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僕は人生初のモテ期に調子に乗っていた。

常にぼっちで空気扱いな僕が葵さんと一緒に学生生活を送り始めた事なんて、誰にも知られてないし、誰も興味を持たないと思っていた。




今日も、僕は葵さんと一緒に学校に通い、昼休みは一緒に学食でご飯を食べていた。

『今日は、確か蓮君が4限無くて、私が4限ある日なんだよね。寂しいからサボっちゃおうかなぁ。』

『先週もそういってサボってたじゃん。3分の2以上出席しないと単位取れないんだよ?流石に僕のせいで単位落としてほしくないよ・・・確か単位の取得状況は学期終了時毎に実家に送られるはずだけど、あんま落としてると親に怒られちゃうけどいいの?確か九州に住んでる親は厳しいんじゃなかったっけ?』

『確かにあのクソ親共にバレるのは嫌だし今日は出るかー。最悪、大学辞めさせられちゃうかもだしね。元々地元に居たくなくて親が受けさせようとしてた地元の国立受けずに、東京に逃げた事に対しても物凄い怒ってるしね・・・まぁ有る程度のレベルの大学だからなんとか許してくれて学費払って仕送りちゃんと送ってくれてるからいいけどね。

でも、自分のメンツしか考えてなくて私に勉強を強制する割に、私がいじめられてたことにすら気付かないあんな奴らでも親なんだから本当に困っちゃうね。

本当に蓮君の親が羨ましいよ。不登校の蓮君を理解してくれて、わざわざ高い学費払って通信にいれてくれたんだしね。』

『まぁ確かに恵まれてるね。本当に親には感謝しきれないよー。』

『本当に蓮君一人にさせてごめんね。私心配だなぁ、蓮君みたいなタイプってめっちゃ不良に絡まれやすそうじゃんよー。大丈夫?』

『そんな心配しないで大丈夫だよぉ。いっつも大丈夫じゃん。それに屋上に居れば誰も来ないからさ。』

『まぁあの屋上なら大丈夫かなー。ま、出席取ったらすぐ抜けてくるから何かあったら私が蓮君を守るからね。』

『そこは授業全部受けようよ・・・あんまり授業聞いてないとテスト辛いでしょ・・・中間近いのに・・・』

『じゃぁそうするかなー。あ、もうこんな時間だし授業行くねー。また放課後ー。』




これから起こった事を考えると、この時葵さんを授業に行かさない方が良かったの

かもしれない。

でも、流石に僕のせいで単位を危うくさせるなんて事はできなかった。



僕の3限の授業はゼミだ。

この大学では数少ない講義形式で無い時間で、グループワークが多いので常にぼっちの僕には辛い時間だ。

しかも・・・

『おぅ、レンじゃーん。今日も暗そうな顔してるなー。ほらもっと明るくしよーぜー。』

僕が苦手な付属出身のヤンキーが僕のゼミグループだけ異様に多いのだ。

前に他のグループを見かけたが、皆真面目そうな人たちだった。

実は僕は、葵さんの言うとおり何故かヤンキーに絡まれやすい。

僕が嫌がってるというのにいつも慣れ慣れしく絡んでくるのが気に入らない。

何を言っても聞かないし、日本語が通じてくれないので、本当にあいつらの脳はイカれてるんじゃないかと思う。

こんな奴がいるからうちの大学のレベルが下がるんだと思う。

付属推薦の選考基準をもっと厳しくして、余った枠を一般受験の合格者を増やすことに使えば良いと思う。

まぁ大学側とすると偏差値を上げるために推薦で多く入学者を取りたいのだろう。

その気持ちは分からなくもないが、こんな奴らを大学に入れる方が大学のイメージ悪化になるのじゃないかと思う。

本当に偏差値重視の日本の教育は間違ってると思う。


ちなみに今日のゼミの内容は、TPPや消費税増税といった身近な経済問題についてのプレゼンテーションの内容をグループごとに話し合うというものだった。

僕は書記をやっている。話し合いや発表なんてコミュ障の僕にできっこないし。

書記だったら余りしゃべらなくても先生やリーダーから怒られないしね。


そんなこんなで今日のゼミは終わった。

葵さんを待つため僕は屋上に行こうと思い、教室から出たその時だった。

『なる君4限ないでしょ。この後3号館裏のベンチに来て。』

同じゼミのいまどきのギャルっぽい女の子。確か遠山さんだったか。

ゼミは基本ネームプレートをつけて行うので嫌でも名前は覚えてしまう。

それにしてもなる君って・・・呼ばれたことないぞ・・・


そして遠山さんが去って行った後、僕は同じゼミの他のギャルのひそひそ話を聞いてしまった。

『見た見た?遠山のヤツあんな根暗までターゲットにして本当に男好きだよねー。入学してからまだ2月ぐらいなのにもう5人以上の男と付き合ってるとか本当にあり得ないわー。まぁ5人以上の男と付き合ってるっていうのはあくまで噂だけどさー。』

『でもあの根暗確かこないだ女と帰ってたところ見ちゃったんだよねー。なんか相手も同じような暗そうな奴だったなー。逆にお似合いというかー。ハハハ。マジうけるわー。』


まさか僕が葵さんと帰るのが見られていたとは・・・

それよりも3号館の裏のベンチに行くかどうかだよね。

話聞いた限りだと男好きっぽいし行かない方が良さそうだし、もしかすると罠でヤンキー達がたくさん待っててボコボコにされるかもしれない。

それに葵さんにも悪いし。


でも・・・


あの遠山さんの目が寂しそうなのが気になってしまい、僕は3号館の裏のベンチに向かってしまったのであった。


この時、ギャル達の話を聞いて行くのをやめておけばよかったと後になって思う。


この時の僕は最近都合の良い展開が多すぎて少し調子に乗っていたのかもしれない。

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