僕の恋愛はまだ始まらない。
このお話はフィクションです。
「今日は大学どうだった?楽しかった?」
「どうだったって言われてもいつも通りだよ。いつも通りぼっちだったよ。授業の教室でも学食でもずっと隅っこで一人ぼっち。まぁもう慣れてるし別にいいんだけどね。楽しくはないけどさ。」
「まぁ学校に行けてるだけいいと思うよ!来年は私もレン君の大学に行くから、そうしたらもうぼっちじゃなくなるからそれまでの辛抱だよ!」
「その気持ちは嬉しいんだけどね。美雪ちゃんは頭いいんだからさ、もっと上を目指すべきだよ。同じ大学じゃなくても、東京に来れば会えるんだからさ。」
「でも、私やっぱりレン君と一緒の大学に行きたいな・・・あ、夏休みレン君に会いに東京行こうかなぁ。」
「受験生なんだから予備校の自習室にこもって勉強してよー。まぁ会いたい気持ちも分かるけどさ。来年まで我慢しようよ。受からなかったら来年も会えないんだからさ・・・明日一限あるからもう寝るねー。おやすみー。」
「もうちょっと話してたかったけどなー。まぁいいや。おやすみー。」
強引にメールを切った僕。
僕なんかが、美雪ちゃんみたいな素直な人に会っていいのだろうか・・・
会ったらすぐに嫌われて今のメル友関係がぶち壊しになってしまうんじゃないだろうか・・・
そう思うと、そういう話題からすぐに逃げてしまうのだ。
ちなみにメル友の美雪ちゃんは、ネットで知り合った、僕よりも一つ下の女の子だ。
彼女は、極度の人見知りで人づきあいが苦手らしく、そういった相談に答えていくうちに名前で呼び合ってメールするぐらいまで仲良くなった。
僕と似たような女の子だし、僕が守ってあげたいと思うのだが会ったことのない人を好きになるのはどうかと思うし、会ったら会ったでさっきも言ったけど、すぐに嫌われてしまうだろうからなかなか踏ん切りがつかないのだ。
会ったことが無いとはいえ、生まれて初めてできた女友達だから大事にしたいんだよね。
ちなみに僕は鳴海蓮という名前で、東京にある中堅レベルの私立大学に通う大学1年生だ。
メールで書いたとおり僕は大学には友達が一人もいないのである。
友達に囲まれ、彼女と楽しく毎日を過ごす、華のキャンパスライフとは程遠い大学生活を送っているのだ。
ここで携帯のバイブレーションがなった。電話だ。
まぁ僕に電話をかけてくるのはあいつしかいない。
ちなみに僕は、基本的に美雪ちゃんとのメールか、あいつとの電話しか携帯を使わないので、常に携帯はマナーモードである。
『久々だな。蓮の声聞くの。元気に大学生活やってるか?』
『うん。何とか頑張ってるよ。健斗くんこそちゃんと仕事してる?』
『もちろんだよ。お前は仕事の覚えが早いって仕事先の先輩にも褒められたしさ。そんなことより大学始まってから1月たつけどお前どうせ大学でもまだぼっちなんだろ?高校時代もお前、俺が転校してくるまでは完全にぼっちだったじゃんよ。』
『鋭いなぁ・・・そうだよまだ大学で誰一人友達いないよ・・・』
『お前もっと明るくしろよ。いい奴なんだからさ。明るくなったらお前ならすぐ友達できると思うぞ。もしかしたら彼女もできるかもしれんぞー』
『茶化すなよー。友達はまだしも彼女なんてできるわけないよー。』
『そのネガティブが良くないんだよ。俺にだって彼女居るんだしお前にもきっとできるよ。』
『そうかなぁ。まぁ少しポジティブに明るく頑張ってみるよ。じゃぁもう寝るからじゃあね。』
『じゃあなー。お前も頑張れよー。』
今電話があったのは僕の唯一のリアルの友達の健斗だ。
高校時代の友達で今は僕の地元で就職して社会人1年目らしい。
高校時代の話はまたそのうちすることにしよう。
ちなみに僕の地元は東京よりも上の東京から電車で2時間ぐらいの場所にある北関東だ。
ちなみに僕は東京の外れで一人暮らししている。
一人暮らしにもそろそろ慣れてきた。
大学生活にもそろそろ慣れてきたし、そろそろ友達ぐらいは欲しいな。
ここから激動の大学生活が待っていて、僕が愛に狂っていくことになるなんてこのときの僕は予想すらせず、僕はベッドに入ったのであった。