動機
「―――では、どうしてこの勇者学校に入ろうと思ったんですか?」
「それは……魔王に負けたからっ!それ以外に理由はありません!!」
学校に入る動機なんて、元から決まっていること。
元々学校なんて行きたくなかった俺が、
どうしてこんな学校に入りたいと思うようになったか。
遡ること、一か月前。
「フハハハハハハハハ!!!馬鹿な勇者よ、
その程度の力で私に勝てるとでも思ったかァァァァ!!」
「くっ……これが魔王の力か」
俺は世界平和を望み、世界で最も最低な魔王を倒すべく剣を持って戦っていた。
だが、魔王の力は想像を遙かに超えている。
情けないことに魔王に手も足も出ないまま、戦いは終わりを迎える……。
「もう、終いか?名もなき勇者」
「名前ぐらいあるわいっ!」
「ほう……名乗ってみよ。覚えといてやる」
「俺の名は……ッッッッ!!」
そう、名前を言おうとした瞬間、だ。
「バァァァァァカメェェェェェェ!!名前なんて誰が覚えるかァァァァ!!
大体な、名前を聞いたとしても一時間で忘れるわ、このアンポンタンンンンン!!!」
「お前は鶏か……いや、記憶力は鶏以上だけど……ってか酷くね!?」
「死ね」
「名前ぐらいなのっっっ」
「天空無双玉!!!」
「なにその強そうなッッッ」
空には大きなエネルギー玉。
終わり、か。
「ハッハッハッハ!!学生からやり直すんだなァ」
「なにぃ……?」
「オラァァァァァァ!!!」
エネルギー玉が当たるその時。
俺はすぐに決心した。
「分かった!!俺は学生になってからお前をたっっ」
そこから意識が飛んだ。
次に目が覚めたのは、家だった。
そう、俺は奇跡的に生きていた!
体中ボロボロで、家族は泣いてくれた。
けど、号泣まではいかなかったっぽい。
俺は魔王にやられ、5日間も寝ていたらしい。
くそ、屈辱!
絶対に魔王を倒す!
目が覚めたその日から、魔王をぶっ殺すことを誓った。
しかし、今の俺では力不足!
そう、だから学校に入ることを決めたんだ。