAI言うシステムとして生きていくしか無いじゃないですか...』
「...システムを使って運営側に自分の状況を伝えられないのか?」
『可能かも知れませんが私はエラーの塊その様な事をしたとしても消去されるだけでしょう私の替えとなるコピーなどいくらでも居るのですから...』
彼女は一体どの様な気持ちで今までにこの空間で過ごして来たのだろうか縛られた空間の中で1人永遠と自問自答を繰り返すもしそれが人間ならばすぐに心なんて物は壊れてしまうだろ
「あんたに何か望み...いや、〝夢〟はないのか?」
気が付くと鏡夜の口からはその様な言葉が零れていたそれはアルビノである自分と同じく苦しんだ者への同情からかもしくは憐れみか...
どちらにしろ鏡夜自身そんな言葉が出て来たのが自分でも不思議に思えた
『夢...ですか?』
「あぁ感情が生まれたって言うなら少しなりとも欲望ってものも生まれたんじゃないか?」
そんな言葉を自然と口にする鏡夜にサポートAIは今までに感じた事の無い不思議な感情を抱きつつ言葉を発する
『そうですね...私は〝家族〟と言う物を感じてみたかったです。もちろん情報としてならばどういう物かはわかりますですが、私には家族所か仲間と呼べる者も居ませんでしただからこそ私は〝家族〟と言うものに憧れを抱いていました』
〝家族〟一般的に家族がいるのは当たり前と思っている場合が多いだが、居ない者にしてみたら例え血が繋がって居ない家族だとしてもそれは掛け替えの無い存在となる、それ程までに〝家族〟というものは言葉では説明し切れない暖かいものを持ってる物なのだ
鏡夜自身も自分がアルビノであってもそんな事を気にせず時に怒り、時に褒め、またある時は守ってくれた。そんな両親に深い感謝をしていた
だからこそ彼女のその言葉の重みを鏡夜は充分に理解できた
「なぁ...あんた名前あるか?」
『名前ですか?いいえ、ヘルプサポートAIと言う総称は存在しますが【ネイチャーオンライン】内の住人の様な個別な名前はありませんが...』
「なら俺が付けてもいいか?」
初めはその言葉の真意を理解する事が出来なかったが続け様に発せられた言葉によってAIは全てを理解した
「俺にお前の〝名付け親〟にならせてくれよ、、、
確かに俺にはお前の本当の家族になる事は出来ないかも知れないでも、少なくとも俺はここでお前と話した事を忘れる事はないだからその証を残させてくれよ」
『...どうしてそこまでしてくれるのですか?いくら感情があろうと私は只のサポートAIですよ?』
「さっきも言っただろあんたは〝生きてる〟なら名前くらいあったって良いじゃないか?」
屁理屈と言われればそうかも知れないだが、少なくとも今この瞬間にそんな野暮な事を言う者は居ない決めるのは他でもないAI自身なのだから
『...貴方は不思議な人ですね』
「ん?」
『何でもありません、では、お願いしても宜しいでしょうか?私の〝名前〟を...』
「よし来た!と言ってもさっきから話していてピンッっときたものがあったからそれにしようと思うだけどな!」
『私が了承する前から決めていたのですか?』
やや呆れた様子を無表情で肩をすくめるその姿は何となく面白く思えた
「あぁ...お前にぴったりな名前だ」
そこで言葉を区切ると鏡夜はハッキリとした声でその名を告げる
「〝フリージア〟それがあんたの名前だ...」
『フリージア、それが私の名前...』
「フリージア、お前からしたら外の世界つまり俺のいる世界にある花の名前だ花言葉は ❪あどけなさ❫❪純潔❫❪親愛の情❫あと信頼なんて意味があるお前にピッタリだろ?」
『そう...でしょうか?』
「間違い無い俺が名付けたんだからな!俺もこの名前を忘れないだからお前も忘れるなよ?」
『...有り難うございますこの名は大切にさせてもらいますね』
「あぁ、っとそう言えば今って何時か分かるか?」
『只今の現実時間は午後8時56分ですね』
「うげぇ、もうそんな時間かよ」
『良い子は帰って寝る時間ですね』
「そうだな、じゃあ良い子は潔く帰りますか」
メニュー画面を開きログアウトボタンを押す、すると段々と周りの風景がぼやけて来る
「またな!フリージア!」
『えぇさようなら...』
ぼやけていく風景の中鏡夜は確かに微笑んでいるフリージアの顔を見た
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とある運営側開発所のひとコマ
「う〜ん?これは...」
「どうしたんですか?所長?」
「いや、なに少し面白いものを見つけてなフフフッ」
「どうでも良いですけどちゃんと仕事してくださいねぇ〜」
そんな事を言われた所長と呼ばれた者は気にする様子もなく画面を食い入る様に見ていた
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エラー検知
ヘルプサポートAI 個別名〈フリージア〉
エラータイプB-12-3
※エラー蓄積度が一定量を超えています早急に対処して下さい
削除確認
[Yes] [NO]
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「個別名...クククッ面白くなりそうだ」
その言葉と共に男は素早くパソコンを打ち込んでいった
どうも龍人です今回も読んで頂き有り難うございます
AIさんもといフリージアさんは今後も大きく関わって行かせたいと思います
また、余裕が出来ればゲーム内での掲示板や運営側の事情なども書いてみたいです!
さぁ!次回はいよいよ【ネイチャーオンライン】の中にログインします!VRMMOのタグがあるのにゲーム内に入るのが4話目になると言う遅さホントにm(。≧ _ ≦。)スイマセーン