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神の発見  作者: 木島別弥
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入院中に書いた創元SF短編賞一次落選作です。

 二〇一一年、神が発見された。

 神がなぜ人類の前に姿を現したのかわからない。しかし、発見された神はまちがいなく、陳腐凡庸な被造物などではなかったという。それは、圧倒的な神秘性と慈愛に満ちており、また、それを見た我々人類の誰にも、それが神であるとわかるように世界の完成像を知るものとして知覚できたそうである。神は、未来を知っておいでだった。我々人類をどう導こうかという当初の計画はすでに完成していたようである。これは誠に喜ばしいことであり、発見した他の大多数の人類からは、崇拝と畏敬の念をもって迎えられた。

 しかし、ここにおおきな神の誤算があった。いや、それが始めから神によって仕組まれていたことなのかはわからない。だが、神が人類に与えた自由意志によって、人類が神に抗いえるという証拠として示されたできごとであるとはいえそうであった。その大異変事とは、以下に述べるできごとである。

 それはつまり、神を発見した者の一人である少女ユーは、神から世界を支える柱となるものを盗んで逃げたという。そのことによって、世界の支柱に不安定な要素が与えられることとなった。それは、神を発見した他の者たちの大多数によってまったくの予想外のできごとであり、人類がおそらく初めて遭遇した神との接触において、人類が世界を危機におとしいれることを行ったことがまちがいなく確信をもっていえるのであり、少女が盗んだ神の道具がその後、どうなったのかはわからない。この、一人の少女による神への冒涜を含めた一連のできごとに名付けられた名称が、いわゆる<神の発見>である。


 <神の発見>について、全人類規模でその対処を決めるための会議が開かれた。この奇妙な神学会議の内容は、新聞や雑誌、インターネットやテレビなどによって全世界に公開されており、その内容の大部分はひたすら人類の背徳を糾弾するものであった。

 せっかく、神がありがたくも我々人類の前に姿を現してくれたのにも関わらず、我々人類はその神に対して感謝もせず、供物も捧げず、あろうことか、神の道具を奪ったのである。これはゆるされることではない。断罪されるべきである。

 神学会議は、徹底的にあらゆるものを断罪した。<神の発見>において、罪のあるあらゆるものをとりしまるために、断罪機関マキナがつくられた。マキナは、<神の発見>において罪のあったものをすべてを罰する権利を得たのである。

 そして、<神の発見>で神具を盗んだ少女ユーは、断罪機関マキナに超越的背徳者として、罰せられる罪人にされたのである。

 少女ユーは、とっくに逃げて姿をくらまし、行方は知れなかったというのに。生きているのか、死んでいるのかさえ、わからなかった。少女ユーは完全に神学会議から逃亡することに成功していたのである。


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