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朝の温度  作者: ほととぎす
3.私は考えるⅠ
6/15

6

家に帰り自室で明日の予定へと思いをはせる。


まことと出かけるのは今回が初めてだ。

前から一緒に本屋さんに行こうとは話していたがお互い具体的な日時を切り出すことはなかった。


まことと一緒に本屋に行くだけなのにいつも以上になぜか自分が浮ついているのがわかる。

ただ朝の時間の延長のだけなのにどうしてなのか。


しかし休日に外に出るとなると制服ではいけないだろう。


部屋に置いてある滅多に見ない鏡に自分を映す。

無造作なショートヘヤーに細く鋭い目。

どう見ても女の子っぽい印象を与える顔ではない。

また168という少し無駄な身長と見事な平ら胸のせいで私服でいると男に見間違えられることもしばしば。

深いため息を吐いて鏡から目をそらし、クローゼットへ向かう。

何か着ていく服を見繕わなければならない。

残念ながらおしゃれに興味がない本の虫が所有している服などたかが知れている。


まことはどんな服を着てくるだろうか。

可愛い系?清楚系?

どんな感じの服を着てもまことはきっと似合う。

女の子らしくフリルのミニスカートとかはいてくるのだろうか。

いや、大人っぽく淡青色ブラウスにレースのロングスカートとか。

きっと赤縁の眼鏡がいいアクセントになって若い学校の先生っぽくなるだろう。


教師ルックで黒板の前にまことが現れる。

「では彩季さん。前の時間に勉強したノックスの十戒を全部あげてください」

「ぜ、全部ですか、黒澤先生。無理です。二つぐらいしか覚えていません」

「……先生はとても悲しいです。お仕置きしないといけませんね」

そう言ってまことは近寄ってきて私の頬に手を添えて――。


「私は何をかんがえているんだああああ」


落ち着け自分。冷静になるんだ。

最近の私は何か悪いものに毒されているというか影響されている気がする。


ともかく、せめてまことの隣にいても悪目立ちしないような服装を考えなければならない。

ああ、なんと面倒くさい。

一緒に本屋に行くことがこんなにも大変なことだと思わなかった。


安易に了承した自分を恨めしく思うのであった。


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