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僕達は壊れ始める。

次の日から僕は、今までの孤独な学生生活から葵さんと一緒の学生生活になった。


葵さんは僕と同じ自転車通学で、方向も同じだったため一緒に学校に通うようになった。

なので、学校から自転車で10分ぐらいのコンビニで待ち合わせしてそこから学校に通うのが日課になった。


退屈な講義を終えた後の昼休みは、今まで通り3食の2階テラスでカレーを食べる。

しかし、今までとは違いぼっちではなく、隣に葵さんがいる。


そして午後の講義の後の放課後は、お互い部活やサークルに所属してないためこれまた一緒に帰ることになった。

途中の交差点で葵さんと別れて家に帰る。


そんな登下校や昼休みをぼっちで過ごさず好きな人と2人で過ごせるという、幸せな日々が続いていき、6月に入っていった。


今日は日曜日。流石にまだ付き合っていない友達関係なので、学校以外で葵さんと会うことは無い。

でも葵さんと友達になってから、家で一人でいても心が満たされる気分だ。

時々、メールしているからかもしれない。

なので、最近はネットに現実逃避する事も少なくなっていった。

ただ、こんな僕にだって悩みは当然ある。

おっと、メールが来たようだ。

宛先は、葵さん・・・じゃなくて美雪ちゃんからだ・・・

美雪ちゃんからのメール内容は模試の結果だ。

相変わらず凄い結果だ。この時期に偏差値61とか結局中堅大学止まりだった僕にとって羨ましい限りだ。

ただ・・・どう返していいか悩む。

そう、僕の悩みは美雪ちゃんの事だ・・・


数日前に遡る。




僕は今日も葵ちゃんと楽しく昼食を取っていた。

ちなみに今日はうどんだ。流石に毎日カレーは飽きるからね。


『私の大学でできた最初の友達が蓮君で本当によかったよ。

やっぱり他に友達がいない人は最高だね。独占できるしね。』

『そう言われると喜んでいいのか複雑だよ・・・』

『喜んで良いんだよぉー。私友達がいっぱいいる人って信用できないんだよね。

私小中高ってずっといじめられてたんだよね。でさ、何とか友達作っても私がいじめられてるって知ると他の友達との関係を考えて私から離れていっちゃうんだよね。その繰り返しだよ・・・それに、本当に辛い時私じゃなくて他を優先しちゃうでしょ・・・だから君みたいにぼっちの人は本当に信用できるんだよね。。蓮君はだからずっと私以外に友達作らないでね。約束だよ。絶対だよ!』

『う、うん分かった。約束するよ。その代わり葵ちゃんも僕以外に友達作らないでね。』

『勿論だよ。私は蓮君しか見ないよ・・・だから私だけを見てね・・・』



発言から分かるように葵ちゃんも僕と同じように辛い学生生活を送ってきたせいか、僕と同じかそれ以上に、物凄くネガティブで病んでいる。そんなところが可愛い。僕も葵ちゃんが僕以外に友達がいなくて喜んでいるところはある。でも・・・




僕はやっぱり僕の事を必要としてくれる美雪ちゃんを切り捨てることは僕にはできない。

だから許してくれよ・・・僕が美雪ちゃんとメールするのを。

そりゃ罪悪感で一杯だけど、僕は、僕と同じような人を見捨てることはできない!


「やっぱり美雪ちゃんは凄いね。この時期に偏差値60台とか凄いよ!」

「ありがとう!レン君も大学生活頑張ってね!でも、最近あんまメールできてないから寂しいな・・・」

「まぁ大学生活はそれなりにやってるよ。最近あんまメールできなくてごめんね。でも美雪ちゃんの勉強の邪魔しちゃいけないと思って。僕とは受験終わったらいくらでも話せるんだし、今は勉強優先しようよ。」

「そんな配慮要らないよ・・・私はもう勉強したくないんだよ・・・勉強したところで幸せになる訳じゃない。希望が生まれる訳じゃない。私にとっての希望はレン君だけんだよ。レン君の大学はA判定だから私の勉強は気にせず、もっと私にかまってよ。」

「嬉しいよ。でも美雪ちゃんにはもっと上を目指してほしいな。そりゃ勉強しても幸せになる訳じゃないというのは分かるけど、希望は絶対他にもあるはずだよ・・・うちより良い大学に行けばもっと可能性は広がると思うよ。」

「うーん。私に希望なんてないのに・・・ごめん。今日はもう寝る・・・ゆっくり考えさせて。」

「分かった。まぁ自分の進路の事は慎重に考えるべきだよ。だからまぁゆっくり考えな。おやすみー。」


はぁ・・・

僕が美雪ちゃんの人生を狂わせてるような気がして申し訳なく思う。

そういえば葵さんもそうだ。

僕なんかと出会わなければもっと普通に皆と仲良くできたかもしれなかったのに。


こうなった以上、葵さんも美雪ちゃんも僕が責任を持って自立させなければいけないと思う。

でも、僕だって寂しいんだ。自分だけを見てくれる人は欲しい。

向こうが良いんだから自分がとやかくいう権利は無い。だから、今のままの関係を2人と続けていこう。

そんなわがままで卑怯な考え方が自分の心を支配していった。


そしてこの選択が僕自身をさらに狂わせていくことになるのであった。

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